†horror†
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#91 [輪廻◆j6ceQ96kak]
雪乃『じゃあ着いたら起こして。おやすみ〜!』


雪乃が眠りについてから、車内は驚くほどの沈黙に支配された。


優斗『音楽でもかけっか!』

沈黙は苦なのか、吉田は前を見ながら片手でカセットテープを手探りで探し、それを見つけるとセットし再生ボタンを押した。

⏰:11/05/06 11:57 📱:T004 🆔:c7ITtZXU


#92 [輪廻◆j6ceQ96kak]
吉田の好きそうなロックの歌が車内に流れる。


山の中には不釣り合いな曲だな、と響歌は少々ガッカリしていた。


その曲がサビに入ろとした瞬間だった。


『ザザザザザザザザザ…』

カセットテープが壊れたのか、男性の声は一瞬にしてノイズのような音に変わった。

⏰:11/05/06 12:00 📱:T004 🆔:c7ITtZXU


#93 [輪廻◆j6ceQ96kak]
優斗『あ? なんだこりゃ』


しばらく聞き流していると…


『ザザッ…ココデ……ワタシハ…ザザザザザ』


優斗『なんだ? この曲にそんな歌詞ないぜ?』

吉田は独り言のように自分に問いかける。

⏰:11/05/06 12:04 📱:T004 🆔:c7ITtZXU


#94 [輪廻◆j6ceQ96kak]
ここで響歌が何かに気づき、問いかける。


響歌『あの…この曲って男性だけで歌ってるんですか?』


優斗『ああ。それがどうかした?』


響歌『今の声…女の人でしたよ?』


優斗『…マジ?』

吉田はミラー越に響歌の顔を見て、響歌も吉田と目を見合わせた。

⏰:11/05/06 12:08 📱:T004 🆔:c7ITtZXU


#95 [輪廻◆j6ceQ96kak]
優斗『気味悪ィな』

手探りで停止ボタンを押す。

しかし反応がない。


優斗『ちょっと車止めるぞ』

山の中は険しくなってきていて他の車が来なくなった為に車を一旦停止した。


改めてテープの停止ボタンを連打するものの、全くノイズは止まらない。

⏰:11/05/06 12:12 📱:T004 🆔:c7ITtZXU


#96 [輪廻◆j6ceQ96kak]
そこで、止まっている車に気がついたのか雪乃が目を覚ました。


雪乃『あれ、もう着いたの?』


優斗『これ聞こえるか? さっきから鳴りっぱなしなんだよ。停止押しても反応ねえし』

少しイライラモードの吉田。


それを悟った雪乃は冷静に言った。


雪乃『一回エンジン切ればいいんじゃない?』

⏰:11/05/06 12:17 📱:T004 🆔:c7ITtZXU


#97 [輪廻◆j6ceQ96kak]
優斗『あ、そっか』


雪乃『しっかりしてよ〜。もう着いたのかと思ったし。せっかくいい夢見てたのにな』


優斗『起こして悪ィな』

そう言ってエンジンを切ると同時に音はピタリと止んだ。


優斗『よし、じゃあ気を取り直して行くか!』

再びエンジンを入れ、車を急発進させた。

⏰:11/05/06 12:20 📱:T004 🆔:c7ITtZXU


#98 [輪廻◆j6ceQ96kak]
30分後、山の中を進むにつれて霧が発生してきていた。


響歌はいつの間にか眠りについている。


雪乃『霧出てきたね…』


優斗『こんくらい大丈夫だって。それよりもうそろそろ着くから村井起こして』


雪乃『響歌! 着くぞ〜!』

雪乃のバカでかい声で響歌はパッと驚いたように起きた。

⏰:11/05/06 12:28 📱:T004 🆔:c7ITtZXU


#99 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『あ…寝てた…?』


優斗『もう着くぜい!』

やがて近くに茶色い建物が見えてきた。

外観はお世辞にもよいとは言えない木造の造りだ。


雪乃『もしかしてあれ? なんか古臭いね〜』


優斗『安いからいいじゃん。なんか出そうだし』

吉田は何かとそればかりを繰り返す。

⏰:11/05/06 12:33 📱:T004 🆔:c7ITtZXU


#100 [輪廻◆j6ceQ96kak]
建物が完全に見えて来た所で車を停止した。


見れば見るほど古臭い外観に、響歌は不気味とさえ思っていた。


優斗『行くぞ』

吉田に続いて雪乃が歩き出し、響歌もそれに続いた。


戸は痛んでいるらしく、開けるとミシミシと音が響く。

⏰:11/05/06 12:41 📱:T004 🆔:c7ITtZXU


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