†horror†
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#730 [輪廻]
蓮『なんだよ?』
七瀬『普通にハンカチとかで拭き取ったんじゃないの?』
蓮『……いや、あんな暗闇じゃ何も見えないし、そんな余裕はないだろ』
響歌『私とナナが外に出て、銃声が聞こえるまでの間に体育館で何があったんだろう…』
蓮『まっそれは警察が調べてくれるっしょ。
とにかく今日は疲れたし帰ろうぜ。
村井も井本も俺の家来いよ』
その夜は電車で3人、蓮の家へと帰った。
:11/12/09 11:35 :Android :Uts6xNC2
#731 [輪廻]
数日後ー
望月の事件はしばらくの間町内を騒がせ、テレビのニュースではついに“デスネット”の名前があがった。
主犯である望月の自宅から見つかったパソコンの中には“標的一覧”と題し、数々の殺人の被害者と思われる名前と個人情報が並ぶファイルを発見。
名前は公表されなかったものの、その中に何の罪もなく命を奪われた自分の大切な人の名前が入っていると思う度に、響歌は歯痒い気持ちで一杯になる。
響歌『結局…わからなかったな』
夜、蓮の家のリビングのソファでテレビ画面を見ながら呟く。
蓮『ん? なにが?』
響歌『うん、ちょっと…。
あ、私明日には実家帰る事にしたから』
:11/12/09 12:25 :Android :aFeV6h9U
#732 [輪廻]
蓮『マジで? アパートはどうすんの?』
響歌『管理人さんも、隣の部屋に住んでた人も死んじゃったから…あのアパートにいるのが怖くなっちゃって。
それに、ナナもちゃんと家に帰って両親に謝ったみたいだし、私も実家が恋しくなっちゃって』
蓮『そうだな。
あ、結局その管理人殺したのって…先生だったのかな。
あとお前が今言った、隣に住んでたって人も』
響歌『ううん…2人は大切な人って訳でもなかったから…わからない』
蓮『先生が生きてれば理由を聞けたんだけどな。
なんていうか…モヤモヤが残るんだけど』
響歌『そういえばあの男、望月先生の味方みたいだったけど、どこに行ったんだろうね。
私は、あの人が捕まるまで一生モヤモヤが消えないと思う』
そう言って響歌は小さく拳を握りしめる。
それを見た蓮は、その上にそっと優しく手を乗せた。
:11/12/09 12:44 :Android :mKA2fdo2
#733 [みゆ]
もう終わりが近そうで寂しいです(>_<)
でも楽しみでもあるので頑張ってください(^O^)
:11/12/09 12:58 :841SH :Mhx5GMaU
#734 [輪廻]
>>733さん
いつもコメントありがとうございます(^^)
はい。もう少しなのでどうか最後までお付き合いください(^^)
:11/12/09 14:02 :Android :qdq6jceQ
#735 [輪廻]
蓮『それなら俺も同じ。
次見つけたら今度こそ取っ捕まえてやる。
お前も、奴を見かけたり何かされそうになったらすぐ連絡しろよ』
響歌『あ…ありがと…』
蓮『って…あ…悪ィ!』
赤面しながら手を放す蓮に、自然と笑みがこぼれる響歌。
当然その夜はよく眠れ、例の夢も見る事はなかった。
翌日ー
:11/12/09 23:29 :Android :FeU18146
#736 [輪廻]
午前7時30分、清々しい秋晴れの空。
帰る準備をし、リビングに行くと、蓮の父がいつものようにキッチン側のテーブルでコーヒーカップを片手に新聞を読んでいた。
『あ、村井さん…おはよう』
響歌の姿に気づくと、これまた明るい顔で軽く頭を下げて言う。
響歌『おはようございます。
あの、蓮はまだ…?』
『ああ、まだ一度も起きて来てないよ。
あいつも、剛史や麗奈の事があってからここ数週間、ろくに眠れてなかったらしい。
でも数日前の事が解決してからか、色々吹っ切れたんだろう…よく眠ってたよ』
響歌『そうですか…。
じゃあ、蓮が起きたら伝えてもらえませんか?
…“ありがとう”って』
:11/12/09 23:51 :Android :y4fwpmAg
#737 [輪廻]
『…もう行っちゃうのかい? 何か食べていってからでも…』
響歌『あ、いえ…大丈夫です。
あの、あと…』
口ごもる響歌に、首を傾げる蓮の父。
響歌『あと…“お父さんと仲良くするように”とも伝えてください』
『…む、村井さん…』
響歌『本当にお世話になりました。
あと、映画のチケットもありがとうございました』
そう言い、頭を深々と下げ、とても長く居たように感じた蓮の家を後にした―
:11/12/10 00:07 :Android :jBqEDOEA
#738 [輪廻]
実家に帰る前に響歌は一度、実家から徒歩20分ほどの距離にある、今まで住んでいたアパートに寄った。
部屋の鍵は開いており、久しぶりの部屋に入る。
響歌『(ここ出てからあんまり経ってないのに、何年かぶりに来たように感じるな…)』
少し室内を見渡したあと、クローゼットを開け、隅の方に置かれた大きめのリュックを取り出し、その中に入るだけの服を詰め込む。
響歌『(まだあるけど、また取りに戻ればいっか)』
最後に、忘れずにアパートの契約書をまるめてポケットに入れ、その部屋を出た。
:11/12/10 00:34 :Android :fF4w8sxA
#739 [輪廻]
リュックを背負い階段を下りた所で、ふと何かの気配を感じ、ハッと後ろを振り返る。
すると管理人の部屋の前に、黒いフード付きの服を着た男の姿があった。
その男はフードで鼻から上を隠していたが
唯一、露出しているニヤリとさせたその口元を見て、すぐにあの男だとわかった。
響歌『な…なんで…?』
驚いた顔をし、その場から後ずさりする。
:11/12/10 00:48 :Android :5h.uFjjc
#740 [輪廻]
男は、そんな響歌に襲いかかって来る訳でもなく、その場で響歌に笑みを浮かべながら、ただじっと立っている。
その顔に吸い込まれるように視線を外す事ができず、やがて身体や手足も震えだす。
立ったまま金縛りにあったような感覚になり、それはしばらく治まる気配はなかった。
すると突然、男がゆっくりと響歌の元に歩み寄ってきた。
響歌『だ…誰か…』
大声で助けを呼ぼうとしたが、よく見ると、朝の9時前だというのに周りに人の姿はない。
まるで、この世に自分とこの男しかいないのかと思わせるようにー
:11/12/10 01:16 :Android :5LxjkoDI
#741 [輪廻]
そして、ついに男は響歌のすぐ目の前に立った。
これは夢であって欲しいと、目をぎゅっとつむりながら心の中で祈る。
すると男は、響歌の耳元でぼそっと呟いた。
『ゲームはまだ終わらないよ…』
その言葉を聞いて、ぱっと目を開けて周りを見回すと、そこに男の姿はもうなかった―
:11/12/10 17:32 :Android :spUdrKjc
#742 [輪廻]
響歌『(終わらない……?)』
男が言った言葉が何度も脳内にこだまする。
急に全身に寒気が走り、すぐその場から立ち去ろうとした時、後ろから誰かが響歌の肩をポンと叩いた。
響歌『…きゃっ!!』
いきなりの事に反射的に驚きの声をあげ
、その手を、肩を激しく動かして払いのける。
武田『わっ!』
後ろから聞き覚えのある声がして振り返ると、そこに立っていたのは驚いて目をシロクロさせているアパートの隣人の武田だった。
:11/12/10 17:35 :Android :K/HY0xQ.
#743 [輪廻]
響歌『あっ、た、武田さん…』
武田『久しぶりぃ…。一体どうしたの?
私も驚いちゃったよ』
武田のすぐ下の地面には、驚いた拍子に落としてしまったと思われる、ほうきがあった。
響歌『すっ、すみません!』
武田『大丈夫よ。それよりそのリュック…またどこか泊まりにでも行くの?』
響歌『いえ…このアパートを引き払って実家に帰ろうと思ってるんです』
武田は当然理由を尋ねてきたので、響歌はこのアパートで死んだ者の事についての話をした。
:11/12/10 17:37 :Android :Us.cY7T2
#744 [輪廻]
武田『あらそう…私もびっくりしたのよ。
奥村さんの時もそうだったけど、管理人さんまでもが殺されたって聞いた時はねぇ』
さすが噂話や世間話が好きなおばちゃんと言った感じか、武田は少し嬉しそうに喋る。
響歌『武田さんは…怖くないんですか?』
愚問だとは思ったが、彼女も女性なので、念のためにと聞いてみた。
武田『私? あはは!
そりゃ怖いに決まってるじゃないの!』
笑いながら即答する武田を見て響歌は“この人なら大丈夫だ”…直感的にそう思った。
:11/12/10 17:39 :Android :Us.cY7T2
#745 [輪廻]
武田『でも村井さんがいなくなっちゃうとなんだか寂しいわ。
実家はどの辺りにあるの?』
響歌『あ、ここから20分くらいの所です』
武田『あらそう…じゃあおばさんに会いたくなったらいつでも来てちょうだいね』
響歌『…ありがとうございます』
気さくで明るい武田と話していると、今までの出来事などが最初からなかったように感じた。
そんな意味も込めた“ありがとう”を武田に言い、響歌は実家へと向かうー
:11/12/10 17:41 :Android :Us.cY7T2
#746 [輪廻]
途中あの河原を歩いていると、上から一枚の紙が風に流されるように響歌の方に向かってきて、やがて足元にフワリと落ちた。
その白いA4サイズのくしゃくしゃになった紙には…
“高収入! 誰にでもできるアルバイト急募! 詳しくはコチラへ”と書かれ、担当者の名前などはなく電話番号だけが記されている。
響歌『……やめとこ』
“高収入”という響きに一瞬だけ心が揺らいだが、担当者の名前がないのはどう考えても不自然だと思い、その紙を拾い上げると、まるめて後ろにポイっと投げ捨てた。
:11/12/10 17:43 :Android :PW2isk5o
#747 [輪廻]
数十分後―
高校を卒業してから出ていった実家の前に到着し、ドアの前で足を止めて深呼吸してからインターホンを押す。
『はあい!』
ドアの向こうからした、久しぶりに聞く母の声に安心を覚える響歌。
そしてドアが開き、中から母が顔を覗かせた。
響歌『お母さん…久しぶり』
『響歌じゃない! 久しぶり!』
お互いの顔を数秒間眺めた後、次に母の目に入ったのは、響歌が背中に背負った大きいリュック。
:11/12/10 17:46 :Android :PrFZziwo
#748 [輪廻]
『あれ、どこか旅行にでも行ってたの?』
響歌『ううん、違うよ。あのさ…』
前もって連絡しなかったせいで“アパート暮らしをやめてここに帰ってきた”とはなかなか言い出せない響歌だった。
すると母は、響歌がこれから言おうとした事を悟ったかのように、優しい目をして言った。
『わかってるよ、響歌。
何も言わなくても…お母さんには』
そんな母の言葉で、響歌の目は涙で一杯になり、そんな響歌を母は優しく抱きしめた―
:11/12/10 17:48 :Android :7tj.6SrI
#749 [輪廻]
中に入り、しばらくして落ちついた所で、母は一枚の紙を差し出した。
響歌『なに? これ』
そう言いながら、紙に目をやる。
響歌『……同窓会……?』
印刷された紙の上部分には大きめな文字で“桜丘中学3年A組・同窓会のお知らせ”と書かれていた。
『昨日ファックスで送られてきたんだよ』
響歌『同窓会か…どうしようかな』
最近続いた出来事もあり、あまり乗り気じゃなさそうに言う。
:11/12/10 17:50 :Android :7tj.6SrI
#750 [輪廻]
『そうそう、ニュース見た?
アンタが通ってた中学校の先生が自殺したって』
母は突然、思い出したように言う。
響歌『う、うん…そうみたい』
その件に自分も関わっていたとは言えなかった。
『名前は…望月って言ったっけ?
響歌、どんな人だったか覚えてる?』
今の響歌にとって、これほど戸惑う質問はなく…
響歌『……よく覚えてない』
と、そう一言だけ答えた。
:11/12/10 21:46 :Android :ltKS0pug
#751 [輪廻]
『もう前の事だもんね。
お母さんも全然覚えてないの。もう年なんだね』
響歌『なら、私も年だよ』
そんな他愛のない話をしばらくの間続けた。
アパートの部屋にあったほとんどの荷物を運び、そのアパートを引き払い、再び実家に住み始めて数ヵ月が経ち、翌年新年を迎える―
この数ヵ月間、あの男が響歌の前に姿を現す事は一度もなかったが、時々外を歩いているとふと背後に誰かの視線や気配を感じたりする事は度々あった。
:11/12/12 13:14 :Android :iKeZKfsg
#752 [輪廻]
響歌『じゃ、行ってくるね』
1月上旬の、ある日曜日の夕方。
以前から通達されていた同窓会に、響歌は行く事になった。
本来は去年の12月末の予定だったが、同級生より幹事宛に、その日は仕事だとか、彼氏彼女と過ごしたいなどという都合がつかない連絡が続出。
結果、翌年1月上旬の最初の日曜日の日に延期になり、新年会も兼ねた同窓会として行われる事が決定された。
集合場所は、響歌らが通っていた桜丘中学校の校門の前。
そこから同級生の持っている車に乗って新年会、及び同窓会の会場へ直行という流れである。
:11/12/12 13:16 :Android :NdJ1rlm2
#753 [輪廻]
河原を過ぎて、中学校が見えてきた時―
響歌『(…また…?)』
去年実家に帰って以来、外出する度に感じる背後から誰かにつけられているような気配。
姿は現さないものの、その人物は響歌の動向を探っているかのようで、気味が悪かった。
もう少しで中学校だと、少し小走りで向かう。
校門の前に人だかりができているのが見えた時には、途端に恐怖もふっ飛び、安心した。
:11/12/12 13:20 :Android :mxJ3opO.
#754 [輪廻]
懐かしの面々の中に駆け寄ると、人だかりの中心にいた幹事と思われる同級生の男の一人が声をかけてきた。
『あれ、もしかして…村井ちゃん?』
身長は180cm前後と長身。
黒いスーツに身を包み、髪は短髪、色は金一色で染められていて、顔にはサングラス。
ちなみにうっすらとはえている顎髭も金色だった。
そんな彼は、いかにも危ない人のオーラが漂っていて、とても同い年で同級生とは思えない。
響歌『えーと…誰だっけ?』
同級生の男はカッコつけるようにサングラスを取り、顔を見せつけたが…
響歌『ごめん…誰?』
とキッパリ言い放った。
:11/12/12 13:23 :Android :mxJ3opO.
#755 [輪廻]
気まずい空気の中、しばらくお互い見つめ合っていると…
七瀬『お待たせ!』
蓮『ちぃっす!』
2人が一緒に向こうからやってきた。
幹事はサングラスをかけ直すと、すぐに2人の元に駆け寄っていく。
『おお桐谷! それに七瀬ちゃんも! 久しぶり!』
幹事が明るくそう言うと、2人は首を傾げて、しばらく彼の顔を凝視した後、蓮が響歌と同じ言葉を発した。
蓮『……誰だっけ?』
:11/12/12 13:25 :Android :mxJ3opO.
#756 [輪廻]
その一言に、幹事はとてもショックを受けたように下を向いた。
蓮『七瀬、お前は覚えてる?』
七瀬『う〜ん…こんなヤクザみたいな人いたっけ?』
追い討ちをかけるような七瀬の一言で、彼はついにその場にしゃがみ込むほどに落ち込む。
そんな幹事とは裏腹に響歌の方は、前の蓮の発言に『えっ?』という顔になっていた。
響歌『(ま、まさかね…)』
どうせ聞き間違いだろうと、強引に自分を納得させる。
:11/12/12 13:28 :Android :mxJ3opO.
#757 [輪廻]
七瀬『あっ、響歌!』
ふと響歌を見つけた七瀬が声をあげ、蓮と一緒に近づいてくる。
七瀬『あけましておめでとう! 響歌』
響歌『お…おめでとう』
そこで、見たくなかったが、見えてしまった。
蓮と七瀬がしっかりとお互いの手を繋いでいるのを。
蓮『村井、あけおめ』
響歌『うん…あけおめ』
笑顔で言ってきたので、響歌はなるべく2人の手元を見ないように、笑顔で返した。
:11/12/12 13:30 :Android :PQLYT/Kw
#758 [輪廻]
それから時間は午後5時を過ぎ、人も集まってきた所で、ショックが収まったのか、幹事が再度明るい声で仕切り始める。
『じゃ、そろそろ会場に行きますか!』
その一声に、一同は大声で喜びの声をあげた。
七瀬『結局誰だっけ…あの幹事の人』
そんな歓声の中、七瀬が小声で響歌と蓮にひっそり呟く。
蓮『覚えてねえや…。ま、いいじゃん。
あとで名前聞けば思い出すかもしれないし』
そうだね、と2人は首を小さく縦に振った。
門の近くに停めてある数台の車に適当に乗り込む事になり、幹事が運転する先頭の車の後に他の車が続き、やがて会場へと走り出すー
:11/12/12 13:33 :Android :YcX/EUo.
#759 [輪廻]
某日・某所ー
一人の若い男性が、くしゃくしゃになった白い紙と携帯電話を手にしている。
『あの、すみません…高収入アルバイトの紙見て電話したんですけど』
『お電話ありがとうございます。
電話をして頂いた時点でデスネットへの入会、及び登録が完了致しました。
登録手数料などは一切かかりません。
お仕事の内容が決まり次第、こちらからお電話させて頂きます。
5分後、折り返しくる電話に、お名前とご住所と通帳口座番号をお伝えください。
入会・登録ありがとうございました』
そう言って通話は切れる。
電話の向こうで話す者…
それは人の肉声ではなく、機械を通したものだ。
『あれ? 面接とかないの?』
一瞬戸惑う男だったが、やがて顔に笑みがこぼれる。
:11/12/12 13:55 :Android :S8YcYV1s
#760 [輪廻]
『デスネット…聞いた事ないな。
どんな仕事するかも知らないけど…
まっ、面接無しで決まっただけでもよしとするか!』
折り返しくる電話を嬉しそうに待つ男性。
5分後…
―プルルルルルルル!!
『…はい! 名前は大槻と言います
。住所は…………』
:11/12/12 14:01 :Android :S8YcYV1s
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