2年A組
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#182 [我輩は匿名である]
「どういう意味?」

「ちょっと前、梶浦君と事件の事話してたでしょ?…何か知ってそうだったから」

「別に…何も知らねぇよ」

「『次は誰だと思う?』って、この事件が続く事知ってたじゃない」

彩が言うと、図星だったのか、誠が黙り込んだ。

やっぱり。彩は確信し、彼の返事を待つ。

「…何となく、続きそうな気がしただけだよ」

「“気がした”だけで、あんな真面目そうな顔で喋る?うっちーはともかく、梶浦君があんなに真面目そうに話すのって初めて見たよ?」

⏰:11/11/24 23:50 📱:PC/0 🆔:Oj25pFvo


#183 [我輩は匿名である]
「お前が初めてなだけだろ」

「…何で教えてくれないの?」

彩はより低い声で問い詰める。

「私だって…私だってこんな事件、さっさと終わってほしい…!終わらせれるなら終わらせたい!警察が信用できないなら、私たちが自分でどうにかしなきゃ!私たち、いつ死んじゃうかわからないんだよ!?」

「わかったから、ちょっと落ち着けよ」

焦りからか、どんどん止まらなくなり始めた彩を誠が止める。

誠に言われ、彩はやっと口を閉じる。ここまで口に初めて、自分がここまで追い詰められていたことに気が付く。

以前から恐怖は抱いていたが、春香が亡くなったことで、さらにそれが膨らんできている。

⏰:11/11/24 23:50 📱:PC/0 🆔:tI5MkzOk


#184 [我輩は匿名である]
「…もう一回言うけど、俺も司も、事件の事は何も知らない。ただ調べてるだけで」

「…何を調べてるの?」

「…誰にも言うなよ。下手すると狙われるかもしれないから」

『狙われるかもしれない』。その一言に、彩は躊躇する。

誰かに言うつもりはないが、どんな情報なのかと思うと、自然と心拍数が上がる。

「…うん」

彩は決心して、大きく頷く。

「…何年か前、この辺で殺人事件があったの覚えてるか?刃物で刺されて十何人かが殺されたやつ」

⏰:11/11/24 23:51 📱:PC/0 🆔:tI5MkzOk


#185 [我輩は匿名である]
「…そんな事件あった?」

「あった。…今、家か?」

「え?うん」

「…俺の家来れるか?電話だとめんどくさい」

「…大丈夫かな」

「防犯カメラの前では事件は起こらない」

「…そっか。…じゃあ、行く」

「エントランスで待ってるから」

⏰:11/11/24 23:51 📱:PC/0 🆔:tI5MkzOk


#186 [我輩は匿名である]
「うん。わかった」

彩は電話を切り、家を出る。

大丈夫だとは思っても、やはり外出するのは怖い。足早に階段を下りて、誠の待つ向かいのマンションに走る。

彩がエントランスに到着すると同時に、誠もやってきた。

「早いな」

「当たり前じゃん!怖いもん!…で、何するの?」

「家に入ってからな」

外では話したくないようで、誠はきっぱり言い放った。

しかたなく彩も黙り、ひたすら歩いて誠の家までたどり着いた。

⏰:11/11/24 23:51 📱:PC/0 🆔:tI5MkzOk


#187 [我輩は匿名である]
「おじゃましまーす」

「今は俺以外誰もいないから、適当にくつろいでいいぞ」

「くつろぎに来たんじゃないし」

「…まぁそうだけど…」

2人はそう言いながら、誠の部屋に入る。

「…相変わらず何もない部屋だね」

きょろきょろしている彩を尻目に、誠は自分のパソコンの電源を付ける。

「塩見、ちょっとこっち来い」

⏰:11/11/24 23:52 📱:PC/0 🆔:tI5MkzOk


#188 [我輩は匿名である]
「ん?」

棚に積み上げられたCDを眺めていた彩は、誠の隣に来て彼のパソコンを覗き込む。

画面には、ある殺人事件の記事と容疑者らしい男性の顔写真が映し出されている。

黒い短髪で、一見普通の、その辺にいそうなその男性の写真に、彩は「あ」と声を漏らす。

「この人、ニュースで見たことある!」

「さっき俺が言った、何人も刺して殺した殺人犯、葛城歩」

誠に説明されて、彩はやっと思い出した。そういえば、この近辺でよく殺人事件が起きていた時期があった。

⏰:11/11/24 23:52 📱:PC/0 🆔:tI5MkzOk


#189 [我輩は匿名である]
被害者には一切接点はないが、共通点が1つ。被害者全員が、ナイフか何かで胸部を一突きされてほぼ即死だったこと。

その容疑者として名前が挙がったのが、この写真の男、葛城歩だった。

警察がもう少しで捕まえられるという所で取り逃がしたというニュースを見て、中学生ながら「みっともない」と思ったものだ。

「でも、何で今頃この事件なんか調べてるの?」

「…この事件と今回の事件、似てないか?」

誠にそう言われて、彩は「うーん」と首をひねる。

確かに、人気のない暗い道で事件を起こしている事や、凶器が刃物であるという事、方法が同じだという事は酷似しているようにも見える。

しかし、なぜ彼が自分たちを狙うのかわからない。

⏰:11/11/24 23:53 📱:PC/0 🆔:tI5MkzOk


#190 [我輩は匿名である]
「言われてみれば似てるけど…何でこの人が私たちを狙うの?」

「そこまでは俺も知らない。でも、俺たちが中学2年になって何か月かしてから、こいつの事件が全くなくなった」

「…私たちのクラスの子が、この人と何かあったかもしれないって事?」

「そうじゃないかと、俺と司は思ってる。…思ってるだけだけどな」

「…うっちー警察やった方がいいんじゃないの?」

彩は真面目な顔で誠に言う。

「命かける仕事なんかしたくねぇよ。…お前、何か飲む?」

「お茶ほしい!」

彩の返事に、誠は部屋を出て行った。

⏰:11/11/24 23:53 📱:PC/0 🆔:tI5MkzOk


#191 [我輩は匿名である]
彩は椅子に座り、パソコンとにらめっこする。

中学2年の時、特にこんな事件に関係した生徒はいなかったはずだ。なのに、なぜこの葛城が自分たちを狙い、殺す必要があるのか。それだけがわからない。

もちろん男子高校生のただの予想にすぎず、何の確証もないのだが、全く見当がついていない警察を見ていると、誠の話を信じたくなる。

そんな事を考えていると、麦茶が入った2つのグラスを持った誠が戻ってきた。

「ねぇうっちー。犯人この人かもしれないって、警察に言った?」

「言ってねぇよ。一般人が気付くぐらいなんだから、あいつらだってわかるだろ」

「わからないかもしれないよ!だってあの人たち、何もわかってなかったじゃん」

「まぁそうだけど…」

誠は、グラスを1つ彩に手渡しながら返事をする。

⏰:11/11/24 23:54 📱:PC/0 🆔:tI5MkzOk


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