†horror†
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#701 [輪廻]
 
 
体育館内は暗闇に包まれている。


蓮『電源ってどこだっけ? 何も見えね』


響歌『確かあっち側だったような…』

入り口近くの壁から手探りしながら左方向へと進む。


響歌『あ、これかも』

4つほど並んだ小さなレバー型のスイッチを見つけ、それを全て上に引き上げた。


館内に少しずつ明かりが点いてくる。


蓮『早く体育倉庫に行こうぜ』


響歌『ナナ…!』

2人は奥にある体育倉庫へと走った。
 
 

⏰:11/12/06 12:41 📱:Android 🆔:RnKB4e/I


#702 [輪廻]
 
 
蓮『あれ、鍵かかってる!』

戸には鍵がしっかりとかけられていた。


響歌『鍵ならきっと職員室だよ!』


蓮『俺ちょっと行ってくる!』

そう言って蓮が振り返ろうとした瞬間…


  『その必要はないよ、桐谷くん』

入り口の方から女の声がした。


2人はゆっくりと、その声がした方を見る。
 
 

⏰:11/12/06 12:43 📱:Android 🆔:jS0TFdR2


#703 [輪廻]
 
 
そこに立っている人物を見て最初に声を出したのは響歌だった。


響歌『やっぱり…』


蓮『え…あれ誰?』

女を指をさしながら首を傾げる蓮。


響歌が答えようとした瞬間、向こうに立つ女が先に口を出した。


  『それはひどいよ桐谷くん。当時のあなた達の副担任の顔も忘れちゃうなんて』

女は苦笑いしながら言うと、蓮は唖然として言葉を失った。
 
 

⏰:11/12/06 12:58 📱:Android 🆔:FUsX3ALs


#704 [輪廻]
 
 
望月『名前覚えててくれてたなんて嬉しいわ。桐谷くんも彼女を見習いなさい』


蓮『な、なんで先生が…?』

そうとう衝撃的だったのか、蓮はものすごく動揺していた。


望月『なんでって? 井本七瀬…彼女が真島貴之を殺したからよ。
そして村井響歌…あなたもね!』


響歌『私…? 私は何もしてない…!』


望月『そういう記憶力は悪いみたいね。
知ってるんだよ、あなたがデスカメラを買った事くらい!』


響歌『…あ、あれは…』


望月『あなたが井本七瀬にあのカメラを渡したせい…それで貴之は…!』

そこまで言うと、望月は上着のポケットから小型のナイフを取り出した。
 
 

⏰:11/12/06 13:57 📱:Android 🆔:e5OIsdc6


#705 [輪廻]
 
 
蓮『村井!』

望月と蓮はほぼ同時に響歌の元に駆け寄ろうとする。


響歌『…蓮、来ないで! 早く逃げて!』


蓮『…!!』

望月は響歌の少し前まで来ると、途端に方向を変え、蓮の方に向かっていった。


後退りしながら小走りで逃げる蓮を、両手でナイフを構えながら、まるで獲物を見つけた猛獣のような目で追う望月。


響歌はそんな彼女を止めようと、その後ろ姿を追う。


望月『タカユキヲカエセェェー!!』

所々で、発狂したように女性とは思えない奇声をあげる望月。


それはもう響歌達の知っている副担任だった頃の望月ではなく、復讐にとり憑かれた悪魔のようだった。
 
 

⏰:11/12/06 17:37 📱:Android 🆔:XZ0Z6YP2


#706 [輪廻]
 
 
誰もいない一階の廊下には体育館で走る3人の足音だけが響く。


まるで競技をしているかのようにー



蓮『村井! お前は早くここから出て警察に電話しろ!』


響歌『…だめ! ナナが見つかるまでは…』


蓮『んな事言ってる場合じゃ…うわ!』

曲がる際に足首を捻った蓮は、体勢を崩してその場に膝をつく。


チャンスと思ったのか、走り疲れ果てていたはずの望月は急に足を早め、ナイフを振り上げたまま蓮の元へ。



望月『村井さん! あなたにも大切な人を失う最後の苦しみを味わわせてあげる!』

振り向きざまに響歌の顔を見て言うと、再び視線を前に戻し、ナイフを蓮の背中目掛けて振り下ろしたー
 
 

⏰:11/12/06 19:11 📱:Android 🆔:bjpvMl26


#707 [輪廻]
 
 
響歌『蓮ーーーーーーッ!!』

体育館内と廊下全体に響歌の叫び声が響くー


同時に、腰が抜けたようにその場に崩れ落ちる。


そしてゆっくりと2人の方を見ると、望月のナイフを握っている方の手首を蓮が掴んでいた。


響歌『れ、蓮…?』

蓮の体全体を目をこらして見る。

どこも怪我をしておらず血も見当たらない。


蓮『…俺は大丈夫。
それより村井、早く職員室行って体育倉庫の鍵持ってこい』


響歌『う…うん!』

震えた足をなんとか立たせると、急いで職員室のある2階へと向かった。
 
 

⏰:11/12/06 19:36 📱:Android 🆔:p3RB9XWc


#708 [輪廻]
 
 
蓮『先生…アンタも俺の運動と反射神経の事忘れてたっしょ?』


望月『……ッ!』

望月は掴まれた手を必死に振り払おうと抵抗するも、蓮はがっしりと掴んで離す事はなかった。


しばらくして響歌が息を切らしながら戻ってきた。


響歌『蓮! 鍵…職員室に鍵がなかった…』


蓮『ちゃんと見たのか?』


響歌『…うん』


蓮『先生、鍵どこだよ?』

望月の顔を睨みながら聞く蓮。
 
 

⏰:11/12/06 20:07 📱:Android 🆔:7gA3Ldl2


#709 [輪廻]
 
 
望月『さあ…どこかしら』


蓮『村井! 先生の体調べてみろ。
どっかに鍵が…』


言われた通り、響歌が望月の方に近づこうとした時…


 『鍵ならここだよ』

突然、入り口の方から男の声がした。


その声に響歌は振り返り、蓮は反射的にそちら側を見る。


そこに立っていたのは…


警察官の格好で、帽子を深く被り、口元をニヤリとさせたあの男だった―


男は、鍵と一緒についている“体育倉庫”と書かれたプレート部分を持って見せつけるようにぶらぶらとさせている。
 
 

⏰:11/12/07 15:54 📱:Android 🆔:LkyjtuLw


#710 [輪廻]
 
 
5年前、交番で黒川奈穂の携帯電話を見せたのと同じように―


  『ねえ、そこのイケメンくん。
この鍵渡すから、その女の手離してくれない?』

男はこちらにゆっくり近づきながら蓮に向かって言う。


蓮『ばーか。んな事できる訳ねーだろ。
鍵をホントに渡してくれるかどうかもわからねーのに』


  『信用ないなー。警察を信用できないっての?』

表情一つ変える事なく言い切る男。
 
 

⏰:11/12/07 16:06 📱:Android 🆔:eIW9akpg


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