天使と悪魔の暇潰し
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#228 [匿名]
僕には帰る気などなかった。もし僕が帰ろうとしても、彼は残るだろう。それが気に食わなかったのだ。

「僕から声をかけてみます。」

僕は母親の、帰れという意味合いの言葉を無視し、そう伝えた。

そして立ち上がり、え?あ?と動揺している母親を完全に無視して階段を上がる。

僕が部屋をノックするまで、母親は下から僕の様子を見ていたが、ノックがすみ、ターゲットの部屋から大きな物音が聞こえると居間の奥の方へと引っ込んでしまった。

⏰:11/01/03 22:53 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#229 [匿名]
「あのー僕のこと分かりますか?あ、声だけじゃ分からないかな…。君とお話がしたくて来たんだけど。」

僕の得意な、出来るだけ優しい声でターゲットに問いかける。

物音は聞こえない。


「中に入ってもいいかな?」

何も聞こえない。

「じゃあ開けるよ!」

半ば強引に中に入る事にした。ドアノブを握り、捻る。

鍵がかかっていて、少ししかドアノブは回らない。事を想像していたが、意外にも鍵はかかっていなく、すんなりと開いてしまった。

⏰:11/01/03 22:59 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#230 [匿名]
ドアを開けると上で見ていた通り、とても汚い。そして臭いもきつい。汗のような油のような臭いと、食べ物の腐った臭い、そしてタバコ。

一瞬にして気分が悪くなった。

「僕の事を覚えているよね?」

吐きそうな気持ちを押さえて、ニコッと微笑んだ。

ターゲットは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに真顔に戻った。

「何で家が分かったのー?怖いねー。もしかして昨日つけてたのー?気付かなかったな。」

にやにやとパソコンを見ながら言葉を発しているターゲットは、僕を全く見ない。

「昨日の事、誰かに言ったのー?ニュースでは犯人は捜索中ってなってたけど。」

⏰:11/01/03 23:09 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#231 [匿名]
「昨日の事は誰にも言ってないよ。僕の刺された友達は、隠しておいた。だから君の罪は、少し軽くなるかもね。」

僕はやっぱり、得意の出来るだけ優しい笑顔で語りかける。

「面白い事をするねー!」
ターゲットが僕を見た。目を見開き、不気味な笑い声を発して笑っている。キャーキャッキャとも、ヒャーヒャッヒャとも取れない声だ。

⏰:11/01/03 23:17 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#232 [匿名]
ちなみに彼は、ターゲットには見えない姿で僕の隣にずっといる。

僕にしか聞こえない声で、くっせぇ!だの、きたねぇ!だの、うぜぇ!だの騒いでいる。

たまに歩き回り、ターゲットの目の前まで行ったり、パソコンを覗き込んだりしている。

やめてほしい。目障りで、ついつい彼の動きが気になって見てしまう。

僕には見えないが、ターゲットにだけ見えるという、演技をこれからしなくてはいけないのに。

⏰:11/01/03 23:22 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#233 [匿名]
「自首…しなよ。」

僕は真顔を作った。
ターゲットは僕の言葉を無視している。

「君がした事は犯罪だよ。どうして人を殺したのに、平気でいられるの?」

僕は気にせず質問をぶつける。無視されてもいいや、と投げやりな気持ちでいた。だがターゲットは、僕の気持ちとは裏腹に、ギロッとこちらを睨んだ。

⏰:11/01/04 12:18 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#234 [匿名]
「人を殺して平気でいられないような弱い人間じゃないんだよ僕は。人を殺す事に迷っているから震えるんだ。殺したいと思ったら、迷わないんだよー僕は、強いから。」

早口でターゲットは喋る。

人間の強い、弱いが、人を殺す事で決めていいのだろうか。

水泳、格闘技、野球、ろいろな種目で一番強い者が決められている。それなら人殺しという種目で一番強い者を決めてもいいのか!と思った。思った瞬間その考えを捨て去った。馬鹿げてる。

⏰:11/01/04 12:25 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#235 [匿名]
そんな戦い、悪魔の彼が優勝に決まってる。

とても気にくわない。

「じゃあ聞くけど、どうしてあの人を殺したの?殺したい程憎んでいたのか?」

ターゲットが少し興奮していたので、今なら何でも話してくれるような気がしていた。

⏰:11/01/04 12:28 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#236 [匿名]
「あいつは人間のくずだから!あんな大人がうじゃうじゃいるから、この国がダメになるんだ!」

どうやら、殺したいと思った原因はあるらしい。

「あいつらは皆汚い。金があればよくて、いらないものは全て廃除。自分がよければそれでいいと思ってるんだ!許せないよねー?」

そんな事を聞かれても、僕にはどうでもよかった。この国が終わりを迎えようと、関係ない。

「そんな君も、自分がよければそれでいいと思っているんじゃないのかな?」

冷静に言葉を発した。

沸々と怒りが込み上げてくるのが、手に取るように分かる。ターゲットはハァハァと息を荒くし、髪の毛をくしゃくしゃと触り始めた。

⏰:11/01/04 12:37 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#237 [匿名]
それから何だかよく分からない事を、大声で怒鳴り始めた。大声すぎて聞き取れなかった。

ただとてつもなく怒っているのは、誰が見ても分かるだろう。

騒いだままターゲットは手に何かを掴んだ。黒くて固そうな何か。

あ、殺される。

僕の直感が働く。死なないのだけれど。

⏰:11/01/05 17:19 📱:F06B 🆔:☆☆☆


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