天使と悪魔の暇潰し
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#69 [匿名]
それからターゲットは適度に会話をして、適度に飲んで、食事を楽しんでいた。
お酒が弱いのか、女性を目の前にしているからなのか、徐々に顔が赤くなってきた。
そこで隣にいる彼は舌打ちをし始め、そわそわと動き出した。
「こりゃ悪魔として、放っておく訳にはいかねーよなー?」
:10/11/04 17:07 :F06B :☆☆☆
#70 [匿名]
同意を求められても僕は天使で、悪魔にはなれないから彼の気持ちは分からない。
「君は悪魔だもんね。」
と質問の答えにはなっていない返事をした。だが僕の答えに彼は納得したみたいだ。
「だよな!そうだよ。俺は生まれてこの方人間の幸せを願った事はねーんだよ。幸せそうな笑顔を見ると虫酸が走る!」
嫌な顔をして彼は肩と顔を震わせた。
:10/11/04 17:12 :F06B :☆☆☆
#71 [匿名]
その時下では、女性が席を立っていた。きっとトイレだ。
「ってことで行ってくるわ!幸せな時間はここまで」
ニヤッと笑う彼は実に恐ろしい。
お手柔らかに、と彼に言うが、聞く耳は持っていない。
:10/11/04 17:17 :F06B :☆☆☆
#72 [匿名]
女性トイレ付近で、女性が出て来るのを彼は待っている。
黒いスーツをきて、髪の毛も後ろに流して整えられている。僕達は思い描いた格好に一瞬にして変える事が出来る。
少しして女性は出てきた。
彼の前を通り過ぎようとしたとき、彼は呼び止めた。
「あの、あなたあそこに座ってる男性と一緒に来られた方ですよね?」
いつになく丁寧な喋り方の彼が、後ろ姿のターゲットを指差す。
「えぇ、そうですがなにか?」
いきなり見ず知らずの若者に言われ、警戒をしている。当たり前の事だ。
:10/11/04 17:27 :F06B :☆☆☆
#73 [匿名]
「これは忠告です。ター…た、多分あなたははめられています。」
何の話ですか?と女性は怒った顔をした。
「簡単に説明します。あの男性は詐欺師です。あの方は結婚していて、その妻と二人で詐欺をしているんです。」
「おっしゃってる意味がよくわかりません。からかっているのなら私ではなく、他を当たって下さい!」
完全に怒ってしまった。彼の口からあんな嘘が出てくるとは思わなかった。
:10/11/04 17:34 :F06B :☆☆☆
#74 [匿名]
「ちゃんと聞いてください!あの男性は複数の女性と関係を持っています。そう、不倫です。でもそれは本気ではない。お金の為なんです。」
彼の正義感溢れる口振りに、女性は騙され始めた。
「不倫している事が妻にばれたふりをして、妻が不倫相手に慰謝料を請求するという流れになっているんです。だから、あなたも危ないんです!!」
「そんな…まさか!」
恋人を信じたいという気持ちなのだろうか、女性は泣きそうな顔をしている。
:10/11/04 17:42 :F06B :☆☆☆
#75 [匿名]
「全て本当の話です。実は昨日も一人の女性がお金を払ってしまいました。次のターゲットはあなたなのです。」
「私はどうしたら…」
しばらくの沈黙のあと掠れた声で女性が呟いた。
「逮捕するのは警察の役目です。あなたの身に危険が及ぶ可能性がありますので、あの男性との関係をこの場で終わらせてください。」
「…分かりました。」
:10/11/04 17:48 :F06B :☆☆☆
#76 [匿名]
「あ、僕とのこの会話はあの男性にはバレないようにしてください。とても危険なので。…では、私は店の外で見張っております。」
一礼し、彼は外に出た。
女性はゆっくりとターゲットの元へ向かう。
「あ、大丈夫ですか?気分でも悪いですか?」
長い間トイレから帰って来ない女性を心配したのだろう。ただ今の女性にはターゲットの優しい言葉も全て嘘に感じている。
:10/11/04 17:52 :F06B :☆☆☆
#77 [匿名]
「え、えぇ。」
女性の顔は緊張していた。
「あの、一つお伺いしてもいいですか?」
女性はふぅと息を吐き、本題へと入ろうとした。
「ええ!何でも聞いてください!」
ターゲットは女性に興味を持たれているのが嬉しいようで、ウキウキしている。
:10/11/04 17:57 :F06B :☆☆☆
#78 [匿名]
「昨日何か大変なことが起こりましたか?」
遠回しのような、直球のような質問だ。
え?とターゲットは少し考えるが、すぐにはっと思い出した。
昨日は万引きの容疑をかけられていたのだ。
「あ、えっと、その…な、なにもなかったですよ!!何もしてないです!!」
ターゲットは万引きをしたと思われては確実にふられてしまうと思い、必死に隠そうとした。
:10/11/04 18:02 :F06B :☆☆☆
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