†horror†
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#441 [輪廻◆j6ceQ96kak]
目をぎゅっとつぶり『これは夢だ!』と必死に心の中で言い続けた。
『ピンポーン』
チャイムの音で夢から現実に引き戻されたような感覚になりゆっくりと目を開けると、そこにさっきまでの麗奈の姿はなかった。
『響歌ちゃん、ウチ』
玄関の方から声がする。
麗奈のいつもの健康そうな声だ。
:11/07/29 12:34 :T004 :t7jC03ts
#442 [輪廻◆j6ceQ96kak]
急いでドアを開けた響歌は、外で待っていた麗奈に思い切り抱きついた。
麗奈『ど、どうしたの?』
響歌は子供のように泣きながら『麗奈さん』と何度も言い続けた。
なんとか落ち着きを取り戻し、再びコーヒーを麗奈に差し出す。
麗奈『ありがとう。ところで…何かあったの?』
響歌『いえ…なんでもないんです』
先ほどの事を話しても信じてもらえないと思い、口をつぐんで喋らなかった。
:11/07/29 12:45 :T004 :t7jC03ts
#443 [輪廻◆j6ceQ96kak]
響歌『それより、蓮がいなくなったって本当ですか?』
麗奈『うん。一昨日、朝起きたらいなくて…。蓮ちゃん携帯持ってないから連絡とれない状態なんだよね。結局それから家に戻ってきてないの』
響歌『心当たりとかは…?』
麗奈『わからない…。ウチとお父さんで探しに行ったりもしたんだけどね…』
それを聞いて心配と同時に胸騒ぎがした。
:11/07/29 12:56 :T004 :t7jC03ts
#444 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮とは中学の頃からお互いをよく知り合っていた存在だっただけに他人事とは思えなくなった響歌。
響歌『私も探します!』
麗奈『ありがとう。ウチも蓮ちゃんと親しかった人を当たってみる』
しばらくして、麗奈の携帯電話の着信音が鳴った。
麗奈『蓮ちゃんのお父さんからだ。ちょっと待ってね』
麗奈が電話で話をしている中、響歌は出掛ける準備に取りかかった。
:11/07/29 13:08 :T004 :t7jC03ts
#445 [輪廻◆j6ceQ96kak]
数分して、通話を終えた麗奈がゆっくりと言った。
麗奈『蓮ちゃん…見つかったって』
響歌『ほ、ホントですか?』
嬉しい報告に胸がホッとして体の力が段々抜けていくのがわかった。
麗奈『警察に…あの男に面会に行ってたみたい』
響歌『あの男って…』
安心したのも束の間、すぐに嫌な汗が流れる。
:11/07/30 11:01 :T004 :u/Ao7u1E
#446 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈『これから、蓮ちゃんのお父さんが警察に迎えに行くって』
響歌『あの! 私も行ってもいいでしょうか?』
麗奈『うん、行こう。じゃあウチの車乗って!』
二人はすぐに車に乗り込んで、蓮が行ったという警察署に向かった。
:11/07/30 11:05 :T004 :u/Ao7u1E
#447 [輪廻◆j6ceQ96kak]
1時間近くの距離を走った所で大きな警察署が見えてきた。
近くのコンビニに車を停車し、二人は門の方へ。
そこに蓮とその父親の姿があり、警官に頭を下げている所だった。
麗奈『蓮ちゃん!』
蓮は麗奈の声に反応し、後ろを振り返る。
:11/07/30 11:18 :T004 :u/Ao7u1E
#448 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『…なんで村井までいるの?』
麗奈から響歌へ視線を向けて言う。
麗奈『響歌ちゃんはアンタの事をすごい心配してたんだよ? そんな言い方ないんじゃない?』
麗奈が強い口調で言うと、蓮は無言でポケットに手を突っ込んでそっぽを向いた。
『おい蓮、ちゃんとこの子に礼を言うんだぞ。こんなお前でも心配してくれてる人がいるんだから』
父親がそう言って頭をポンと叩くと、蓮は拳をぶるぶると震わせはじめた。
:11/07/30 11:31 :T004 :u/Ao7u1E
#449 [輪廻◆j6ceQ96kak]
蓮『うるせーよ! ホントの親父でもない癖に偉そうに言ってんじゃねーよ!』
突然の蓮の暴言に響歌は唖然とする。
そこには今まで見た事がない蓮の姿があった。
蓮『麗奈、悪いけど車乗せて』
響歌が、とりつく島がないとはこの事だと実感した時だった。
:11/07/30 11:37 :T004 :u/Ao7u1E
#450 [輪廻◆j6ceQ96kak]
麗奈の車に乗り込んだ三人。
運転中はシーンとした沈黙がずっと続く。
麗奈『お、音楽でもかけよっか』
この空気に息苦しくなったのか、麗奈はカセットテープを取り出しステレオにセットした。
陽気な音楽が流れると、今までの深い霧が一気に晴れたようだ。
:11/07/30 11:48 :T004 :u/Ao7u1E
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