天使と悪魔の暇潰し
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#35 [匿名]
「鞄の中のものを出してくれますか?」

「…はい」

財布、ティッシュ、メモ帳、チラシなどを次々出していくが、そこで手が止まった。

「どうしました?出せないものがあるんですか?」

「なんで…」

動いた手はお菓子を持っていた。

⏰:10/10/23 18:01 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#36 [匿名]
「なんで?あの!僕は本当にやってないんです。何かの間違いです!!」

見に覚えのない事が起き動揺している。

「そんな事言われても実際に鞄の中から出てきましたからねぇ。それに皆最初はやってないって言うんです。認めないと帰れないですよ。」

店長は慣れているみたいだ。

「しかもまた何でこんな安いお菓子を万引きしたんです?これくらい買えるでしょう?」

それもそうだ。

⏰:10/10/23 18:07 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#37 [匿名]
「お金は払います。」

「そういう問題じゃないんですよ!!」

「でも本当にやってないんです。」

「はぁ。」

「こんなばかな事しないですよ…」

「何で認めないんだ?」


そんな会話を15分くらい続けている。本当に可哀想なターゲットだ。
弱気な性格なのか怒鳴ったりはしない。

⏰:10/10/23 18:11 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#38 [匿名]
「分かりました。今回は一度目なので警察には通報しません。…お菓子一個だけですし。」

「…はぁ」

「もう帰っていいですよ。」

「はい…」

下を向いたままターゲットは立ち上がり、ドアの前で一礼し外へ出た。

⏰:10/10/24 15:16 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#39 [匿名]
僕はターゲットに接触しようと思った。もう彼は下には居ないみたいだし、何もしないでいるわけにはいかないからだ。

相変わらずターゲットは下を向いたまま暗い顔をしてゆっくり歩いている。ターゲットの周りだけ空気がどんよりしている

「あのすみません。」

ターゲットの鞄から落ちたハンカチを拾う。正確に言うと落ちたではなく、僕が落としたのだ。

⏰:10/10/25 18:05 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#40 [匿名]
今度はなんだ?と言いたげな嫌な顔をしてターゲットが振り返る。

「あの、これ落としましたよ。」
できるだけ優しい言い方で、できるだけ嫌味のない笑顔を向けた。

さっきの彼とは違う親切な青年に見えたみたいだ。ターゲットの顔が少し和らいだ。

「あぁ、すみません!ありがとうございます。」

⏰:10/10/25 18:09 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#41 [匿名]
なんだ…と呟き僕の手からハンカチを受けとる。

「すみません、ありがとうございました。」

ターゲットは丁寧にお辞儀をし、前を向こうとする。

「何かあったんですか?」
突然の僕の問いにターゲットは、え?と目を丸くする。

「いや、なんだって言われたので何かあったのかと思いまして。」

⏰:10/10/25 19:00 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#42 [匿名]
「あぁ、ちょっとね不運な事が起こりまして。最近そんな事ばかりでね、いろんなものを警戒してしまうんですよ。」

「そうでしたか」

「ああ、ごめんなさい!こんな愚痴聞きたくないですよね。」

頭をポリポリとかき、照れているのか恐縮しているのか分からない顔をしている。

⏰:10/10/25 19:14 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#43 [匿名]
「いえ、そんな事ないですよ。」

そんな事はない。あなたの気持ちが知りたいから。そこで優しい言葉をかけて自殺から救わなくてはいけないから。

「死にたいって思います?」
唐突な僕の質問にターゲットはまた、え?と驚いた顔をする。きっと彼の仕業以外にも不幸な事は沢山起きているのだろう。その度に死にたいと思うに違いないと僕は思った。

⏰:10/10/26 16:35 📱:F06B 🆔:☆☆☆


#44 [匿名]
人間は小さな不幸があると、あーもう死にたい!と口にする。

テストの点数が悪かったり、恋人に振られたり、上手く行くはずの仕事が失敗したり、浮気された時。大好きなカレーを白い洋服にこぼした時や、沢山の人が通る場所で派手に転んだ時。

僕からしたらそんな事はどうだっていいのだ。

全く興味がない。

いや、馬鹿馬鹿しくて笑う事もできない。

⏰:10/10/26 16:42 📱:F06B 🆔:☆☆☆


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