亡き君に告ぐ
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#100 [不発花火]
「わかりました。では、これから向かいます」
『随分早いね?』
また男がクックッと喉で笑う。
「後々だと…僕の心臓がもちません」
ハハ、と笑ってみせるが、ヒクッと喉が引き攣るのがわかる。
怖いのだ。
だって人を殺すんだ。
:10/12/29 16:55
:SH04B
:2c2Jat.Y
#101 [不発花火]
もし「助けてくれ」と懇願されたら?
もし恐怖で涙が溢れる瞳で見つめられたら?
そう考えると本当に自分が出来るのか不安になるが、妻の顔がふと浮かんだ。
愛しい妻と、その子供。
リストラされた僕には出産費用や養育費、とにかく大金が必要になる。
:10/12/29 16:56
:SH04B
:2c2Jat.Y
#102 [不発花火]
500万あれば、今まで少ない給料で貯めていた貯金と合わせれば2年は家族3人なんとか生活出来るだろう。
その間に僕は再び就職先を見つければいい。
足りなくなったらアルバイトをしながらでも出来る。
もう、引き返せない。
:10/12/29 16:56
:SH04B
:2c2Jat.Y
#103 [不発花火]
気付けば電話は切れていて、僕はただ携帯を持ったまま立ち尽くしていた。
「―幸せのためなら」
僕は上着を羽織り、マスクを付け、家を飛び出した。
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:10/12/29 16:56
:SH04B
:2c2Jat.Y
#104 [不発花火]
絶望、それだけ。
―リストラ、その先は(3)―
:10/12/29 21:38
:SH04B
:2c2Jat.Y
#105 [不発花火]
ギィ、と錆びた音を立てながら扉が開き、僕は中に足を踏み入れた。
―場所は○×倉庫。
随分前に廃墟と貸した倉庫には、中にはもちろん周りにも誰一人としていなかった。
静寂の中、僕の呼吸の音が大きく聞こえた。
先程から煩く鳴る心臓の音まで聞こえそうだ。
:10/12/29 21:38
:SH04B
:2c2Jat.Y
#106 [不発花火]
突如、背後から扉が大きな音を立てて閉まる。
僕の体はビクリと跳ね、鼓動が今までよりも早く鳴りはじめた。
マスクを外すと、ポタポタと汗が足元に落ちる。
目線を少し上げると、何もない倉庫の中に何かが転がっていた。
:10/12/29 21:39
:SH04B
:2c2Jat.Y
#107 [不発花火]
それがガムテープと包装紙のような紙でグルグル巻きにされ、芋虫のような状態になっているそれが人間だと気付くのにあまり時間はかからなかった。
もぞもぞと苦し気に動いているのだ。
まるで助けを乞うように。
:10/12/29 21:39
:SH04B
:2c2Jat.Y
#108 [不発花火]
「はっ、はぁ…はぁ…」
それを見た途端、呼吸が酷く乱れるのを感じた。
確かに生きているそれを、僕は殺す。
妻との幸せな未来のために。
:10/12/29 21:40
:SH04B
:2c2Jat.Y
#109 [不発花火]
「あ、武器…武器は」
早く済ませ、金を貰って帰りたい。
妻が待つ家に。
きっと何も知らない妻は僕を笑顔で迎えてくれるだろう。
僕はうまく笑えるだろうか。
:10/12/29 21:40
:SH04B
:2c2Jat.Y
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