†horror†
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#391 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『……復讐……』
彼女は遠い目をしながらそう一言呟いた。
響歌『えっ?』
麗奈『そうだよ…あの男に復讐しなきゃ、剛史が浮かばれないんだよ…』
自分で自分に言い聞かせるように言った。
その麗奈の表情は静かだが、どこか暗かった。
麗奈の心の奥底に眠っているもう一人の自分が目覚めたように―
:11/07/22 16:54 :T004 :7DA9vZNk
#392 [輪廻◆j6ceQ96kak]
静まり返ったリビングには時計の針の音だけが響く。
響歌『あ、あの…』
異様な雰囲気の中、麗奈に声をかける響歌。
麗奈『…なあに?』
彼女はそう笑顔で答えたが、その表情に違和感を感じた。
何かに取り憑かれたような、何か不自然な笑顔に。
響歌『わ、私…そろそろ帰りますね』
座っていたソファから立ち上がると、麗奈の手が響歌の腕を掴んだ。
:11/07/22 18:47 :T004 :7DA9vZNk
#393 [輪廻◆j6ceQ96kak]
そして腕を掴んだまま、下に引っ張って再び響歌をソファに座らせる。
響歌『な、なんですか?』
少し恐怖を覚え、麗奈の手を逆の手で振り払おうとするがガッシリ掴んで離れない。
麗奈はゆっくりと響歌の方に視線を向けた。
その顔は不自然な笑顔のままだ。
:11/07/22 18:53 :T004 :7DA9vZNk
#394 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『響歌ちゃん…前に言ったよね。何かお礼させてくださいって…』
響歌『…た、確かに言いましたけど、あれはちゃんと車の鍵を持ってきましたし…』
麗奈『でもウチらがあの場所を通らなかったら響歌ちゃん、今頃どうなってたかわからないよね…?』
まるで脅すような物言いだ。
今までの彼女とは別人のような豹変ぶりだった。
:11/07/22 19:01 :T004 :7DA9vZNk
#395 [輪廻◆j6ceQ96kak]
そして単刀直入に言った。
麗奈『あの男に復讐しようよ…』
響歌『…復讐…?』
麗奈『響歌ちゃんも親友の女の子をあの男に殺されたんでしょ? だったら…』
麗奈の手が少し緩んだのを見計らって、思い切り手から腕を放した。
響歌『麗奈さん…どうかしちゃったんですか…? そんな事しても同じ繰り返しになっちゃいますよ!』
麗奈『……』
彼女はしばらく下を向いて黙っていたが、やがて顔を上げる。
その目からは涙が溢れ出ていた。
:11/07/23 00:04 :T004 :SaD6jMfQ
#396 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『だって…剛史はもう帰って来ないんだよ…。ウチはこれからどうやって生きてけばいいの…?』
かける言葉が見つからなかった。
彼女の泣き顔をただ黙って見ていると、階段から蓮が下りてきた。
蓮『…どうかしたの?』
響歌『麗奈さんが…』
蓮が麗奈の元へ歩み寄る。
:11/07/23 00:10 :T004 :SaD6jMfQ
#397 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『元気出せよ…。俺も悲しいけど、復讐なんてくだらないよ。警察に任せようぜ』
蓮が優しい言葉をかけると、麗奈は声を出して泣き始めた。
蓮『村井、悪いけど今日は帰ってくんない?』
響歌『う、うん…』
蓮の威圧感を放つ表情を見た響歌は、一言だけうなずいて家を出た。
:11/07/23 00:18 :T004 :SaD6jMfQ
#398 [輪廻◆j6ceQ96kak]
外へ出たのはいいものの、帰り道がわからなかった為にタクシーを呼んで自分のアパートへ帰る事にした。
部屋に帰るなり、服も着替えずにベッドに身を投げる。
響歌『バイトどうしよ…』
本日付でアルバイトを辞めさせられてしまった響歌。
これからの生活の事を考えると、まさに一寸先は闇というべき事態だ。
:11/07/23 00:23 :T004 :SaD6jMfQ
#399 [輪廻◆j6ceQ96kak]
翌日―
響歌は昨日の状態のままベッドで寝ていた。
気がつくと朝になっていた。
重い身体を起こして、洗面所で冷たい水で顔を洗う。
響歌『……』
鏡に映った自分の顔をジッと見つめる。
響歌『なんつー顔してんだろ私…』
目の回りの化粧を洗い残したまま洗面所を出て座椅子に座った。
:11/07/23 00:30 :T004 :SaD6jMfQ
#400 [輪廻◆j6ceQ96kak]
携帯電話を開く。
新着の電話もメールもない。
ふと昨日、喫茶店で話の流れから麗奈と電話番号とメールアドレスを交換したのを思い出した。
昨日あれからどうなったのか気になった響歌はメール画面を開く。
『大丈夫ですか?』
と、宛先を麗奈に設定して送信した。
:11/07/23 00:34 :T004 :SaD6jMfQ
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