†horror†
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#752 [輪廻]
 
 
響歌『じゃ、行ってくるね』

1月上旬の、ある日曜日の夕方。

以前から通達されていた同窓会に、響歌は行く事になった。


本来は去年の12月末の予定だったが、同級生より幹事宛に、その日は仕事だとか、彼氏彼女と過ごしたいなどという都合がつかない連絡が続出。


結果、翌年1月上旬の最初の日曜日の日に延期になり、新年会も兼ねた同窓会として行われる事が決定された。


集合場所は、響歌らが通っていた桜丘中学校の校門の前。


そこから同級生の持っている車に乗って新年会、及び同窓会の会場へ直行という流れである。
 
 

⏰:11/12/12 13:16 📱:Android 🆔:NdJ1rlm2


#753 [輪廻]
 
 
河原を過ぎて、中学校が見えてきた時―


響歌『(…また…?)』

去年実家に帰って以来、外出する度に感じる背後から誰かにつけられているような気配。


姿は現さないものの、その人物は響歌の動向を探っているかのようで、気味が悪かった。


もう少しで中学校だと、少し小走りで向かう。


校門の前に人だかりができているのが見えた時には、途端に恐怖もふっ飛び、安心した。
 
 

⏰:11/12/12 13:20 📱:Android 🆔:mxJ3opO.


#754 [輪廻]
 
 
懐かしの面々の中に駆け寄ると、人だかりの中心にいた幹事と思われる同級生の男の一人が声をかけてきた。


  『あれ、もしかして…村井ちゃん?』

身長は180cm前後と長身。
黒いスーツに身を包み、髪は短髪、色は金一色で染められていて、顔にはサングラス。

ちなみにうっすらとはえている顎髭も金色だった。


そんな彼は、いかにも危ない人のオーラが漂っていて、とても同い年で同級生とは思えない。


響歌『えーと…誰だっけ?』

同級生の男はカッコつけるようにサングラスを取り、顔を見せつけたが…


響歌『ごめん…誰?』

とキッパリ言い放った。
 
 

⏰:11/12/12 13:23 📱:Android 🆔:mxJ3opO.


#755 [輪廻]
 
 
気まずい空気の中、しばらくお互い見つめ合っていると…


七瀬『お待たせ!』


蓮『ちぃっす!』

2人が一緒に向こうからやってきた。


幹事はサングラスをかけ直すと、すぐに2人の元に駆け寄っていく。


  『おお桐谷! それに七瀬ちゃんも! 久しぶり!』

幹事が明るくそう言うと、2人は首を傾げて、しばらく彼の顔を凝視した後、蓮が響歌と同じ言葉を発した。


蓮『……誰だっけ?』
 
 

⏰:11/12/12 13:25 📱:Android 🆔:mxJ3opO.


#756 [輪廻]
 
 
その一言に、幹事はとてもショックを受けたように下を向いた。


蓮『七瀬、お前は覚えてる?』


七瀬『う〜ん…こんなヤクザみたいな人いたっけ?』

追い討ちをかけるような七瀬の一言で、彼はついにその場にしゃがみ込むほどに落ち込む。


そんな幹事とは裏腹に響歌の方は、前の蓮の発言に『えっ?』という顔になっていた。


響歌『(ま、まさかね…)』

どうせ聞き間違いだろうと、強引に自分を納得させる。
 
 

⏰:11/12/12 13:28 📱:Android 🆔:mxJ3opO.


#757 [輪廻]
 
 
七瀬『あっ、響歌!』

ふと響歌を見つけた七瀬が声をあげ、蓮と一緒に近づいてくる。


七瀬『あけましておめでとう! 響歌』


響歌『お…おめでとう』

そこで、見たくなかったが、見えてしまった。


蓮と七瀬がしっかりとお互いの手を繋いでいるのを。


蓮『村井、あけおめ』


響歌『うん…あけおめ』

笑顔で言ってきたので、響歌はなるべく2人の手元を見ないように、笑顔で返した。
 
 
 

⏰:11/12/12 13:30 📱:Android 🆔:PQLYT/Kw


#758 [輪廻]
 
 
それから時間は午後5時を過ぎ、人も集まってきた所で、ショックが収まったのか、幹事が再度明るい声で仕切り始める。


  『じゃ、そろそろ会場に行きますか!』

その一声に、一同は大声で喜びの声をあげた。


七瀬『結局誰だっけ…あの幹事の人』

そんな歓声の中、七瀬が小声で響歌と蓮にひっそり呟く。


蓮『覚えてねえや…。ま、いいじゃん。
あとで名前聞けば思い出すかもしれないし』

そうだね、と2人は首を小さく縦に振った。


門の近くに停めてある数台の車に適当に乗り込む事になり、幹事が運転する先頭の車の後に他の車が続き、やがて会場へと走り出すー
 
 
 
 

⏰:11/12/12 13:33 📱:Android 🆔:YcX/EUo.


#759 [輪廻]
 
 
某日・某所ー


一人の若い男性が、くしゃくしゃになった白い紙と携帯電話を手にしている。



  『あの、すみません…高収入アルバイトの紙見て電話したんですけど』



  『お電話ありがとうございます。
電話をして頂いた時点でデスネットへの入会、及び登録が完了致しました。
登録手数料などは一切かかりません。
お仕事の内容が決まり次第、こちらからお電話させて頂きます。
5分後、折り返しくる電話に、お名前とご住所と通帳口座番号をお伝えください。
入会・登録ありがとうございました』


そう言って通話は切れる。


電話の向こうで話す者…

それは人の肉声ではなく、機械を通したものだ。


  『あれ? 面接とかないの?』

一瞬戸惑う男だったが、やがて顔に笑みがこぼれる。
 
 

⏰:11/12/12 13:55 📱:Android 🆔:S8YcYV1s


#760 [輪廻]
 
 
  『デスネット…聞いた事ないな。
どんな仕事するかも知らないけど…
まっ、面接無しで決まっただけでもよしとするか!』

折り返しくる電話を嬉しそうに待つ男性。



5分後…


―プルルルルルルル!!


『…はい! 名前は大槻と言います
。住所は…………』
 
 

⏰:11/12/12 14:01 📱:Android 🆔:S8YcYV1s


#761 [輪廻]
 
 
響歌は蓮、七瀬と共に最後尾のワゴン車に乗っていた。


運転手を含め、他にも数名の同級生が乗車。


最初は『最近どう?』的な話をしていたが、やがて仕事の話になった時、同級生の話を聞いて響歌らは驚愕した。


  『私、コンビニのバイト2つ掛け持ちしてたんだけど辞めちゃったんだ〜』


七瀬『マジで? なんでなんで?』


  『高収入アルバイトっていう求人広告見つけてさぁ…電話したら、その時点で採用みたいで、面接とかなかったの!』


蓮『へえ、すげえじゃん。
なんて会社? そんな簡単に採用されんなら俺にも紹介してよ』


同級生は、蓮の質問に明るく答えた…
 
 

⏰:11/12/12 14:04 📱:Android 🆔:S8YcYV1s


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