†horror†
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#191 [輪廻◆j6ceQ96kak]
進むにつれて、まだ朝方だというのに辺りは薄暗く異様な雰囲気が漂ってくる。
鳥の囀りも全く聞こえなくなっていた。
聞こえるのは2人の歩く音だけだ。
まるで樹海のようなその山に、2人は完全に支配されつつあった。
:11/06/20 09:39 :T004 :VV7usoSw
#192 [輪廻◆j6ceQ96kak]
雪乃『道、こっちで合ってるのかな…。なんか歩けば歩くほど出口があるようには思えなくなってくるけど…』
響歌『携帯さえ繋がってくれれば…。とにかく圏外の文字が消えるまで歩こうよ』
雪乃『…そうだね』
携帯電話を片手にディスプレイを見ながら進む。
:11/06/20 09:46 :T004 :VV7usoSw
#193 [輪廻◆j6ceQ96kak]
30分…
1時間…
2時間…
所々で休みながら歩いたが、そろそろ体力的にも限界がきていた。
一向に出口が見えてこない山中。
繋がらない携帯電話。
疲れとストレスが一緒に溜まり、肉体的にも精神的にも共に限界だ。
:11/06/20 09:52 :T004 :VV7usoSw
#194 [輪廻◆j6ceQ96kak]
雪乃『もう無理…。私達、一生ここから出られないのかな…』
響歌『ハア…ハア…』
木陰に座り込んだ2人。
もはや息切れ寸前だった時―
『ザクザク…』
どこからか歩く音がした。
響歌『…!!』
雪乃『…!!』
その音に2人は同時に反応する。
:11/06/20 09:57 :T004 :VV7usoSw
#195 [輪廻◆j6ceQ96kak]
お互い顔を見合わせて静かに耳を澄ます。
間違いなく、その音は2人の背後からした。
雪乃『人…かな…』
響歌『待って。あの女将かもしれないし、もう少し様子見よう』
2人は太い木の影から息を殺して気配を消した。
:11/06/20 10:04 :T004 :VV7usoSw
#196 [輪廻◆j6ceQ96kak]
音は段々と近づいてくる。
まるでさっきから2人の後をつけてきたかのように、音が近づく。
響歌と雪乃はお互いの手を握って祈るように目をつむった。
『ザクザク…』
『ザク!』
足音が止まった。
2人はゆっくりと目を開ける。
:11/06/20 10:11 :T004 :VV7usoSw
#197 [輪廻◆j6ceQ96kak]
ゆっくりと木の影から後ろを見ると、そこには体格のいいリュックを背負った男性の後ろ姿があった。
2人はホッと胸をなで下ろすと、立ち上がって男性に声をかけようと近づいた。
響歌『あ、あの…』
男『…ん!?』
背後からの突然の声に驚いたのか、男はビクッとして振り返った。
:11/06/20 10:18 :T004 :VV7usoSw
#198 [輪廻◆j6ceQ96kak]
男『こ、こんな所に女の子が一人で…何しているんだい?』
響歌『あ。もう一人います…雪乃が…』
響歌は目を疑った。
そこに雪乃の姿はなかった。
響歌『え…雪乃…? どこ…?』
辺りを見回すが雪乃の姿どころか気配すらなくなっている。
響歌『雪乃! 冗談はやめてよ! ねえ雪乃!』
大きな声で雪乃の名前を叫ぶが、返事はない。
:11/06/20 10:23 :T004 :VV7usoSw
#199 [輪廻◆j6ceQ96kak]
男『一体どうしたのかな?』
男が心配そうに声をかける。
響歌『雪乃…私の友達が…』
男『友達? さっきから君の姿は見えていたけど、ずっと一人じゃなかったかい?』
響歌『…!!』
響歌は、男の衝撃的な発言に言葉を失った。
:11/06/20 21:59 :T004 :VV7usoSw
#200 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『そんな…。冗談はやめてください!』
男『い、いや…そう言われてもね…』
困った表情で返す男の顔からは冗談を言っているようには感じられない。
響歌『雪乃! いるんでしょ!? 出てきてよ…!』
頭の中が真っ白になりつつあった。
その場に崩れ落ちる。
:11/06/20 22:02 :T004 :VV7usoSw
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