天使と悪魔の暇潰し
最新 最初 🆕
#62 [匿名]
女性も少し緊張しているように見える。

案外お似合いな二人なのではと思う。

「このワンピースお似合いですね!」

早速ターゲットは先程僕が教えた事を言っている。

「本当ですか?今日は何を着るか凄く悩んだので、そう言ってくださると、とても嬉しいです。」

まるで十代の女の子のように無邪気に喜ぶ女性を見て、女はいくつになっても少女の気持ちを忘れたくないのよ!!と教えられた事を思い出した。

⏰:10/11/02 18:16 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#63 [匿名]
「今日は、あ、あの、フレンチのお店を、予約したんですが、だ、大丈夫ですか?」

緊張が隠しきれない様子のターゲットは、とても頼りなく感じる。三十代になって何年もたつのに、女性との接点はなかったんだろうな、と予測できた。

「えぇ、大丈夫です!好き嫌いもないですから」

女性の方が余裕がある。

⏰:10/11/02 18:22 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#64 [匿名]
それから二人はそのお店に向かった。

会話という会話はとくになく、今日は雨じゃなくてよかったですね、そうですね、寒くないですか?大丈夫です。を続けている。

黙ったままの時間もあったが、運良く早めにお店に着いた。

予約名を伝え、テーブルへと案内される。

綺麗な内装で、スタッフも皆、プロのサービスマンというかんじだ。

⏰:10/11/02 18:29 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#65 [匿名]
「料理はディナーコースでお間違いないでしょうか?」

「あ、はい。」

「ではこちらがドリンクのメニューでございます。」

「あ、はい」

ぎこちなさすぎる。

⏰:10/11/02 21:53 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#66 [匿名]
「なににしますか?」

ターゲットは先程僕が教えた通りまず女性に伺った。

「えっと、あまりお酒は詳しくないのでお任せします。」

女性は簡単でいいなぁと思った。そうですか、とターゲットはメニューに目を戻す。

そうだなぁ、んー、どれがいいかなぁ、うーん、と目をキョロキョロ動かす。

⏰:10/11/04 16:45 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#67 [匿名]
きっとターゲットは僕のアドバイスなど関係なく、女性が決めてくれたドリンクと同じ物を頼もうと思い、伺ったのだろう。

「お客様、本日何かの記念日だったり特別なお日にちでしたら、乾杯はまずシャンパンなどはいかがでしょうか?」

店員が助け船を出してくれた。

「シャンパンは大丈夫ですか?」

ターゲットはここぞとばかりに女性に言う。

「えぇ、大丈夫です。」

「じゃあそれでお願いします。」

ふぅ、と息を吐く。
緊張が少し解かれたみたいだ。

⏰:10/11/04 16:57 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#68 [匿名]
あ、とターゲットは思い出したように呟いた。

「どうかしましたか?」
キョトンとした顔で女性は聞いた。

「いや、今日は記念日でもなんでもなかったなと思いまして。」

恥ずかしそうに下を向きながら頭をかく。

「それなら、二回目のデート記念でいいじゃないですか?」

ニコッと笑った女性を見て、ターゲットは幸せそうに頷いた。

今まで生きてきて女性に微笑まれた事などないような、新鮮な反応だった。

⏰:10/11/04 17:02 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#69 [匿名]
それからターゲットは適度に会話をして、適度に飲んで、食事を楽しんでいた。

お酒が弱いのか、女性を目の前にしているからなのか、徐々に顔が赤くなってきた。


そこで隣にいる彼は舌打ちをし始め、そわそわと動き出した。


「こりゃ悪魔として、放っておく訳にはいかねーよなー?」

⏰:10/11/04 17:07 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#70 [匿名]
同意を求められても僕は天使で、悪魔にはなれないから彼の気持ちは分からない。

「君は悪魔だもんね。」

と質問の答えにはなっていない返事をした。だが僕の答えに彼は納得したみたいだ。

「だよな!そうだよ。俺は生まれてこの方人間の幸せを願った事はねーんだよ。幸せそうな笑顔を見ると虫酸が走る!」

嫌な顔をして彼は肩と顔を震わせた。

⏰:10/11/04 17:12 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#71 [匿名]
その時下では、女性が席を立っていた。きっとトイレだ。

「ってことで行ってくるわ!幸せな時間はここまで」
ニヤッと笑う彼は実に恐ろしい。

お手柔らかに、と彼に言うが、聞く耳は持っていない。

⏰:10/11/04 17:17 📱:F06B 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194