天使と悪魔の暇潰し
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#72 [匿名]
女性トイレ付近で、女性が出て来るのを彼は待っている。

黒いスーツをきて、髪の毛も後ろに流して整えられている。僕達は思い描いた格好に一瞬にして変える事が出来る。


少しして女性は出てきた。
彼の前を通り過ぎようとしたとき、彼は呼び止めた。

「あの、あなたあそこに座ってる男性と一緒に来られた方ですよね?」

いつになく丁寧な喋り方の彼が、後ろ姿のターゲットを指差す。

「えぇ、そうですがなにか?」

いきなり見ず知らずの若者に言われ、警戒をしている。当たり前の事だ。

⏰:10/11/04 17:27 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#73 [匿名]
「これは忠告です。ター…た、多分あなたははめられています。」

何の話ですか?と女性は怒った顔をした。

「簡単に説明します。あの男性は詐欺師です。あの方は結婚していて、その妻と二人で詐欺をしているんです。」

「おっしゃってる意味がよくわかりません。からかっているのなら私ではなく、他を当たって下さい!」

完全に怒ってしまった。彼の口からあんな嘘が出てくるとは思わなかった。

⏰:10/11/04 17:34 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#74 [匿名]
「ちゃんと聞いてください!あの男性は複数の女性と関係を持っています。そう、不倫です。でもそれは本気ではない。お金の為なんです。」

彼の正義感溢れる口振りに、女性は騙され始めた。

「不倫している事が妻にばれたふりをして、妻が不倫相手に慰謝料を請求するという流れになっているんです。だから、あなたも危ないんです!!」

「そんな…まさか!」

恋人を信じたいという気持ちなのだろうか、女性は泣きそうな顔をしている。

⏰:10/11/04 17:42 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#75 [匿名]
「全て本当の話です。実は昨日も一人の女性がお金を払ってしまいました。次のターゲットはあなたなのです。」


「私はどうしたら…」
しばらくの沈黙のあと掠れた声で女性が呟いた。

「逮捕するのは警察の役目です。あなたの身に危険が及ぶ可能性がありますので、あの男性との関係をこの場で終わらせてください。」


「…分かりました。」

⏰:10/11/04 17:48 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#76 [匿名]
「あ、僕とのこの会話はあの男性にはバレないようにしてください。とても危険なので。…では、私は店の外で見張っております。」

一礼し、彼は外に出た。

女性はゆっくりとターゲットの元へ向かう。

「あ、大丈夫ですか?気分でも悪いですか?」

長い間トイレから帰って来ない女性を心配したのだろう。ただ今の女性にはターゲットの優しい言葉も全て嘘に感じている。

⏰:10/11/04 17:52 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#77 [匿名]
「え、えぇ。」

女性の顔は緊張していた。

「あの、一つお伺いしてもいいですか?」

女性はふぅと息を吐き、本題へと入ろうとした。

「ええ!何でも聞いてください!」

ターゲットは女性に興味を持たれているのが嬉しいようで、ウキウキしている。

⏰:10/11/04 17:57 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#78 [匿名]
「昨日何か大変なことが起こりましたか?」

遠回しのような、直球のような質問だ。

え?とターゲットは少し考えるが、すぐにはっと思い出した。

昨日は万引きの容疑をかけられていたのだ。

「あ、えっと、その…な、なにもなかったですよ!!何もしてないです!!」

ターゲットは万引きをしたと思われては確実にふられてしまうと思い、必死に隠そうとした。

⏰:10/11/04 18:02 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#79 [匿名]
素直に、やってもいない万引き犯だと思われて大変だったんですよ、と笑い飛ばせば良かったのに。

その怪しい反応に女性は確信したようだった。


「信じてました。残念です。ガッカリです!」

いきなり目を潤ませる女性を見て、ターゲットは慌て出した。

「な、な、なんの話ですか?」
万引きの事がばれたのか?と青ざめた顔になる。

⏰:10/11/04 18:07 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#80 [匿名]
「私を騙してたんですね!誠実そうな顔をして、そんな最低なことをするだなんて…!もうこれ以上あなたには会えなくなりました。もう顔も見たくありません!!二度と連絡してこないでください!!」

女性は勢いよく席をたつと、迷わずお店を出た。

ターゲットはポカーンと口を開けたまま、何が起きたのか理解出来ていない。

追い掛ける事すらできずにいる。

⏰:10/11/04 18:12 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#81 [匿名]
「思った以上に上手くいったぜ!」

店の外で見張るといった彼は、迷わず上へ戻ってきて、僕の隣で二人の様子を見ていた。

「店の外にいなくていーのか?」
僕が訪ねると

「こっちの方が見やすいしな!外からじっと見てたら怪しいだろ?」
と、答えた。

「あんな不様なふられ方しちゃー死にたくもなるよなぁ?唯一の光だった優しい女に嫌われたんだ!」

⏰:10/11/04 18:18 📱:F06B 🆔:☆☆☆


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