天使と悪魔の暇潰し
最新 最初 🆕
#1 [匿名]
読んでもらえたら嬉しいです。

⏰:10/10/17 12:08 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#2 [匿名]
天使と悪魔



天使。そう言われているのが僕。
人間を見守り幸せを与え、間違えた道に進みそうになる人間をそっと軌道修正するのが天使の仕事。
悪魔。そう言われているのが彼。
人間を観察し不幸を与え、間違えた道に入り込んでしまった者に罰を与えるのが悪魔の仕事。

⏰:10/10/17 12:16 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#3 [匿名]
天使は何万、何百万といるがそのほとんどが淡いキャラメルのような髪色をしていて肌は白い。
瞳は綺麗な青だったり緑だったり茶色だったり、それぞれだ。

それに比べて悪魔は皆黒髪。肌は少し黒く人間で言う日焼けを少しした程度。瞳は真っ黒だ。

⏰:10/10/17 12:21 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#4 [匿名]
「よぉ!」

彼が僕に話しかけてきた。彼が話しかけてくる理由はだいたい分かる。
面白い事があった時、何か面倒臭い頼み事、暇潰し。

そうだ、言っておくが人間は勘違いをしている。天使と悪魔は敵同士。悪魔は天使にこてんぱにやられてしまう。というのは間違いだ。本当は仲がいい。

⏰:10/10/17 12:27 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#5 [匿名]
僕と彼も仲良しと言える方だと思う。

「なに?面白い事でもあったか?」
ニヤニヤと近づいてくる彼を見たら、誰もが良い事があったんだなと思うだろう。

「おう。暇潰しに勝ったんだよ!なぁ、すげーだろ?しかも相手は大人だぜ。悔しがってたなー!」

⏰:10/10/17 12:35 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#6 [匿名]
彼は暇潰しに向いていない。短気で大雑把で、天使と悪魔には必要不可欠な人間の心を読む事を面倒臭がる。

なのに彼が大人に勝てるとは。同じ天使として恥ずかしくなる。そんな大人にはなりたくないと心の底から思った。

⏰:10/10/17 12:39 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#7 [匿名]
「本当かよ。君に負ける大人がいるなんて信じれない」

素直に思った事を口にする。嘘だろ?とは言わなかった。

「本当だよ!俺もびっくりだ。その人間がさ、簡単に自殺したんだよ、笑えるよな」

あははっと彼は大きく笑ったが、僕は苦笑いしかできなかった。

⏰:10/10/17 15:03 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#8 [匿名]
暇潰しというのが、天使と悪魔でやるゲーム。

ターゲットとなる人間を一人選び、近付く。

五日間で自殺させたら悪魔の勝ち。二日間自殺させずに過ごせたら天使の勝ち。


簡単なゲーム。
ただの暇潰し。

⏰:10/10/17 15:07 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#9 [匿名]
>>8

五日間自殺させずに過ごせたら天使の勝ち。


です。すみません。

⏰:10/10/17 15:12 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#10 [匿名]
大抵死にたそうな人間が選ばれる。というか、人間はほとんどが死にたいと軽々しく口にする。
僕達にはそれが理解出来ない。まあ、僕達は死なないからだろうけど。

その死にたいと口にする半分以上の人間は本当に死のうなど思っていない。

死に直面すると死にたくない!!と泣き叫ぶんだ。あんなに醜いものはない。

⏰:10/10/17 17:10 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#11 [匿名]
「なあ、暇潰ししようぜ」
僕は彼との暇潰しで負けた事はない。

「今ならお前にも勝てる気がするんだよなー」

「ターゲットは選ばせてあげるよ」
僕には自信がある。

まあ、負けた所でただの暇潰し。ただのゲーム。

⏰:10/10/17 17:18 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#12 [匿名]


「あいつに決めた!な、良さそうだろ?」

彼の言う良さそうというのは死にそうって事なんだろうな。
僕には全然良くないが、彼の指差す人間を見る。

年齢は三十代半ばくらいの中肉中背のいかにも地味な男。髪の毛が少し薄く、整えられてない。
スーツを着ているからサラリーマンとやらなのだろうけど、品がなく、不潔な雰囲気だ。

⏰:10/10/17 17:54 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#13 [匿名]
「いいよ。あの人にしよう。」
「よし!じゃあ早速行ってくるわ!」

じゃあな、とヒラヒラ手を降って彼は地上に降りた。
五日間、いつ、どこで、ターゲットと接触してもかまわない。ただし一日二時間とルールがある。

誰が作ったかわからないルールだが、僕達は必ず守る。でないと面白くないからだ。

僕はターゲットと彼を上から見守る事にした。

⏰:10/10/17 18:00 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#14 [匿名]
ちなみに人間の世界に行く時は人間の姿になる。まあ、あまり変化はないのだけれど羽が取れたり、表情が少し変わる。より人間らしくなるのだ。

彼はターゲットに向かって歩いて行く。人間でいうと二十歳くらいに見える。黒い髪、キリッとした目付きはそのまま。

⏰:10/10/18 00:14 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#15 [匿名]
ドンッ
彼の肩がターゲットに当たった。

「いてぇな」

ギロッと彼が睨む。あんなに怖い顔をして睨んだら悪魔である事がばれてしまうんじゃないかとハラハラする。

「ああ、す、す、すみません!ごめんなさい!」

ターゲットは必死に頭を下げて謝っている。
可哀想だと思ったが、必死な姿に笑えてしまった。

⏰:10/10/18 00:19 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#16 [匿名]
「死んで謝れ」

彼は直球に死ねと言う。
今時死ねと言われて、はい、わかりました。今から死んできます。と死にに行くやつがいるのだろうか。

そんなに簡単に死ぬやつはとっくに死んでいると思ってしまう。

⏰:10/10/18 00:22 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#17 [匿名]
「え、え?いや、あの、お金なら払います。す、すみません、もうしませんから許してください!!」

震える手で財布からお札を抜き彼に渡し、走って逃げて行った。

ターゲットは以前にも同じ様な経験があるのだろうか、怖がり方が異常だった。

⏰:10/10/18 00:27 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#18 [匿名]
ターゲットは死なない。
いや、いつかは死ぬだろうけど自殺はしない。

彼に睨まれてあんなに怖がって逃げて行ったやつは大体死に直面しても同じ様に逃げる。

こっちこいよ!

人間には聞こえない声で彼は僕に呼び掛けてきた。断る理由もないので地上に降りた。

⏰:10/10/18 01:18 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#19 [匿名]
「あいつすげぇびびってたな!こりゃ5日もいらねーんじゃねぇか?」

彼はケラケラ笑う。
本当に人間の心を読まないんだなーと呆れた。

「そんな事よりさこの金で何か食いに行かね?俺のおごりだよ!」

「いいね!」
彼に乗る事にした。

⏰:10/10/18 11:01 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#20 [匿名]
僕達は地上に降りるといつも行く場所がある。
人間からも大変人気だというハンバーガー屋さんだ。

こんなに美味しい物があるなんて人間は幸せだな〜とその時ばかりは思う。

「やっぱうめぇな!」
しみじみとハンバーガーを頬張る彼はもう3個目だ。

⏰:10/10/18 11:36 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#21 [匿名]
ふと視線を感じ隣を見ると、女子高生とやら三人組みが僕達を見ていた。
よくある。
なぜ見られているのか、僕が女子高生とやらを見返すと、こっち見た!!と騒ぎ出した。

そっちが見ていたのにもかかわらず僕が見たら騒ぎ出す。全く意味が解らない。不愉快だ。

⏰:10/10/18 11:42 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#22 [匿名]
もしかして、ばれている?
僕達が人間ではない事が奴らにはわかっているのか?

まずい、面倒だ。

「もう行くよ」

「え?お、おう。お前一つでいーのかよ」

「もう十分だよ。」

足早に彼を連れて席を立った。

⏰:10/10/18 11:48 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#23 [匿名]
「僕達の正体あの隣の子達にばれてたんじゃないかな」
不安を自分の中に抑え込んでおく事が出来なくて、店を出てからすぐに彼に言った。

「あ?ばれるわけねーだろ」

ばれた試しがねーよと、呆れた口調で彼は言うとまだお店の中にいる三人組にヒラヒラと手を降った。

するとまた騒ぎだした。

⏰:10/10/18 16:28 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#24 [匿名]
な?
と彼に言われたが、その意味が理解できず首を傾ける。

「俺らって若い人間の女に人気らしーよ」

「天使と悪魔がか?」

「だからばれてねーって!何かよくわかんないけど見た目?」

人間の見た目になれてるとはいえ、やはりどこか本当の人間とは違うのだろうか。

⏰:10/10/18 16:32 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#25 [匿名]
「お前は鈍感だな。」
ポンと彼に肩を叩かれムッとする。彼にだけは言われたくない。

「それよりお前はいいのかよ、ターゲット」

あぁ、忘れていた。

「今日はいいよ、帰ろう。」

「もう帰るのかよー。」

駄々をこねる子供の真似をする彼を無視し、僕は上へ帰った。

⏰:10/10/18 16:37 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#26 [匿名]
それにしても人間の女は解らない。
心を読む気にもなれない。

人間に僕達の正体がばれるのはとても面倒なのだ。

ばれると一年間くらい地上に降りられなくなる。
大好きなハンバーガーが食べられなくなるのだ。
まあ、ばれた事はない。
彼の言う通りだ。

⏰:10/10/19 10:53 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#27 [匿名]
二日目

「いってくるわ」
なんだかだるそうに、彼はふわっと降りて行った。

それほど興味はないのだが、僕も今日はターゲットと接触するつもりだったので眺める事にした。

今日のターゲットは休みのようで私服姿でスーパーにいた。

その私服も地味だ。
御世辞にもお洒落だなんて言えない。

⏰:10/10/19 11:34 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#28 [匿名]
沢山着たんだなー、これはTシャツも幸せだと感心するほどヨレヨレになった服は、お腹の脂肪を引き立てる。

彼はターゲットの後を2メートルほど開け追跡している。見事に怪しい。

だが他の客は、いかにお得な商品を買うかで一生懸命なのだろうか、商品しか見ていない。

⏰:10/10/19 11:42 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#29 [匿名]
彼は手に小さなお菓子の様な物を持っている。

あれだけ持っているのは怪しい。見た目が子供だったら文句はないが。

ただそんな怪しい彼を誰も怪しいだなんて思わないみたいだ。興味がないのだろう。

彼がサッとターゲットに近づくと、手に持っていたお菓子をターゲットの鞄の中に入れた。

⏰:10/10/19 11:58 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#30 [匿名]
何事もなかったように彼はまたターゲットとの距離を開け、さっきよりは自然に後をつけていた。

何も知らないターゲットはレジに並び会計を済ます。

自動ドアを出た所で彼が近づいた。

「あの!」

突然話しかけられたターゲットはびっくりして、恐る恐る彼を見上げてる。

「え、なんでしょうか?」

⏰:10/10/19 17:36 📱:F06B 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194