亡き君に告ぐ
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#87 [不発花火]
『殺し方はこちらが指示をする。道具もこちらで用意する。お前はただ決められた人間を殺すだけだ。もしバレたり見られたりしたらお前の変わりに影武者を用意するからお前は何も気にする必要はない』
あ、なんかそれなら大丈夫そうだ。
バレても影武者がいるなら全然問題なくこれから先の人生を過ごせそうだ。
でも、人を殺したという事実を背負ったまま人生を過ごせるか?
:10/12/23 15:54
:SH04B
:vGZkDNeY
#88 [不発花火]
世間は知らなくても自分が死ぬまで一生人殺しのレッテルを貼って生きていかなきゃならないんだぞ。
自分はそれに堪えられるのか?
『ただし、条件がある』
条件。
よし、それで決めよう。
『もし殺すことに躊躇いが出て失敗した時だ』
ゴクリ、と自分が唾を飲み込む音が大きく響いた。
:10/12/23 15:55
:SH04B
:vGZkDNeY
#89 [不発花火]
電話越しの男がクックッと喉を鳴らしながら笑っているのが聞こえる。
『その時はお前を殺す』
―いいな?
「…わかりました」
将来のため。
僕と妻と子供の幸せの未来のため。
『じゃあ、場所とターゲットを今から言う。決して躊躇うな。わかったな』
どうせ職なんか見付からないし、無駄な労力は使いたくない。
僕にはなんの資格も取り柄もないし、大学だって出てない。
:10/12/23 15:55
:SH04B
:vGZkDNeY
#90 [不発花火]
何より妊娠した妻に心配をかけたくなかった。
前の職場に就けたのは奇跡に近いレベルだ。
見ず知らずの人間を殺して大金がもらえるなら、妻が笑顔でいてくれるなら、自分は闇に墜ちたとしても構わない。
一生人殺しのレッテルを掲げたまま生きてみせる。
愛する妻と、子供のため。
「…わかりました。10日後の、○×倉庫ですね」
僕は、大罪を犯す。
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:10/12/23 15:56
:SH04B
:vGZkDNeY
#91 [不発花火]
朝日が眩しく、僕を照らした。
―リストラ、その先は2―
:10/12/29 16:52
:SH04B
:2c2Jat.Y
#92 [不発花火]
「全然寝れなかった…」
寝不足に加えて朝の光が強く差し掛かり、頭痛がする。
今日は約束の10日後。
妻には「体調が優れないため長期の有給休暇を取った」と嘘を吐き、やはり人を殺すという罪悪感と恐怖から余り眠れない日々を過ごした。
:10/12/29 16:53
:SH04B
:2c2Jat.Y
#93 [不発花火]
「おはよう」
軋む体に鞭を打ち、妻がいるだろう居間に向かうがいつも笑顔で「おはよう」と迎えてくれる妻はいなかった。
代わりに、テーブルに妻からのメモが残されていた。
『友人と出かけてきます。
朝ごはんは適当に作ってしっかり食べてね。
洗濯と掃除をよろしくお願いします。』
:10/12/29 16:53
:SH04B
:2c2Jat.Y
#94 [不発花火]
他にもメモがあり、洗濯機の使い方と洗濯物のたたみ方、掃除の仕方、調味料の場所等が記されていた。
「なんでこんな丁寧に書いてんだ…」
やけに詳しく書かれたメモに自分は妻から本当に何も出来ない人間だと思われてたことに僅かに怒りを覚えたが、そこは気にしない。
:10/12/29 16:53
:SH04B
:2c2Jat.Y
#95 [不発花火]
メモの通り一通りの仕事をやり終えてから、そういえば時間を確認していないことを思い出し再び非通知で雇い主に電話をかけた。
―プルルル
コール音がやけに大きく聞こえる。
出なければいい、やはり何かの冗談であって欲しい、でも今は金が必要だ。
:10/12/29 16:54
:SH04B
:2c2Jat.Y
#96 [不発花火]
色々考えてるうちに、酷く手が震えることに気付く。
やはり、自分は。
『―やあ、今日は約束の日だが、覚悟は出来たかい?』
ドクン、と心臓が高鳴った。
「あ、は、はい…あの、時間を、確認するのを…忘れてしまって…」
:10/12/29 16:54
:SH04B
:2c2Jat.Y
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