亡き君に告ぐ
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#162 [不発花火]
毎日、君を探す人がいる。

サクサク、と波で湿った砂浜が足音を立てる。

「必ず、見つける」

その人は言った。

冷たい風がその人の体温を容赦なく奪っていく。

気付けば夕闇に浮かんでいた。

⏰:11/01/09 16:37 📱:SH04B 🆔:CF17bEo.


#163 [不発花火]
毎日、君を叱る人がいる。

「馬鹿なことを」

叱るその人は大粒の涙をボロボロと零していた。

涙は砂浜に吸い込まれ、消えた。

夕焼けが涙を美しく照らしていた。

⏰:11/01/09 16:38 📱:SH04B 🆔:CF17bEo.


#164 [不発花火]
(君は皆に愛されていた)


亡き、君へ。


END

⏰:11/01/09 16:38 📱:SH04B 🆔:CF17bEo.


#165 [不発花火]
どうせなら、美しく死にたい


―美しい死体―

⏰:11/01/21 22:11 📱:SH04B 🆔:esLpyWR6


#166 [我輩は匿名である]
恵まれた容姿。
恵まれた頭脳。
恵まれた家庭。

何一つ不自由はなかった。

けれど、それは孤独の魔法。

美しいと言われる容姿は同性から嫉まれ、異性からは近寄り難いと言われ、いつも一人だった。
恵まれた頭脳は同性からも異性からもお高く止まっていると言われ一人になった。
恵まれた家庭は近所から嫌みだと疎まれた。

⏰:11/01/21 22:11 📱:SH04B 🆔:esLpyWR6


#167 [我輩は匿名である]
両親だけが私の味方だった。
両親はいつも一人でいる私の気持ちを汲んで、昔から「辛かったら家にいればいい」と言ってくれた。
それが嬉しかった。
無理矢理外に出されるよりも、一人で家にいた方がずっと気が楽だったから。

でも、私の唯一の味方だった両親も先月交通事故で亡くなった。

私に残されたものは一生働かなくとも生きていける程の莫大な財産だけだった。

⏰:11/01/21 22:11 📱:SH04B 🆔:esLpyWR6


#168 [我輩は匿名である]
そんな大金だけがあっても、所詮は一人。
今更外に出て友人や恋人を作る気などさらさらなかった。

どうせまた一人になるのだ。
また一人になる虚しさを感じるくらいなら初めから一人だった方がいい。

一人で死んだ方がいい。

だから私は、恵まれたこの容姿を崩さないまま死ぬことを決めた。

⏰:11/01/21 22:12 📱:SH04B 🆔:esLpyWR6


#169 [我輩は匿名である]
生きていても一人。
ならいなくても同じ。

だから私は今、高層ビルの屋上にいる。

飛び降りの遺体は悲惨なものだと聞くが、臀部から着地すればそれは綺麗な死体になるらしい。

だから、臀部が下になるように飛び降りた。

⏰:11/01/21 22:12 📱:SH04B 🆔:esLpyWR6


#170 [我輩は匿名である]
これで私の遺体は綺麗なまま。
美しいまま。

なのに、どうして。

なぜ私は飛び降りたはずの場所に佇んでいるのか。

確かに飛び降りたはずなのに。

「お姉さんが望んでいる綺麗な死体とは程遠いものだったからだよ」

「!?」

⏰:11/01/21 22:12 📱:SH04B 🆔:esLpyWR6


#171 [我輩は匿名である]
クン、と服を捕まれ、そこを見ると小さな少年がいた。

黒い髪に、大きな瞳。
可愛らしい顔立ちの少年がいつの間にか私の隣にいた。

「なんで…」

「臀部から着地しようとしたみたいだけど、そんなの偶然じゃなきゃうまくいかない。お姉さんの死体は脳みそグチャグチャで体は変な方向に曲がり放題。骨も突き出てたしね」

⏰:11/01/21 22:13 📱:SH04B 🆔:esLpyWR6


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