†horror†
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#691 [輪廻]
響歌『あ、あの私、ナナ…七瀬の友達の村井響歌というんですが…』
『七瀬の…?』
名前と七瀬との関係を言うと、父親の肩の力が抜けると同時に焦りの表情が少しずつ消えた。
響歌『七瀬の事聞いてますか?』
『…という事は君も? なら話が早い。ちょっとあがってください』
そう言って七瀬の父親は響歌を家の中に招き入れた。
:11/12/06 01:26 :Android :qM0P5oK6
#692 [輪廻]
居間へと通され、響歌に缶コーラを差し出すと、早速話を始めた。
『実はお昼の12時頃、家に知らない女の人から電話がかかってきたんですよ。
用件を聞いて驚きました』
ここまで言うと一旦息をのんで、付け加えるように続けた。
『女の人は“お前の娘を拘束した。お前の娘は人殺しだ”と、いきなりこう言ってきた訳ですよ』
響歌『ナナが……人殺し?』
『ええ。もちろん何かのイタズラだとは思ったのですが…しばらくしたら電話口に怯えた声の七瀬が…』
響歌『な、ナナは何か言ってましたか!?』
大きな声を出し、身を乗り出す響歌。
:11/12/06 01:30 :Android :zBPY2wCg
#693 [輪廻]
『いやそれが…よく聞き取れなくて。
デスカメラがどうのこうのとは言っていたような気がするんですが、一体何の事やらサッパリで』
響歌『デスカメラ!?』
再び張り上げた響歌の声に、向こうは少し驚いたように体をピクリとさせつつも聞き返す。
『もしかしてデスカメラとやらをご存知で? 』
響歌『は、はい。まだ中学生の時に流行っていたカメラで…それで写された人は一週間以内に死ぬと言われていたものです』
『まさか!そんなカメラがこの世にあると?』
響歌『私も最初は信じてませんでした。
でも、ナナがそのカメラで担任の先生を写して……あ!』
響歌はここで何かを思い出したように口をポカーンとさせた。
:11/12/06 01:33 :Android :zBPY2wCg
#694 [輪廻]
『ど、どうかしたの?』
そんな響歌に、あたふたしながら尋ねる彼。
響歌『七瀬が人殺しというのは…多分、そのデスカメラで撮られた担任の先生が死んだからだと思います』
『ああ…それなら知ってますよ。
でもそれは確か交通事故が原因と聞いてるけど…』
響歌『そうですけど 、事故はデスカメラで撮られた後に起こったので、電話の人も、七瀬が人殺しだと思ったんじゃないでしょうか…?』
『う〜ん、僕には到底信じられないんだけども…』
七瀬の父は腕を組んで難しい顔をし、考え込みはじめた。
:11/12/06 01:37 :Android :zBPY2wCg
#695 [輪廻]
そんな響歌も、差し出された缶コーラに一度も手をつけずに考え込む。
刻々と時間が過ぎていく。
最初に沈黙を破ったのは七瀬の父。
『そうだ! 警察に連絡しましょう! これは立派な誘拐事件なのだから、さすがの警察も動いてくれるでしょう!』
よほど娘の事が心配なのか、少々鼻息を荒くしながら言う。
響歌『でも…そういうのって警察に言ったら逆に危ないと思います。
あの、ナナの事は私に任せてくれませんか?』
そう言って昼間響歌の携帯電話に届いたメールを彼に見せた。
:11/12/06 01:40 :Android :WPLx6m3c
#696 [輪廻]
『これは…七瀬!』
文章を見た後に、添付された、拘束されている七瀬の画像を見た父はかなり驚いた様子で、思わず片手に持っていた響歌の携帯電話を床に落とす。
響歌『だ、大丈夫ですか?』
『やっぱり警察…警察に電話しよう!』
そう言って動揺する彼は、背後の棚に置かれた電話の子機に手を伸ばしたが、それを響歌はとっさに電話のある棚の前に立ちはだかって阻止した。
響歌『おじさん落ち着いてください!』
『落ち着いてなどいられるか! 娘が誘拐されたんだ!』
響歌『その七瀬を今まで放っておいたのは誰ですか!?』
響歌のその一声で、彼は伸ばしていた手をゆっくりと引っ込めた。
:11/12/06 01:43 :Android :WPLx6m3c
#697 [輪廻]
数分して、なんとか落ち着きを取り戻した彼に、響歌はホッと胸を撫で下ろしてから再び話をはじめた。
響歌『ナナは高校を中退してから家を出て行ったんですよね? 一体何があったんですか?』
『七瀬は…高校2年生までは普通のよい娘だった。
だけどある時、通っている学校の先輩の恋人ができたと言って一度だけ家に連れてきた事があるんですよ。
でもその男は、七瀬とは全く釣り合いそうもないチャラチャラとした感じの男だった。
当然、僕と妻は反対した。
それからですよ、七瀬が変わっていったのは…。
高校も途中で辞めてしまってからは、深夜遅くになっても家に帰らない事が多くなって』
響歌『結局、最後まで2人の交際は認めなかったんですか?』
『ええ。相手があんな男じゃ七瀬は幸せになれない…そう思いました。
何度も何度も反対し続けた結果、ある日突然、出ていくと言って家を飛び出して行ったわけです』
七瀬の話を聞いた響歌の目からは涙がこぼれていた。
:11/12/06 01:57 :Android :Z9IqkvF6
#698 [輪廻]
響歌『どうして人を見た目で判断するんですか…?
ナナはナナで十分幸せだったはずなのに…』
『ああ…反省していますよ。
僕も妻もつまらない意地を張っていたんだと。
だから一刻も早く誘拐犯の元から助け出して謝りたい』
響歌『私もナナの友達として助けたいです。
だからお願いがあります。
警察には連絡しないでください』
そう言うと、頭を深く下げた。
『でも、君一人でどうやって…』
当然の疑問をぶつける彼に対して響歌は頭をゆっくりと上げ、真剣な顔で彼を見つめて言った。
響歌『その誘拐犯には心当たりがありますから。
…ナナは必ず助けます。
だから、おじさんはここでナナの帰りを待っていてください』
響歌の覚悟は決まったー
:11/12/06 02:01 :Android :Z9IqkvF6
#699 [輪廻]
午後6時50分ー
辺りはすでに薄暗く、道には仕事帰りらしき男女が忙しなく行き交っている。
そんな人通りを抜け、響歌は中学校へと急ぐ。
やがて校門が見えてくると、その前には既に蓮の姿があった。
響歌『蓮!』
蓮『おお、村井』
小走りで蓮の元に駆け寄る。
響歌『ごめん…待たせちゃって』
蓮『いや俺もさっき来たばっか。
それよりお前どこ行ってたの?』
響歌『うん、ナナの家。
ナナのお父さんと約束してきた。
絶対助けるって』
2人は同時に校舎を見る。
時間は指定の午後7時を少し過ぎた所だったー
:11/12/06 02:32 :Android :wzxJ86gw
#700 [輪廻]
蓮『裏から行こうぜ』
響歌『うん』
2人は静かな足音で裏口へと回った。
鍵は開いていたので、靴のまま中へと入る。
昼間来た時とは雰囲気がまるで違うように感じた。
蓮『村井、体震えてるけど大丈夫?』
暗く静かな廊下だが、蓮の小声は大きく響くように聞こえた。
響歌『だ、大丈夫…。
暗い所が苦手なだけだから…』
やがて体育館の扉が見えてきた。
蓮がそっと扉に手をかけると…
蓮『鍵…開いてる。よし行くぞ』
そのまま片手で扉を開けたー
:11/12/06 02:48 :Android :y67ie0Q.
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