†horror†
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#141 [輪廻◆j6ceQ96kak]
『ガラガラ…ピシャリ』
しばらくして狼の間の戸が開いた音がし、足音が廊下を歩いて行った。
響歌『ちょっと隣の部屋見てくるね』
雪乃『ちょっと響歌…』
そっと戸を開けて廊下へ出る。
女将の気配はない。
:11/05/16 18:43 :SH001 :9mqGtq4o
#142 [輪廻◆j6ceQ96kak]
狼の間の戸をゆっくりと開けて響歌一人で中に入る。
響歌『…ひっ!』
部屋を見て響歌は驚愕した。
敷かれている白い布団には、白を彩るかのような大量の血。
そしてその布団に寝かされているのは人間のようだが、人間としての原型を留めてはいない。
:11/05/16 18:51 :SH001 :9mqGtq4o
#143 [輪廻◆j6ceQ96kak]
まるで何かに引き裂かれたかのように、皮膚が所々剥き出しになっている。
その光景に、響歌は思わずその場に座り込んで後ずさりをする。
異変に気づいたのか、隣の部屋から雪乃が駆け付けてきた。
雪乃『響歌? …え!?』
布団のものを見た雪乃も思わず絶句する。
:11/05/16 19:08 :SH001 :9mqGtq4o
#144 [輪廻◆j6ceQ96kak]
部屋中は生臭い異臭を放っている。
雪乃『響歌…。は、早く逃げよう?』
震えた声で床に座り込む響歌の肩に手をやる。
雪乃『響歌! 早く!』
響歌『…………』
響歌は残虐な光景を見たショックで放心状態になっていた。
:11/05/19 08:10 :T004 :dNrJFzns
#145 [輪廻◆j6ceQ96kak]
池崎『ここで何をしている!』
突然、雪乃の背後から今までの女将のものとは異なる声がした。
まるで低い声の男と女の声が混じり合っているような奇声。
振り返ると片手に血まみれの包丁を持った女将、池崎の姿。
そのあまりにもおぞましい女将の姿を見た雪乃も床に座り込む。
:11/05/19 08:18 :T004 :dNrJFzns
#146 [輪廻◆j6ceQ96kak]
雪乃『ご…ごめんなさいごめんなさい!』
後ずさりしながら必死に謝る雪乃に詰め寄る女将。
池崎『ふふふ…』
薄ら笑いを浮かべながらまるで、殺して欲しい?と問いかけるような目で雪乃に一歩一歩近づいていく。
異臭を放った布団の上のそれを避けていくと、とうとう逃げ場のない壁に追い込まれた。
:11/05/19 08:23 :T004 :dNrJFzns
#147 [輪廻◆j6ceQ96kak]
雪乃『やめて…』
夢であって欲しい。
心の中でそう何度も自分に言い聞かせる。
目をつむって何度も何度も。
…………。
…………。
…………。
ゆっくりと目をあける。
:11/05/19 08:36 :T004 :dNrJFzns
#148 [輪廻◆j6ceQ96kak]
辺りを見回す。
敷いてある布団に目をやると血は残っていたものの、あの物体は跡形もなく消えていた。
そのすぐそばに気絶した響歌の姿。
雪乃『響歌!』
身体を大きく揺らす。
響歌『……ううん』
雪乃『響歌! しっかりして!』
目を開きそうな響歌の身体をゆっくり起こす。
:11/05/19 08:41 :T004 :dNrJFzns
#149 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『…雪乃』
雪乃『そう、雪乃だよ! よかった…』
響歌『…泣いてるの?』
雪乃『心配したんだから』
響歌『…ごめん』
2人は立ち上がった。
:11/05/19 08:45 :T004 :dNrJFzns
#150 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『あの女将さんは…?』
雪乃『わからない…。気づいたらいなくなってた』
響歌『今の内に早く帰ろう…?』
人の気配のない廊下へ出る。
2人がふと足元を見ると、血が玄関へ向かって垂れていっているのが目に入った。
:11/05/19 08:49 :T004 :dNrJFzns
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