大量生産の屑みたいな短編集
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#26 [ランチルームの怪奇(4)]
俺たちは放課後、一階のランチルームと呼ばれている普段人の立ち寄らない部屋に入った。そして沢山の畳んだテーブルによって塞がれてしまった窓の鍵を外しておいた。

そして家に帰り、各自荷物を用意した。塩や酒と言った物を分担して持って来ることにしたのだ。俺たちはそれが幽霊に対して武器になると思っていた。

俺はビニール袋に塩を入れ、それを無理やりポケットに入れた。


十時ぴったりに、俺は学校の玄関前に到着した。誰も居なかった。玄関前の段差に腰をかけ、友人とマッチョを待つことにした。

⏰:11/02/01 23:12 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#27 [ランチルームの怪奇(5)]
闇に包まれた学校は廃棄された建物ような暗い感じを思わせた。昼の明るい学校とは明らかに違う雰囲気を持つ不気味な学校。その玄関前で友人を待っていると経過する時間がとても遅く感じられた。

急に寒くなった。七月だと言うのに身体が冷えてきた。まずいな、と俺は思った。夜の学校が持つ不思議な魔力に飲み込まれつつあるんだ。俺は懐中電灯で腕時計を照らした。長い針は五分を指していた。あと五分経って誰も来なかったら帰ろう。

⏰:11/02/01 23:12 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#28 [ランチルームの怪奇(6)]
何だか嫌な予感がする。夜の学校は俺を不安にさせた。ここから立ち去りたい。早く十分になれ、と思った。十分を待たずに帰ろうとも思った。

バイクがエンジン音を響かせながら学校の前を通り過ぎた。聞き慣れたバイクのエンジン音さえもなんだか不気味な悲鳴に聞こえた。

⏰:11/02/01 23:12 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#29 [ランチルームの怪奇(7)]
八分になった所で校門に人影が見えた。それは校門を越えるとこちらに向かって走ってくる。

友人か? マッチョか?

近付くにつれ、人影がはっきりする。体格は普通。がっしりしていない。友人だ。とにかく俺は安心した。人が来たおかげで気が楽になった。

「遅かったじゃないか」と俺は言う。友人は「悪い。料理酒持ってくるのに手こずった」と大して悪びれる様子もなく言った。

「マッチョは来てないのか?」
「来てないみたい」
「今何時だ?」

俺は腕時計を懐中電灯で照らす。

「十時十分」
「じゃあ十五分まで待とう」

⏰:11/02/01 23:13 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#30 [ランチルームの怪奇(8)]
また待つのか……。なんだか一時間くらい待ってた気がする。これならもっと遅くくればよかった。

結局十五分になってもマッチョは現れなかった。俺たちは仕方なくマッチョ抜きでランチルームまで歩いた。

「あいつビビったんだよ」と友人は言った。「マッチョなくせにビビったんだ」

「意外だよな。幽霊なんて怖くないような面してんのに。しかもマッチョなのに。マッチョが幽霊にビビるってライオンがきりんにやられるくらいショックだよな」と俺は言った。

なんだよ、マッチョのくせに。俺たちはマッチョに失望していた。その筋肉はお飾りかよ。

⏰:11/02/01 23:13 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#31 [ランチルームの怪奇(9)]
ランチルームの窓は開いていた。開いている? おかしい。鍵は外した。しかし窓は開けていない。俺たちは顔を見合わせた。

「マッチョじゃね?」と友人は言った。「一人で侵入? 馬鹿かよ」と俺は言った。二人で苦笑する。

友人が先にランチルームに忍び込む。俺も後に続く。両手を窓枠にかけ、身体を持ち上げたら右足を窓枠にかける。そして身体の左半分をランチルームに入れる。侵入完了。

⏰:11/02/01 23:16 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#32 [ランチルームの怪奇(10)]
ランチルームはなんだかじめじめしていた。空気が違う。それで暗かった。不気味な暗さだった。お互いの表情が見える程度の闇。時々部屋の隅や天井の何かが動いた気がした。俺は懐中電灯の光線を浴びせる。しかしなにもいない。気のせいだ。

「どうした?」と友人が不安げな顔をして言う。「いや、何でもない」と俺は答える。何でもない、何でもない。

俺たちはランチルームを出て、廊下を真っ直ぐ進んだ。非常口の緑の誘導灯の光が廊下を照らしている。二人の歩く音だけがする。俺たちは会話を交わさず、息を潜めながら進む。

⏰:11/02/01 23:16 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#33 [ランチルームの怪奇(11)]
トイレのある所を足早に通り過ぎる。廊下の突き当たりの角には水槽があった。酸素ポンプがぶくぶくと音を鳴らす。やはり不気味。

俺たちは左に曲がって体育館を目指した。バスケットボールを突く音が聞こえるんじゃないか、という変な期待を込めて……。

⏰:11/02/01 23:17 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#34 [ランチルームの怪奇(12)]
体育館の入り口は閉まっていた。大丈夫。扉に鍵は無い筈だ。うろ覚えだがたしか無かった。

「おいちょっと待て……」と友人が立ち止まり、声を潜めて言った。体育館まであともう少しの距離だ。

「なんだよ?」と俺が訊くと、友人は「しっ!」と言った。

ダン……、ダン……。

俺は耳を疑った。おいおい嘘だろ?

ダン……、ダン……。

バスケットボールを突く音だ! 間違いない。それは確かに聞こえた。友人がチラッとこっちを見る。

⏰:11/02/01 23:17 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


#35 [ランチルームの怪奇(13)]
「塩持って来たよな?」と友人が訊ねた。俺は「あるけど」と言い、ポケットから塩の入ったビニール袋を取り出した。友人はリュックサックから料理酒を取り出す。

「なんか襲ってきたら塩と酒をぶっかける」
「本当に効き目あんのかな?」
「なかったら困る」

そりゃあそうだ。困る。

ダン……、ダン……。

俺たちは体育館の扉にぴったり付く。

「開けるぞ?」と友人は言う。「ああ……」と俺は力なく言う。

友人は料理酒を構え、俺は手に塩を握る。友人が片手で重たい扉を音を立てながらスライドさせた。

⏰:11/02/01 23:17 📱:biblio 🆔:R.sy3Skc


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