2年A組
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#44 [我輩は匿名である]
「え〜!?」
ボーっとしていた彩は、急に周りが騒がしくなったのに気付いて我に返った。
「何だよそれ〜ありえね〜!」
斜め後ろの方から、龍也の野次る声が聞こえてくる。
彩はちょんちょんと、前に立っている凛の肩をたたく。
「凛ちゃん、校長先生何て言ったの?」
「“夜遅く帰宅するのを避けるため、すべての部活動を当分見合わせます”だって」
龍也が野次る理由がすぐにわかった。
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#45 [我輩は匿名である]
しかし、彩としてはそっちの方がありがたかった。野球部はそこまで遅くはならなくても、帰るのが夜7〜8時になることもある。
本当に2年A組の生徒が狙われているのだとすれば、外にすら出たくない。
「彩ちゃん」
凛がこちらを向く。
「今日から一緒に帰っていい?…なんか、私怖くて」
「私も…怖い。しばらくは一緒に帰ろ」
彩は力なく笑い返す。
:11/10/23 20:00
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#46 [我輩は匿名である]
その際、さっきまで黙って前を向いていた誠が、少しだけ振り返ってこちらにを向けているのに気が付いた。
「?」
彩は「どうしたんだろう?」と視線を返すと、誠はそのまままた前を向いた。
たまに何を考えているのかわからない誠に、彩は首をかしげた。
:11/10/23 20:00
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#47 [我輩は匿名である]
その日の放課後。
彩は凛とともに帰路についていた。授業が終わってすぐの帰り道のため、まだ外は明るく、人通りも車の通りも多い。
「凛ちゃん…あの事件、どう思う?」
歩きながら、彩は静かに凛に尋ねた。
「どう…って?」
質問の内容が読めず、凛は聞き返す。
「なんか、うまく言えないけど…、私たちも狙われるんじゃないか…とか、思っちゃって」
:11/10/23 20:01
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#48 [我輩は匿名である]
彩は自分でも「ばかげている」と思いながらも、自分の不安を口にする。
凛はそれを聞いてしばし黙る。
おかしなことを言ったな。彩は少し後悔する。
「…私だけじゃなかったんだ。そう思ってるの」
凛は安心したように笑った。
「私もね、同じこと考えてたんだ。被害にあってるの、みんな中学の時の同級生じゃない?…一体何なんだろうって」
:11/10/23 20:01
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#49 [我輩は匿名である]
「(やっぱり、こう思う子もいるんだ)」
凛の言葉を聞いて、彩もほっとした。
男子3人が集団で殺されているのを考えると、女子2人で一緒に帰っていても大して安全ではないのだが、それでも同じ気持ちでいる友人が一緒なら、どこか心強い。
「じゃあ、私あっちだから」
凛は立ち止まり、自分の家がある方向を指さした。
「あっ、そうだったね。じゃあ、また明日」
彩と凛は手を振りあい、それぞれ自分の家へと向かって歩き出す。
:11/10/23 20:02
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#50 [我輩は匿名である]
話し相手がいなくなり、寂しさを感じながら歩いていると、彩はふと、誠と1人の男子高校生が話しているのを見つけた。
「(うっちーだ)」
誠は背中を向けているが、鞄についている熊のキーホルダーですぐにわかった。
あれは少し前に、彩が誕生日プレゼントで誠にあげたものだった。
見たところ、冗談を言い合っているような様子ではない。深刻そうな顔で、まじめな話をしているようだ。
よく見てみると、話し相手の男子高校生は彩も知っている人物だ。同じ中学の同級生だった、梶浦司だ。
思い返せば中学の時、誠と司は仲が良かった。司は別の高校に進学したが、今もちょくちょく会っているのは、彩も知っている。
彩は誠を盾にして司から見えないような位置から、足音を立てないようにそっと近づく。
:11/10/23 20:02
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#51 [我輩は匿名である]
しっかりと聞き耳を立てて近寄っていくと、ある程度声が聞こえるようになってきた。
「じゃあ…次は誰だと思う?」
そう言ったのは誠だ。彩は声が聞こえる場所に来ると立ち止まった。
「さぁ?…話変わるけど……」
運悪く、司が声を小さくしてしまった。これでは何の話をしているのかすらよくわからない。
そう思ってむくれていると、誠が素早くこちらを向いた。
急に振り向かれると思っていなかったので、彩はその場に固まる。
:11/10/23 20:02
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#52 [我輩は匿名である]
「…何やってんだよ、お前」
「えっ、いや…何、話してるのかなぁと思って…」
彩はあたふたしながら答える。
「なっ、何でこっち向いたの?」
「足、見えてたよ」
そう答えたのは司だった。誠と違って愛想の良い司は、彩を見て笑っている。
「盗み聞きか?ん?」
「痛い痛い!暴力反対!!」
:11/10/23 20:03
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#53 [我輩は匿名である]
不機嫌そうに見下ろしながら、誠が彩の耳をつねる。
急に司が声を潜めたのは、誠に、背後に誰かがいるのを伝えるためだったのか。彩は耳をつねられながらも冷静に考えた。
「ったく、悪趣味な奴。早く帰れよ」
手を放し、誠がため息をつく。
「だって、何話してたのか気になっちゃって。珍しくまじめな話だったみたいだし…」
「『珍しく』って言われてるよ、誠」
「お前ならともかく、俺はいつもまじめだよ」
:11/10/23 20:03
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