天使と悪魔の暇潰し
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#178 [もも◆DwVzW5MnkQ]
続ききになります
:10/12/09 13:59 :SH02A :3xmwpjNA
#179 [匿名]
:10/12/10 01:12 :F06B :☆☆☆
#180 [匿名]
「これ。」
彼が手に持っているのは小さなビンで、中に薬のようなものが入っている。それをターゲットに手渡した。
「盗んできた。これ飲めば、楽に死ねる。あとはお前のタイミングで飲め。俺が居たら嫌なら帰る。見届けて欲しいなら此処に居る。」
「…うん。」
ターゲットは、手に持っているビンを見つめながら呟いた。
:10/12/10 01:27 :F06B :☆☆☆
#181 [匿名]
「私さ、絶対に治らないから、早く死にたいって思ったんだ。」
「おう、聞いた。」
「これ以上苦しむのが怖くて…これ以上、私が私じゃなくなるのが怖かった。」
彼は黙ってターゲットの話を聞いている。
:10/12/10 01:32 :F06B :☆☆☆
#182 [匿名]
「これ以上、お母さんに泣いて欲しくない。私のせいで誰かが苦しんでると思ったら、なんか…なんか痛くて。」
ターゲットは苦しそうな顔をしている。
「こんな状態で生きているのが、辛かった。」
今まで溜まっていた物が、言葉と一緒に流れ出た。
辛いに決まっている。
痛いに決まっている。
:10/12/10 01:40 :F06B :☆☆☆
#183 [匿名]
「もし、1%でも助かる可能性があるなら…」
「え?」
黙ってターゲットを見ていた彼が口を開いた。
「1%でも助かる可能性があるなら、それに賭けたいと思うのは、間違った事かな?」
ターゲットは彼を見る。
:10/12/10 01:47 :F06B :☆☆☆
#184 [匿名]
昨日お母さんが言った話は、寿命だとか延命治療だとか、そういう話ではなかった。
治る可能性がある。
外国へ行けば、新たな技術が進歩しており、手術が出来る。
ただ成功する可能性は低い。手術を始めてみなければ何も分からない、というような話だった。
何もせず死を待つか、少しでも可能性があるなら、それに託してみるか。
:10/12/10 01:53 :F06B :☆☆☆
#185 [匿名]
「生きれるかもしれないと思ったら、急に生きたい!っていう気持ちに変わったの。」
ターゲットはまっすぐ彼を見つめている。
「…私…死にたくない。死にたくないよ。…生きていたい。死にたくない!」
「……………」
彼は何も話さない。ただ強くターゲットを抱き締めていた。
「怖いよ。死ぬのが怖い。」
ターゲットは泣いている。
:10/12/10 02:00 :F06B :☆☆☆
#186 [匿名]
「お前は死なねぇよ!俺が保証してやる。」
彼が悪魔である事を忘れた時だった。忘れたというよりも、悪魔である事を放棄した瞬間だ。
ひたすら泣くターゲットを、ひたすら強く抱き締めていた。
時間というのは残酷で、いつも規則正しく動いている。なのにこんなにも、この二時間が早いとは思わなかった。
呆気なく、僕は勝利した。
:10/12/10 02:06 :F06B :☆☆☆
#187 [匿名]
あれから一週間ほど経ったある日、ターゲットは外国へ飛び立った。
アメリカの病院に入院し、2週間ほど経ち、状態が安定した頃に手術を受けた。
手術は十数時間にも及ぶ、大変な手術だった。
何がどうなっているのか、僕には全く分からない事が行われていて、ターゲットは眠っていたけど、とても胸が痛かった。
:10/12/11 12:34 :F06B :☆☆☆
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