†horror†
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#601 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
午前6時―


結局、黒川さんから連絡が来ないまま朝になった。


一睡もしていないせいで私の目はうつろだ。


ふらふらと立ち上がり、おぼつかない足で階段を下りて真っ先に洗面所へ向かう。


眠気はないが、頭がぼーっとする。


ずっと起きているなんて初めての体験で慣れていないせいかもしれない。

⏰:11/10/09 13:11 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#602 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
洗面台で冷たい水で顔をバシャバシャと洗い、鏡で自分の顔を見る。


なんて疲れた顔をしているんだろう。


よく見るとニキビがいくつかできている。


でも今は黒川さんの事だけが気がかりだ。


私は今日、早めに家を出て黒川さんの家をもう一度訪れる事にした。

⏰:11/10/09 13:20 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#603 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
昨日のおじさんの話によると、この家にはおばあさんと黒川さんと、黒川さんのお母さんの3人が暮らしているとの事だ。


家の表札が“佐伯”となっているのが特に気になった。


黒川さんのお母さんは朝から仕事に行くという事なので、今インターホンを鳴らせば出てきてくれる可能性はある。


私は迷わずインターホンを押した。

⏰:11/10/10 19:33 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#604 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
しばらくするとドアが『ギイイイ』と軋む音をたてながら開かれ、中から腰を低くかがめた白髪のおばあさんが現れた。


響歌『あ、あの…』

なんというか、そのおばあさんから伝わってくる不気味な空気と雰囲気に思わず声が震える。


『…………』

おばあさんは警戒した様子で黙って私を下から睨みつけていた。

⏰:11/10/10 19:34 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#605 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
何秒くらい見つめ合っただろうか。


10秒?


20秒?


そんなの数えている余裕なんてなかった。


おばあさんが初めて口を開いたのは、ちょうど私が耐えられず目を背けた時だ。


『……誰だ?』

男性のような低い声で問いかけてきたのは。

⏰:11/10/10 19:35 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#606 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『…あ。わ、私、黒川奈穂さんと同じクラスの村井といいます!』

おばあさんがいきなり喋り出した事に驚いて、しどろもどろに返事してしまった。


少しの沈黙が続いたあと、おばあさんは私の顔と体を交互に見てから『入りな』と言わんばかりの仕草をし中に入っていった。


私も自然に体が動いて、ひきつけられるようにその後についていく。

⏰:11/10/10 19:39 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#607 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
足を踏み出す度にギシギシと音がする廊下を歩いて、このおばあさんのと思われる畳のある和風の部屋に通されて座布団に座る。


他に人のいる気配はない。


部屋を見渡していると、壁に掛かっている古びた時計を発見。


午前7時38分―


黒川さんのお母さんは、朝の7時前にはもう家を出ているのだろう。


あのおじさんの言う通りだ。

⏰:11/10/10 19:41 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#608 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
それにしてもこのおばあさん、ちょっとおかしい人だと近所の人達から思われているようだが、私にはそうは見えない。


なんというか、ただ人とコミュニケーションをとったりするのが苦手なだけのように思えた。


『…茶、いるか?』

そう言って立ち上がろうとするおばあさんに


響歌『あ、いえ大丈夫です。お構い無く…』

と、座ったばかりでまた立たせるのも悪いと思い丁寧に断った。


時間もあまりないので、黒川さんの事を聞いてさっさと学校へ行こう。

⏰:11/10/10 19:55 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#609 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『ええと…おばあさん』


『佐伯…栄(ひで)だ』


響歌『あ、すみません…』

“おばあさん”と呼ぶのに少し抵抗があったので、名前を聞けて安心した。


響歌『あの…栄さんは黒川奈穂さんとどういう関係なんですか?』

なんか雑誌の記者になった気分だ。


栄さんは私の質問に表情を一つ変える事なく答えてくれた。

⏰:11/10/10 19:57 📱:S004 🆔:XJq82qMk


#610 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
  『…奈穂はアタシの孫だ。とってもいい子で強い子だが、母の実和子はいつも朝っぱらから仕事で帰ってくるのはいつも夜遅い…。寂しいんだろうが、奈穂はそういう感情を母に一度もぶつけた事はない』


響歌『…そうなんですか。あの、ちなみに奈穂さんのお父さんは?』


  『…拓郎はアタシの息子だったが、奈穂がまだ小さい時に事故に巻き込まれて死んでしまったよ』

そう少し寂しげに話す栄さんを見て、辛い事を聞いてしまったなと後悔が襲った。

⏰:11/10/11 23:07 📱:S004 🆔:q2gX470I


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