†horror†
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#591 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
インターホンを押して、もしも違ったらどうしようかと思いつつも、その佐伯と書かれた表札の家のインターホンを押した。


しかし数分たっても誰かが出てくる様子はない。


やはり留守なのだろうか。


仕方なく、先生から渡すように頼まれていたプリントを郵便受けにいれて回れ右をして帰ろうとした時、通行人のおじさんと目が合ってしまった。

⏰:11/10/09 12:31 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#592 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
怪しい人に見られたかもしれないという不安にかられる。


5秒くらい時が止まったようにおじさんと目を合わせた後、そのおじさんは私の元に歩み寄り一言切り出した。


『ここの人に何か用なのかい?』


響歌『え、えっと…』

やはり家を間違ったのかもしれない。

⏰:11/10/09 12:32 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#593 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
でもこのおじさんはここらへんに住んでる人っぽいので、もしかしたら黒川さんの事を知っているかもしれない。


響歌『あ、あの…ここらへんに黒川さんという人の家はありませんか?』


『黒川? それならそこでいいんだよ』


響歌『あ…そうなんですか』

おじさんの言葉を聞いた限り、黒川さんの家はここで間違いはないらしい。


ホッと胸を撫で下ろしてから、私は更に話を聞く事にした。

⏰:11/10/09 12:34 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#594 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
響歌『あの、黒川奈穂さんはここに一緒に住んでるんですか?』


『そーだよ。ばあさんとお母さんと3人で暮らしてるよ。奈穂ちゃんの兄ちゃんもいるけど、かなり前に家を出ていってもういないみたいだよ。どこで何をしてるんだかね』

お父さんがいないのが気になるけど、何か事情があるのかもしれないと深くまで聞かなかった。


『お母さんはいつも朝から仕事で家を空けてるよ。だから奈穂ちゃんも寂しいだろうさ』


響歌『でもおばあちゃんもいるんですよね?』

私がそう言うとおじさんはかゆそうな顔をし案の定、首筋をポリポリとかいた。

⏰:11/10/09 12:36 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#595 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
『ここだけの話、ここのばあさんはちょっとおかしいんだよね。たまに朝散歩してるの見かけるけど、近所の人と会っても挨拶もしない。それになんか魚が死んだような目でぼーっとしながら歩いてるんだよ。あれは完全にイっちゃってるだろうね』

嬉しそうに話すおじさんに少し腹が立ってきたが、なんとか抑えた。


響歌『そうなんですか…。ところで奈穂さんってどこにいるか知りませんか? 今日学校に来てなかったんで…』


『あれ、おかしいね。奈穂ちゃんとなら今日の朝会ったよ。制服もちゃんと着ていたし、ワタシにもちゃんと挨拶していったし』


黒川さんを見たのは朝。

制服は着ていたものの学校へは登校していない。

⏰:11/10/09 12:38 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#596 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
家の人に、学校へ行ってくると嘘をついてまでどこか行く所があったのか、それとも学校へ向かう途中で彼女の身に何かが起きたのか…。


電話が繋がらないのも、もしかしたら家や学校から黒川さんの携帯電話に連絡が来るのを断つため?


それとも、何者かに襲われて携帯電話を手にして警察へ電話しようとした所で犯人に取られて電源を切られてしまったのか…?


いや、嫌な方向へ想像を膨らませても仕方がない。


響歌『あの! 奈穂さんが行きそうな場所とか…心当たりとかありませんか?』


『…さあね。でも奈穂ちゃんが学校を休むなんて珍しいな。何か事情があるんじゃないかい?』

おじさんに聞けるのはこれくらいだろう。


私は軽く礼をし、黒川さんを探す為、その場から走り出した。

⏰:11/10/09 12:40 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#597 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
電話を何度もかけながら探した結果、結局黒川さんを見つける事はできないまま夜を迎えた。


響歌『はあはあ…』

こんなに走ったのは、小学校の時のマラソン以来だ。


あの河原に座り込んで呼吸を落ち着かせる。


なんとか落ち着いてきたと思っていた時、後ろから『ガシャン』と自転車を止める音がして誰かが私に近づいてくるのを感じた。

⏰:11/10/09 12:41 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#598 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
その気配に私は反射的に後ろを振り返る。


もしかしたら黒川さん?という期待を膨らましたが、そこにいたのは中年の男の警察官だった。


『こんな所で何をしてるの? 制服着たままだけど、どこの学校?』

警官の職務質問は厄介だが、答えなければすんなりと帰れそうにもないので、生徒手帳を提示してから警官の出す質問に全て答えた。

⏰:11/10/09 12:42 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#599 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
『…ふうん、なるほどね。で…そのいなくなった友達は名前なんていうの?』


響歌『はい、黒川奈穂さんといいます』


『黒川奈穂ね…。わかった。警察の方でも調べてみるから、君はもう帰りなさい』

10分ほどの職務質問を終えた後、私は解放された。

⏰:11/10/09 12:43 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


#600 [輪廻◆j6ceQ96kak]
 
 
家に着いてからも、黒川さんの事が頭から離れない。


女子高生が1日中ずっと携帯電話の電源を切っているなんてあり得るのだろうか。


ただの電池切れという可能性はあるが、今はもう夜9時で普通ならば家に帰っているはずだ。


その日は当然、眠れるはずもなかった。


ベッドの傍で体育座りになり携帯電話を片手に黒川さんから連絡がくるのをずっと待っていたんだ―

⏰:11/10/09 12:44 📱:S004 🆔:mzPsbm9g


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