亡き君に告ぐ
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#110 [不発花火]
それに近付くと、もぞもぞと動くそれの横に黒いビニール袋があった。
中を開くと大金と、一丁の拳銃が無造作に入っていた。
初めて見る拳銃と大金。
束ねられていない札は500万以上あるように感じた。
「―そういえば、影武者は」
影武者の存在がどこにもないのを確認すると、突如僕の携帯が鳴りはじめた。
:10/12/29 21:40
:SH04B
:2c2Jat.Y
#111 [不発花火]
何もない空間に響く携帯の音に体が大きく跳ね、震える体で画面を確認すると『非通知』の文字があった。
「も、もしもし…」
『やぁ、私だ。影武者の存在は心配するな。こちらから君の姿は見えているよ』
:10/12/29 21:41
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#112 [不発花火]
―なんで、僕の番号を。
聞き慣れた男の声。
僕は男に電話をかける時は必ず非通知にしていたし、今まで一回だって男から電話がかかってくることはなかった。
『驚いているな?こちらは君のことを何でも知っているんだ。
さて、早速そこに転がる芋虫を殺して頂こうか』
男はそう言うと、有無を言わさず電話を切った。
:10/12/29 21:41
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#113 [不発花火]
僕はただ呆然と立ち尽くし、横に転がるそれに目をやった。
口を塞がれているのか、声を上げることもなく、ガムテープと包装紙でグルグル巻きになっている体を逃げようと必死になっている塊。
性別すらわからない人間。
顔すら覆われてるのが救いか。
:10/12/29 21:41
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#114 [不発花火]
僕は銃を手に取り、横になるそれを蹴飛ばして仰向けにして心臓に向ける。
「―神様」
目を閉じて、刹那。
乾いた銃声が倉庫に鳴り響く。
目を開けると、ピクリとも動かないそれの胸元辺りの包装紙が血に濡れていくのが見えた。
:10/12/29 21:42
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#115 [不発花火]
ジワジワと染み込み、床に血溜まりを作っていく。
僕はあまり見ないように、黒いビニール袋を手に取り颯爽と倉庫を後にしようと扉に足を向ける。
不思議と先程まで感じていた恐怖も何も感じなかった。
なぜか清々しささえ感じていた僕は異常なのだろうか。
それともずっと感じていた恐怖と緊張感から逃れられた安堵感なのだろうか。
:10/12/29 21:42
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#116 [不発花火]
薄暗い倉庫から出ると、陽は高く登り、眩しさに目を凝らした。
「やぁやぁ、君は見事任務を成し遂げることに成功したね」
「!?」
突如背後から聞き慣れない声が聞こえ、勢いよく振り返ると、扉の横にもたれ掛かるように老人が立っていた。
「…社長…?」
:10/12/29 21:43
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#117 [不発花火]
老人はよく見慣れた人物だった。
忘れもしない、自分がつい先日まで勤めていた会社の経営者。
人物に解雇を告げた張本人。
まさか、社長が。
社長が僕に人を殺させたというのか。
「君は見事大金を手に入れることが出来た訳だが、代わりにとても大切なものを失った」
:10/12/29 21:43
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:2c2Jat.Y
#118 [不発花火]
社長はニコニコと人当たりの良い笑顔を向けている。
「どういうこと、ですか」
心臓が再び大きな音を立てて鼓動を刻み始めた。
「君が殺した人間を確認してくれば、全てわかるよ」
社長の顔から笑みが消え、声のトーンを落とした。
その声は、電話越しの男の声と同じだった。
:10/12/29 21:43
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:2c2Jat.Y
#119 [不発花火]
「さぁ、確認しておいで」
トン、と肩を叩かれる。
僕は弾かれたように再び倉庫の扉を開け、事切れたそれに近づき包装紙とガムテープを解く。
おかしなくらいに手が震え、うまく開けることが出来ない。
乱暴に包装紙を剥ぎ取ると、そこには変わり果てた愛しい妻の顔があった。
「―…ッ!」
:10/12/29 21:44
:SH04B
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