天使と悪魔の暇潰し
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#31 [匿名]
「万引き」

「…はい?」

「万引きしただろ?」

「え、何を言ってるんですか?してないですよ!!」

ターゲットは両手を前に出しぶんぶん振って否定をしていた。頭も激しく横に振る。

その姿がとても気持ち悪かった。

⏰:10/10/19 17:40 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#32 [匿名]
「嘘つくな!いーから来い!」
勢いよく背中を押す彼は何だか楽しそうに見えた。

「い、痛い!!嘘じゃないですよー僕はなにも…!!」


ターゲットは嘘などついていない。

嘘などついていないのに、ひどい扱われようだ。

⏰:10/10/19 17:44 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#33 [匿名]
「すみません、あなた店長ですよね?この人万引きしてたんですけど」

彼はスーパーの中までターゲットを連れて行き、レジ付近にいる店長と呼ばれた男に言った。

「え、本当ですか?びっくりだなぁ」

年齢は四十代前半。髪の毛は白髪混じりだが整えられ、お腹の肉もさほどない。ガリガリではなくガッチリした体格。学生時代ラグビーをやっていました!と自己紹介をしてきそうな雰囲気がある。

⏰:10/10/22 13:15 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#34 [匿名]
びっくりだなぁと笑いながら言う店長に彼は少し苛立った顔をした。

「とりあえず事務所で話を聞こう。」

君はどうもありがとう。とターゲットだけを中に入れた。

「ちょ、ちょ、あの待って下さい!!僕何もしてないんですよ」

ターゲットは泣きそうな顔で店長にすがり付く。

「中で聞きますから」

なだめるような言葉にターゲットは下を向き歩き始めた。
はぁ、本当についてない。ターゲットの心の声が聞こえてきそうだ。

⏰:10/10/22 13:22 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#35 [匿名]
「鞄の中のものを出してくれますか?」

「…はい」

財布、ティッシュ、メモ帳、チラシなどを次々出していくが、そこで手が止まった。

「どうしました?出せないものがあるんですか?」

「なんで…」

動いた手はお菓子を持っていた。

⏰:10/10/23 18:01 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#36 [匿名]
「なんで?あの!僕は本当にやってないんです。何かの間違いです!!」

見に覚えのない事が起き動揺している。

「そんな事言われても実際に鞄の中から出てきましたからねぇ。それに皆最初はやってないって言うんです。認めないと帰れないですよ。」

店長は慣れているみたいだ。

「しかもまた何でこんな安いお菓子を万引きしたんです?これくらい買えるでしょう?」

それもそうだ。

⏰:10/10/23 18:07 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#37 [匿名]
「お金は払います。」

「そういう問題じゃないんですよ!!」

「でも本当にやってないんです。」

「はぁ。」

「こんなばかな事しないですよ…」

「何で認めないんだ?」


そんな会話を15分くらい続けている。本当に可哀想なターゲットだ。
弱気な性格なのか怒鳴ったりはしない。

⏰:10/10/23 18:11 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#38 [匿名]
「分かりました。今回は一度目なので警察には通報しません。…お菓子一個だけですし。」

「…はぁ」

「もう帰っていいですよ。」

「はい…」

下を向いたままターゲットは立ち上がり、ドアの前で一礼し外へ出た。

⏰:10/10/24 15:16 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#39 [匿名]
僕はターゲットに接触しようと思った。もう彼は下には居ないみたいだし、何もしないでいるわけにはいかないからだ。

相変わらずターゲットは下を向いたまま暗い顔をしてゆっくり歩いている。ターゲットの周りだけ空気がどんよりしている

「あのすみません。」

ターゲットの鞄から落ちたハンカチを拾う。正確に言うと落ちたではなく、僕が落としたのだ。

⏰:10/10/25 18:05 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#40 [匿名]
今度はなんだ?と言いたげな嫌な顔をしてターゲットが振り返る。

「あの、これ落としましたよ。」
できるだけ優しい言い方で、できるだけ嫌味のない笑顔を向けた。

さっきの彼とは違う親切な青年に見えたみたいだ。ターゲットの顔が少し和らいだ。

「あぁ、すみません!ありがとうございます。」

⏰:10/10/25 18:09 📱:F06B 🆔:☆☆☆


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