2年A組
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#1 [我輩は匿名である]
初めましての方もそうでない方もこんにちは
以前こちらでお話を書かせてもらった者です(*^_^*)
今回また違うお話を書かせていただきます(・∀・)ノ

ご意見ご感想はこちらにお願いします↓
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4747/
題名違いますが、前のを再利用させていただいていますのであしからず(m'□'m)


誹謗中傷お断わりです!あと、ミステリー(もどき)っぽいものになってますので、苦手な方はご注意下さい

⏰:11/07/20 13:37 📱:N08A3 🆔:39V8PWbs


#2 [我輩は匿名である]
始まりは5月15日、雨の日の夜だった。

この日は雨のせいか、少しひんやりとしていた。

「ご…ごめん!私が悪かった!頼むから許して!」

街灯の少ない狭い路地裏に、1人の女子高生の声が響き渡る。

しかし、周りにあるのは住人のいない古びたアパートや空き店舗。

さらに雨の音でかき消され、その声は誰にも届かない。

目の前にいる、黒いレインコートを着た人物以外には。

⏰:11/07/20 13:43 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#3 [我輩は匿名である]
髪を金色に染め、雨でも崩れないほどばっちり化粧をした女子生徒は、腰を抜かしたのか、座り込んだまま後ずさる。

黒いレインコートから伸びた黒い手には、1本の包丁。それを握ったまま、ゆっくりと彼女に近づいていく。

「ひ…っ」

立ち上がれない中どうにかして逃げようとする女子高生だが、背中に何かがぶつかった。

ハッと振り向いてみると、背後には電柱。

もう逃げられない!

そう思った瞬間、女子高生は胸ぐらをつかまれ、力づくで立ち上がらされた。

⏰:11/07/20 13:44 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#4 [我輩は匿名である]
レインコートから覗く鋭い眼。暗くて良く見えないが、どこか笑っているように見える。

その表情を見て、背筋が凍りついた。

「ごっごめんなさい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさ…」

必死の謝罪も意味をなさなかった。

自分の胸に突き刺さったさっきの包丁。感じたことのない、言い表せない痛みが全身を駆け巡る。

かと思えば、それはすぐに引き抜かれた。

⏰:11/07/20 13:44 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#5 [我輩は匿名である]
力が入らず、女子高生はだらりとその場に座り込む。

ほとんど動かなくなった彼女を、レインコートの人物はじっと見下ろす。

見ていると、自然と口角が上がってきたのが自分でもわかる。

そしてすぐに、身を翻してその場を立ち去った。

「まず1人目…♪」

笑顔のまま、そう言い残して。

⏰:11/07/20 13:45 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#6 [我輩は匿名である]
次の日の放課後。

「…ねぇ、昨日の話聞いた?」

野球部の練習をベンチで見ながら、高校2年生の塩見彩は、同じ野球部マネージャーの青山美穂にぼそっと尋ねる。

「聞いたよ〜…怖いよねぇ」

「あの、女子高生が殺されてたってやつ?」

ボールを籠いっぱいに拾ってきた永井皐も、地面に籠を置いて話に入ってきた。

「そうそう。あの殺された子、私たち知ってるんだよね」

彩は浮かない顔で話す。

⏰:11/07/20 17:55 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#7 [我輩は匿名である]
「私と彩ちゃん、中学2年の時、その子と同じクラスだったんだ」

彩に代わって、美穂が皐に言った。

「マジで?そりゃ気になるわな」

昨日の夜22時ごろ、細い路地裏で女子高生が殺害される事件があった。その女子高生は他校の生徒だが、現場からそう遠くもないこの高校でも今朝、各担任から注意を促された。

「な〜にサボってんだよ、お前ら」

話している間に休憩に入ったらしく、部員の菊池龍也が割って入ってきた。

「別にサボってないっつーの!」

⏰:11/07/20 17:55 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#8 [我輩は匿名である]
「どう見てもサボってただろ!」

「…で、何喋ってたの?かなり暗い顔してたけど」

スポーツドリンクが入ったペットボトルを片手に、同じクラスの部員、内村誠も話に入ってきた。

「ほら、あの話だよ。小松さんが昨日…」

「あぁ、殺されてたってやつ?」

表情1つ変えずに、誠は地面に腰を下ろす。

「何、お前ら知り合いなの?」

龍也もしゃがみこんで尋ねる。

⏰:11/07/20 17:56 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#9 [我輩は匿名である]
「うん。私と美穂とうっちー、中学の時クラス一緒だったんだよ。その子と」

「だからうっちーって呼ぶな」

彩と幼馴染の誠は、いつも通り嫌そうな顔で言い返してくる。彩は訂正する気はないのだが、わざわざ毎日ご丁寧に言い返すのだ。

「じゃあ“うっちゃん”にする?」

「…それも嫌だ」

「でも、何で死んじゃったんだろうね、小松さん」

「その子、何か恨まれるようなことしてたわけ?」

皐の問いに、彩と美穂と誠は顔を合わせる。

⏰:11/07/20 17:56 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#10 [我輩は匿名である]
「まぁ…思い当たる事はあるな」

真っ先に口を開いたのは誠だった。

「何?」

出身中学校が異なるため事情を知らない皐と龍也は、そろって首をかしげる。

「いじめっ子だったんだよ。なんか、ちょっとでも気に入らない奴は無視したりするような。ギャルっぽいし、元々生理的に受け付けなかったけど、あれは特にやばかった」

誠はうんざりした顔で説明する。

「じゃあそのいじめられてた奴が犯人なんじゃねぇの?」

あまり物事を深く考えない性格の龍也は、誇らしげに言い張る。

⏰:11/07/20 17:57 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#11 [我輩は匿名である]
「あんたホント単純だよね」

「うっせぇなぁ。だってそれが1番当たってそうじゃん!」

「おまけに…」

今度は彩が話す。

「そのいじめられてた子…うちのクラスの子なんだ」

彩と同じクラスの皐はきょとんとする。

「えっ誰!?」

「…言っちゃっていいのかなぁ?」

⏰:11/07/20 17:57 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#12 [我輩は匿名である]
「あー、そいつあれだろ?小山かなんかって名前の」

ためらっている彩をよそに、龍也が先に声を上げた。

「言っちゃったし…」

「凛ちゃん!?あの子いじめられてたの?全然そんな感じには見えないけど」

皐はぽんと手をたたき、彩たちに尋ねる。

「いじめられてたって、何されたんだよ?」

⏰:11/07/20 17:58 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#13 [我輩は匿名である]
「ん〜、ある日机が廊下に出てたり…」

「…あぁ…よくある話だね…」

「提出物がゴミ箱に入ってたり…」

「……ひでぇ…」

「何回も足ひっかけられてこけそうになったり…」

内容を聞いているうちに、皐と龍也の表情も曇ってきた。

話に出てきた小山凛は、現在彩、皐と同じクラスで、昼食を一緒に食べるほどの仲だ。至って普通の子で、容姿も成績も並み。

明るくて素直で、そこまで嫌われるような子ではない。

⏰:11/07/20 17:58 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#14 [我輩は匿名である]
「でも、何で凛ちゃんがいじめられてたの?」

「それが…」

事情を話そうとすると、ちょうど休憩終了の笛が鳴った。

「ちっ、いいとこだったのに!誠、お前も知ってんだろ?続き教えて」

「はいはい後でな」

2人は立ち上がり、練習に戻っていった。

「…次なんだっけ?」

「ノックだよ。私たちも行かないと。後でまた続き話そ」

3人もぶつぶつ言いながら、ノックの球出しに向かった。

⏰:11/07/20 18:00 📱:PC/0 🆔:Nsi6dKRc


#15 [我輩は匿名である]
打者にボールを出しながら、彩はぼーっと考えていた。

誰が彼女を殺したのか。どうしてそんな事になったのか。

単純に考えれば、龍也の言う通り凛が犯人そうではある。しかし昨日、彼女はピアノのレッスンがあると言っていた。

ピアノのレッスン先も凛の家も、事件現場とは正反対の場所にある。レッスンに行かなかったとなれば話は別だが…。

今日、担任の口から当然凛も今回の事件の事を聞いたわけだが、他のクラスメイトと同じような反応を見せただけで、特に変わったようなことはなかった。

「(凛が犯人ってのは…ないと思うんだよなぁ…)」

「大丈夫か?」

頭上から声が降ってきた。顔を上げると、ノックの手を止めて誠がこちらを見下ろしている。

⏰:11/07/21 20:54 📱:PC/0 🆔:a5gRyvU.


#16 [我輩は匿名である]
考えているうちに、ボールを出す手が止まっていたらしい。

「え?あぁ、ごめんごめん」

「…昨日の事か?」

やけに考え込んでいる彩を気遣ってか、誠が声をかける。

「…うん…」

「まぁあんな奴だし、高校でも同じようなことしてたんじゃねーの?」

「そう…かなぁ…」

特に仲が良かったわけでもないし、どっちかというとあまり関わりたくないタイプだったのだが、事が事だけに気になってしまう。

⏰:11/07/21 20:54 📱:PC/0 🆔:a5gRyvU.


#17 [我輩は匿名である]
「それか、通り魔とか。お前も気をつけろよ、一応」

「一言余計なんだよ!いつもいつも!」

「塩見!内村!まじめにやれ!」

2人そろって手が止まっていたため、監督から喝が飛んできた。

「…でも、うっちーは気にならないの?」

ノックを再開しつつ、彩はまた尋ねる。

「別…に!」

センター方向にボールを飛ばしながら、誠は答える。

⏰:11/07/21 20:54 📱:PC/0 🆔:a5gRyvU.


#18 [我輩は匿名である]
つまんないの。彩は少しむくれてボールを放る。

「そんなに気になんのか?」

「うん…。なんか、嫌な感じがして…」

「考えすぎだろ」

誠は言い放って、まるで彩の不満を振り払うかのように、今度はレフト方向にボールを飛ばす。

「…今日はよく飛ぶね」

「…今日だけじゃねーよ別に」

確かに、誠の言う通り考えすぎだろう。そう自分に言い聞かせて、今日はもう考えようにした。

⏰:11/07/21 20:55 📱:PC/0 🆔:a5gRyvU.


#19 [我輩は匿名である]
真っ暗な部屋で机のライト1つ照らし、男は1冊の卒業アルバムを眺めていた。

全員が晴れやかな笑顔で写った、思い出にあふれたアルバム。

「…ヒヒッ」

これから起こる事を考えると、思わず笑い声が漏れた。

「何人できるかなぁ〜?」

男は嬉しそうに、その夜ずっとそのアルバムを眺めていた。

⏰:11/07/21 20:55 📱:PC/0 🆔:a5gRyvU.


#20 [我輩は匿名である]
期待アゲ

⏰:11/08/02 03:53 📱:N02C 🆔:TAyNQ/E2


#21 [我輩は匿名である]
「おはよー」

次の日の朝。いつものように、座席が近い凛が、鞄を机に置いて彩の元にやってきた。

「おはよ」

「聞いてよ!昨日警察の人が来てね、『一昨日の夜10時ごろ何してましたか?』とか聞かれてさぁ!」

凛はかなり腹が立っていたらしく、登校して来て早々不満をぶちまけた。やはり警察もいじめの事を突き止めていたらしい。

「そうなんだ。でも、あの日ピアノ行ってたんでしょ?」

⏰:11/10/23 10:50 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#22 [我輩は匿名である]
「行ってたよ!そう言ったらおとなしく帰って行ったけどね。ホント、こっちはもうあんな奴の顔すら見たくないってのに!」

前の席に座って、腕を組んで鼻息を荒くする凛に、彩はどこかほっとした気分になった。

「そう…だよね。…通り魔かなんかかな?やっぱり。そうだと怖いなぁ〜」

「そうだねー。彩ちゃんも、あんまり遅い時間にうろうろしちゃだめだよ?部活の帰りとか気を付けてね」

「うん。ありがと」

彩は笑って頷いた。心のもやもやが、一気に晴れた気がした。

⏰:11/10/23 10:51 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#23 [我輩は匿名である]
一方、隣のクラスでは。

「飲酒運転?」

誠と龍也が昨日の話の続きをしていた。昨日はすっかり疲れてそれどころではなくなったらしい。

「あぁ。小山の親父が、飲酒運転で追突事故を起こしたらしい。それで何人か死んでる」

「はーん、それが原因でいじめられたって事か」

事情が大体わかり、龍也は頷く。

「そんなんでいじめられてたらたまんねぇな。悪いの親父だけじゃん」

「小松は何でも槍玉にあげるような奴だったからな。『お前の父ちゃん人殺しー』的なノリだったんだろ」

呆れたように誠は言う。

⏰:11/10/23 10:53 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#24 [我輩は匿名である]
「くっだらね。女って怖ぇよなぁ」

わずらわしそうに、龍也がため息をつく。「確かに」と、誠も頷く。

「この話、1組ではするなよ。空気悪くなるから」

「わかってるよ。いじめられた張本人がいるクラスで、こんな話できるかよ」

「…今回の事件、犯人捕まるかな?」

誠は腕を組んで、まじめに龍也に問いかける。

何だ急に。龍也は少し首を傾ける。

⏰:11/10/23 10:54 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#25 [我輩は匿名である]
「さぁ?捕まるんじゃねぇの?あのおっさん、刑事課行ったみたいだし」

「お前がよく面倒見てもらってる、あの刑事?」

「おう」

なぜか鼻を高くして龍也が答える。

「あのおっさん、何だかんだ言ってベテランだからな。パパッと捕まえるだろ」

龍也の言う“おっさん”刑事とは、刑事課のベテラン、土谷信一警部である。3年前までは少年課にいたのだが、その後刑事課に異動になったのだ。

⏰:11/10/23 10:55 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#26 [我輩は匿名である]
すいません
スレをコピーするの

どうやるんですか?

⏰:11/10/23 11:41 📱:W61SH 🆔:ogJA0N5o


#27 [我輩は匿名である]
中学時代。龍也は荒れていた。きっかけは何と言う事はない、親との衝突。

勉強が嫌いな龍也は、小学校の頃から続けている野球に打ち込んでばかりだったのだが、親はそれが気に食わなかったらしい。

無理やり塾に行かされ、家でも宿題が終わるまで常に背後で見張られた。終いには「成績を上げるために野球部を辞めろ」とまで言われ、龍也はもう我慢できなかった。

父親と揉み合いになり、殴りあった挙句、家を飛び出した。

アザだらけの顔で線路沿いのフェンス越しにしゃがみ込んでいると、40歳くらいのスーツの中年男性が声をかけてきた。

「おーおー、派手にやったな」

「…なんだよ、おっさん」

まるで挑発するかのような鋭い目つきで睨んだのだが、男性は意外にも笑った。

⏰:11/10/23 11:46 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#28 [我輩は匿名である]
「はっはっは。そうか、おっさんか。まぁ間違ってはねぇな。どれ、このおっさんに、何があったのか話してみろ」

「はぁ?ふざけんなよ。何なんだよお前」

「俺か?俺は、こういうモンだ」

男性がそう言いながら胸ポケットから取り出したのは、警察手帳だった。

まさか、自分が捕まるんじゃないのか。龍也は頭が真っ白になった。

「そんなに驚かなくていい。別にお前を警察に連れて行こうと思ってるんじゃない。

おっさんはな、お前みたいに悩める若者を見つけては、相談相手になる仕事をしてんだ。ほれ、言ってみな」

⏰:11/10/23 11:48 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#29 [我輩は匿名である]
そう言うと、その刑事は1人分ほどのスペースを空けて横に腰を下ろした。

内心、最初は信じられなかった。見ず知らずの人間に、話す事なんかない。そう思った。

しかし、こうも思った。『見ず知らずの人だからこそ、話しやすいかもしれない』。

5分ほど黙り込んだ末、龍也はこれまでのいきさつを全て刑事に話した。刑事は否定も説教も一切せず、「うんうん」と話を聞いてくれた。

⏰:11/10/23 11:49 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#30 [我輩は匿名である]
彼との付き合いはそれからだ。よく警察署に顔を出しては、夕飯をおごってもらったり、愚痴を聞いてもらったりしている。

「さっさと捕まえろよってメールでも送っとこうかな」

「やめとけよ、迷惑でしかないから」

「1市民の声を“迷惑”はねぇだろ!!」

涼しげな顔で吐き捨てる誠に、龍也は悔しそうに言い返した。

⏰:11/10/23 11:49 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#31 [我輩は匿名である]
「どこの防犯カメラにも映ってない?」

刑事課所属の刑事が、怪訝そうな顔で聞き返す。土谷信一。45歳。今回の女子高生殺人事件の捜査員の1人である。

「はい…。近くのコンビニ、ガソリンスタンド、マンションなどの全ての防犯カメラを確認しましたが、犯人らしき人物は…。すみません」

部下の若手刑事が、なぜか申し訳なさそうに報告する。彼が悪いわけではないのだが。

「う〜ん…」とうなり声をあげながら、土谷は考え込む。犯人のような格好をしていなかったためわからないのか、防犯カメラに映らないルートを通ったのか。

後者なら土地勘がかなりある者の犯行という事になる。

⏰:11/10/23 11:50 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#32 [我輩は匿名である]
凶器になった刃物も何も残っていない。場所が場所だけに、目撃者もいない。完全にどん詰まり状態だ。

彼女の周囲の人間からの情報で、どうやらかなりのいじめっ子だった事は突き止めた。いじめられた生徒からの仕返し、という見方も早くに浮上した。

しかし、それも昨日の聞き込みから全て白紙に戻された。

中学1年の時のいじめの標的・佐竹結衣、2年の時の標的・小山凛、3年の時の標的・藤井洋子、高校1年の時の標的・川井愛華、そして2年になってからいじめられていた寺田紗英。この全員にアリバイがあった。

佐竹は吹奏楽部で、部活後友人と帰宅中。小山はピアノのレッスンに、藤井は友人とカラオケ行ってた。川井と寺田は仲がいいらしく、一緒にご飯を食べに行っていた。

これは難儀な事件に当たったものだ。土谷は大きくため息をつき、早くも疲れた顔で捜査資料を手に取った。

⏰:11/10/23 11:51 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#33 [我輩は匿名である]
>>26さん
申し訳ありませんが、私にはその方法はわかりません。
こちらは小説板ですし、使い方板の方で聞かれた方が良い答えが返ってくるのではないでしょうか?

⏰:11/10/23 11:54 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#34 [我輩は匿名である]
「ねぇねぇ、キャッチボールしよ!」

部員が休憩している間、彩は美穂と皐に声をかける。

「やるー!」

「あたし汗かきたくないからパスー」

ベンチに座ったままの皐とは正反対に、美穂が嬉しそうに立ち上がる。

「うっちー!グローブ貸して」

「えー?お前の手にはぶかぶかだと思うけど」

「いいの!」

⏰:11/10/23 14:00 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#35 [我輩は匿名である]
「じゃあ私は…」

「あっ、俺の使う?」

誰のグローブを借りようか悩んでいた美穂に、龍也が真っ先に名乗りを上げた。

「いいの?」

「いいよ。はい」

龍也は笑顔で、美穂に自分の青いグローブを手渡した。

「ありがとう!」

「うっちーとは違って、菊池君は爽やかだねぇ」

「ほっとけ」

彩にからかわれて、誠はフンとそっぽを向く。

⏰:11/10/23 14:00 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#36 [我輩は匿名である]
「彩ちゃん、行こ♪」

「うん!」

2人はそれぞれ、それほど大きくない手に大きなグローブをはめて走りだす。

休憩中はよく、こうやってマネージャー同士でキャッチボールをする。部員たちが野球をしているのを見ると、やはり自分たちもやりたくなってしまう。

キャーキャー言いながら下手なキャッチボールを始める2人を、部員たちが笑って見るのもいつもの事だ。

「ほぼ毎日やってるのに、ホント下手だな。あいつら」

「そりゃ女子だもん」

「女子でもプロ野球リーグとかあるじゃん」

⏰:11/10/23 14:01 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#37 [我輩は匿名である]
「まぁ…」

龍也にもっともな事を言われてしまい、皐は口をつぐむ。

「青春だねぇ〜」

龍也はキャッチボールをする2人を見ながらそう漏らした。

どことなくデレデレしている龍也を、誠と皐が黙って見つめる。

「なぁ、こいつ、どっちかの事が好きなのかな?」

「…そんな感じだな」

「どっちだと思う?」

こそこそ話しながら、誠も皐も一緒に、彩と美穂に目をやる。

⏰:11/10/23 14:01 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#38 [我輩は匿名である]
「彩ちゃん、今日調子いいねー!」

「そうー?」

「内村君のグローブだからー?」

「はぁっ!?何それ!?そんな事あるわけないじゃん!!」

こっちはこっちで、同じような話で盛り上がっている。

焦っているのか、顔を少し赤くして言い返す彩を見て、美穂が笑っている。

「変な事言わないでよー!!」

彩が叫びながらボールを投げると、勢い余って地面にたたきつけられ、そのまま何度かバウンドして変な方向にボールが飛んで行ってしまった。

⏰:11/10/23 14:02 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#39 [我輩は匿名である]
「…どっち…?」

「…意外と、不器用な彩の方かもしれないよ」

誠と皐は話しながら、再び龍也に目を向ける。

「そんな事言う美穂はどうなのよー?好きな人とかいるんじゃないのー?」

「いないよー」

彩の質問に即答する美穂に、彩はがくっと肩を落とす。こんなにバッサリ切り捨てるという事は、本当にいないのだろう。

⏰:11/10/23 14:02 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#40 [我輩は匿名である]
「私も彩ちゃんみたいに、恋したいなー♪」

「だから!違うってば!」

「なんでー?絶対好きなんだと思ってたのに」

美穂に意外そうに問いかけられ、彩は自分でも首をかしげる。

「んー…なんか…好きっていうか、幼馴染だし、どっちかというとお兄ちゃんみたいな感じしか…」

「えー?聞こえないよー」

聞こえていないのか、聞こえていない振りなのかわからないが、美穂は大げさに耳に手を当てて体を前傾させる。

「もういい!!」

本気で答えようとした自分が恥ずかしくなり、彩は声を荒げながら力いっぱいボールを投げた。

⏰:11/10/23 14:03 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#41 [我輩は匿名である]
少しずつ、あの事件の事など忘れかけていた。

3日後の夜。

ある男子高校生3人が部活を終え、家路についていた。

背後から忍び寄る男の影にも気づかずに。

周りに人の気配はない。その上3人が大いに騒いでいるのを良い事に、男はニヤニヤした顔で、足音を立てずに男子高校生に近づいていく。

トントン。

誰かに後ろから肩をたたかれ、男子高校生の1人が振り返った。

⏰:11/10/23 14:03 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#42 [我輩は匿名である]
次の日の早朝。

その場所には、朝早いにもかかわらず、多くの警察と野次馬とマスコミが集まっていた。

胸部を刃物で1突きされた、3人の男子高校生の遺体が発見されたのだ。

土谷もその中に埋もれ、いかにも「面倒だ」と言わんばかりの顔で頭をかく。

またもや高校生。前の女子高生と関係があるのかはまだ不明だが、土谷にはなぜか、関係しているようにしか思えなかった。

「…何が起こってんだ…?」

⏰:11/10/23 14:25 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#43 [我輩は匿名である]
彩たちの高校では、この事件の報告を受け、全校集会が開かれた。内容は思った通り、登下校時や外出時には不審者に注意するとか、夜は人通りの多い道を歩けとか、そんな話だ。

「そんな事言うんなら学校閉鎖とかしてくれたらいいのに」

「俺たちの学校で起きたんじゃねぇしなぁ」

クラスが隣同士で、たまたま列も隣になった皐と龍也が小声で愚痴りあう。

その傍では彩と美穂が浮かない顔で黙り込んでいる。

今回殺された3人もまた、中学2年の時の同級生だった。

明らかに自分たちが…中学時代の2年A組が標的にされている。彩はそう確信した。

徐々にうつむいてきた顔を上げ、少し前で誰とも話さずにじっと話を聞いている誠の背中を見つめる。

ただの単発事件だと思っていたようだった誠は、今はどう考えるのだろう。これでもまだ、「考えすぎだ」というのだろうか。

どうしてかわからないが、それが気になった。

⏰:11/10/23 14:26 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#44 [我輩は匿名である]
「え〜!?」

ボーっとしていた彩は、急に周りが騒がしくなったのに気付いて我に返った。

「何だよそれ〜ありえね〜!」

斜め後ろの方から、龍也の野次る声が聞こえてくる。

彩はちょんちょんと、前に立っている凛の肩をたたく。

「凛ちゃん、校長先生何て言ったの?」

「“夜遅く帰宅するのを避けるため、すべての部活動を当分見合わせます”だって」

龍也が野次る理由がすぐにわかった。

⏰:11/10/23 20:00 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#45 [我輩は匿名である]
しかし、彩としてはそっちの方がありがたかった。野球部はそこまで遅くはならなくても、帰るのが夜7〜8時になることもある。

本当に2年A組の生徒が狙われているのだとすれば、外にすら出たくない。

「彩ちゃん」

凛がこちらを向く。

「今日から一緒に帰っていい?…なんか、私怖くて」

「私も…怖い。しばらくは一緒に帰ろ」

彩は力なく笑い返す。

⏰:11/10/23 20:00 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#46 [我輩は匿名である]
その際、さっきまで黙って前を向いていた誠が、少しだけ振り返ってこちらにを向けているのに気が付いた。

「?」

彩は「どうしたんだろう?」と視線を返すと、誠はそのまままた前を向いた。

たまに何を考えているのかわからない誠に、彩は首をかしげた。

⏰:11/10/23 20:00 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#47 [我輩は匿名である]
その日の放課後。

彩は凛とともに帰路についていた。授業が終わってすぐの帰り道のため、まだ外は明るく、人通りも車の通りも多い。

「凛ちゃん…あの事件、どう思う?」

歩きながら、彩は静かに凛に尋ねた。

「どう…って?」

質問の内容が読めず、凛は聞き返す。

「なんか、うまく言えないけど…、私たちも狙われるんじゃないか…とか、思っちゃって」

⏰:11/10/23 20:01 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#48 [我輩は匿名である]
彩は自分でも「ばかげている」と思いながらも、自分の不安を口にする。

凛はそれを聞いてしばし黙る。

おかしなことを言ったな。彩は少し後悔する。

「…私だけじゃなかったんだ。そう思ってるの」

凛は安心したように笑った。

「私もね、同じこと考えてたんだ。被害にあってるの、みんな中学の時の同級生じゃない?…一体何なんだろうって」

⏰:11/10/23 20:01 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#49 [我輩は匿名である]
「(やっぱり、こう思う子もいるんだ)」

凛の言葉を聞いて、彩もほっとした。

男子3人が集団で殺されているのを考えると、女子2人で一緒に帰っていても大して安全ではないのだが、それでも同じ気持ちでいる友人が一緒なら、どこか心強い。

「じゃあ、私あっちだから」

凛は立ち止まり、自分の家がある方向を指さした。

「あっ、そうだったね。じゃあ、また明日」

彩と凛は手を振りあい、それぞれ自分の家へと向かって歩き出す。

⏰:11/10/23 20:02 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#50 [我輩は匿名である]
話し相手がいなくなり、寂しさを感じながら歩いていると、彩はふと、誠と1人の男子高校生が話しているのを見つけた。

「(うっちーだ)」

誠は背中を向けているが、鞄についている熊のキーホルダーですぐにわかった。

あれは少し前に、彩が誕生日プレゼントで誠にあげたものだった。

見たところ、冗談を言い合っているような様子ではない。深刻そうな顔で、まじめな話をしているようだ。

よく見てみると、話し相手の男子高校生は彩も知っている人物だ。同じ中学の同級生だった、梶浦司だ。

思い返せば中学の時、誠と司は仲が良かった。司は別の高校に進学したが、今もちょくちょく会っているのは、彩も知っている。

彩は誠を盾にして司から見えないような位置から、足音を立てないようにそっと近づく。

⏰:11/10/23 20:02 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#51 [我輩は匿名である]
しっかりと聞き耳を立てて近寄っていくと、ある程度声が聞こえるようになってきた。

「じゃあ…次は誰だと思う?」

そう言ったのは誠だ。彩は声が聞こえる場所に来ると立ち止まった。

「さぁ?…話変わるけど……」

運悪く、司が声を小さくしてしまった。これでは何の話をしているのかすらよくわからない。

そう思ってむくれていると、誠が素早くこちらを向いた。

急に振り向かれると思っていなかったので、彩はその場に固まる。

⏰:11/10/23 20:02 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#52 [我輩は匿名である]
「…何やってんだよ、お前」

「えっ、いや…何、話してるのかなぁと思って…」

彩はあたふたしながら答える。

「なっ、何でこっち向いたの?」

「足、見えてたよ」

そう答えたのは司だった。誠と違って愛想の良い司は、彩を見て笑っている。

「盗み聞きか?ん?」

「痛い痛い!暴力反対!!」

⏰:11/10/23 20:03 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#53 [我輩は匿名である]
不機嫌そうに見下ろしながら、誠が彩の耳をつねる。

急に司が声を潜めたのは、誠に、背後に誰かがいるのを伝えるためだったのか。彩は耳をつねられながらも冷静に考えた。

「ったく、悪趣味な奴。早く帰れよ」

手を放し、誠がため息をつく。

「だって、何話してたのか気になっちゃって。珍しくまじめな話だったみたいだし…」

「『珍しく』って言われてるよ、誠」

「お前ならともかく、俺はいつもまじめだよ」

⏰:11/10/23 20:03 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#54 [我輩は匿名である]
「どういう意味よ!」

彩は誠に食って掛かるが、誠にぽんと頭をたたかれ、黙って彼を見上げる。

「別に大した話じゃないから。とりあえずもう帰れ。な?」

「ごめんな、塩見」

2人がここまで言うなら、聞かれたくない話なのだろう。彩は肩を落とし、仕方なくとぼとぼ歩きだした。

⏰:11/10/23 20:04 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#55 [我輩は匿名である]
『次は誰だと思う?』『さぁ?』

彩は2人の会話を思い出す。たったそれだけしか聞こえなかったが、彩には何となくわかった。

おそらく2人が話していたのも、おそらく事件の事だろう。

2件も同じような事件が続いたので、誠も気になりだしたようだ。

「…そうだ」

他校の友人なら、自分にだっている。彩は携帯電話を鞄から取り出し、慣れた手つきでタッチパネルをタップして電話帳を開く。

中学3年間同じクラスで、ずっと一緒にいた親友。長谷部春香。彼女は確か、最初に殺された小松千佳や、次に殺された男子3人と同じ高校に通っていたはずだ。

「帰ったら電話してみよう」

そう呟き、彩はそのまま携帯電話をポケットに入れて家路を急いだ。

⏰:11/10/23 20:04 📱:PC/0 🆔:sgkwcQ9o


#56 [我輩は匿名である]
「もしもし〜?」

家に帰るなり、彩はベッドに寝転がって春香に電話を掛けた。

「彩!?久しぶり〜!元気?」

懐かしい春香の明るい声を聴いて、彩は自然と笑顔になる。

「私は元気だよー。春香は?」

「私も元気だけどさぁ…うちの高校、もう大変で…」

電話の向こうから春香のため息が聞こえてくる。

⏰:11/10/26 19:46 📱:PC/0 🆔:AqBoNxy.


#57 [我輩は匿名である]
やはり、事件に関係した高校は、マスコミが集まったり警察関係者が頻繁に出入りしたりで忙しいらしい。

春香はその様子を、疲れたように彩に話してくれた。

「でも、なんか変だよね。最近殺されてるの、みんな私たちの同級生だしさ。今うちの学校、授業停止するか協議してるって」

「そうなんだ…。確かに、これ以上被害が出たら大変なことになるもんね。世間の目とか、PTAとか」

「そうなんだよー。まぁ学校行かなくていいならそれでもいいけどね。その方が安全だし。問題は、何で同級生が狙われてるのかだよ」

春香は彩より先に、その疑問を口にした。

「小松さんの事考えたら、やっぱいじめられた子の報復かなって思ってたけど…次に死んだ3人は関係ないじゃない?だからぜんぜんわからなくて。…警察でもわかってないみたいだし」

⏰:11/10/26 19:46 📱:PC/0 🆔:AqBoNxy.


#58 [我輩は匿名である]
「そうなの?」

「うん。一応いじめの線で捜査してたみたいだけど、今まで小松さんのいじめの被害にあってた子はみんな犯人じゃないらしいし。さっさと捕まえてもらわないと困る!」

警察でも見当がついていないのなら、犯人逮捕には時間がかかりそうだ。

彩はかえって不安が大きくなった気がして、頭を抱える。

「彩も気を付けてね。また何かわかったら連絡するから」

⏰:11/10/26 19:47 📱:PC/0 🆔:AqBoNxy.


#59 [我輩は匿名である]
「うん。春香も気を付けてね。ごめんね、急に電話しちゃって」

「いいよいいよ。いつでも電話して!じゃあね!」

彩と春香は、同時に電話を切った。

今は警察は当てにならない。自分の身は、自分で守らなくては。

彩は寝ころんだまま、そう心に決めた。

⏰:11/10/26 19:47 📱:PC/0 🆔:AqBoNxy.


#60 [我輩は匿名である]
その夜。誠は机に座って、中学時代の卒業アルバムを眺めていた。

2年A組だったクラスメイト達は、3年生ではいろんなクラスに散った。

元2年A組は全員で35名。

今生きているのは31名。

「…何人生き残るんだろうな…」

誠はそう呟き、アルバムを閉じた。

⏰:11/10/26 19:49 📱:PC/0 🆔:AqBoNxy.


#61 [我輩は匿名である]
「おっさ〜ん!!早く犯人捕まえろよ!部活できなくなっちまったじゃねーかよ!!」

同じ頃、龍也は土谷に電話を掛けるなり声を荒げた。

土谷は「そう言われてもよぉ…」と言葉を濁す。

「何にも残ってねぇんだよ。凶器、指紋、防犯カメラ!何もない!」

「知らねぇよそんな事!サツなんだから、ちゃんと捕まえろよな!」

龍也は怒ったように言い返す。すると、土谷はなぜか黙り込んでしまった。

⏰:11/10/26 19:50 📱:PC/0 🆔:AqBoNxy.


#62 [我輩は匿名である]
「…おっさん?どした?」

「なぁ、お前の知ってる奴で、怪しいやつはいないか?」

「は?男?」

何だ急に。そう思いながら龍也は考えてみるが、怪しい人物に心当たりなどない。

「いない…と思うけど?何?何なんだよ?」

聞き返すと、土谷はまた何も言わなくなった。

「ちょっと〜。さっきから何?」

⏰:11/10/26 19:50 📱:PC/0 🆔:AqBoNxy.


#63 [我輩は匿名である]
「もし怪しい男と女に心当たりがあったら、早めに教えてくれ。間違っててもいいから」

「男と女…。えっ、犯人2人いんの!?」

「可能性としては、だ。まだわからんけどな」

「ふうん…。まぁ、わかった」

「ん。頼んだぞ」

それで電話は切れてしまった。龍也はぽかんとした様子で携帯電話を見つめた。

⏰:11/10/26 19:51 📱:PC/0 🆔:AqBoNxy.


#64 [葵]
やばい。おもしい

⏰:11/10/28 01:41 📱:SH06A3 🆔:☆☆☆


#65 [我輩は匿名である]
>>64さま
ご感想(ですよね?汗)ありがとうございます!

感想板もありますので、そちらもご利用くだされば嬉しいです(*^^*)

⏰:11/10/28 21:21 📱:PC/0 🆔:KIsItnv6


#66 [我輩は匿名である]
次の日。

「やっぱ、部活無いと暇だね」

教室の壁にもたれながら、皐はため息をつく。

「そうだね…。私は、今は部活ない方が嬉しいけど」

彩は苦笑しながら言う。

事件から関係のないものからすれば、退屈な日々だろう。

⏰:11/10/28 21:22 📱:PC/0 🆔:KIsItnv6


#67 [我輩は匿名である]
皐がつまらなさそうに足をぶらぶらさせていると、歩いてきた男子の足を蹴ってしまった。

「あ、ごめん」

「…別に…」

男子は俯いたまま小声で答えると、それ以上何も言わずに去って行った。

皐は不満そうにその男子の背中を見つめる。

「…あいつ、名前なんだっけ?」

「確か…岡本君じゃなかった?」

⏰:11/10/28 21:23 📱:PC/0 🆔:KIsItnv6


#68 [我輩は匿名である]
「暗いねぇ…。あんなんで生きてて楽しいのかな」

うじうじした性格は嫌いな皐にとっては、今通った岡本忍のような男子は生理的に受け付けないらしい。

何か言いたそうに見ていたが、ため息をついて視線を彩に戻した。

「彩ちゃん、皐ちゃん」

2人がドアに目をやるのと同時に、美穂が教室に入ってきた。

「久しぶりだね」

「部活がないと、なかなか会わないもんねぇ。2組通った時、菊池君も皐ちゃんみたいな顔してたよ」

「どんな顔だよ…」

⏰:11/10/28 21:24 📱:PC/0 🆔:KIsItnv6


#69 [我輩は匿名である]
そういえば龍也も事件とは関係がないため、さぞかし暇な事だろう。

「お似合いなんじゃないの?」

「馬鹿言わないでよ。あんなアホそうな奴好みじゃないし」

うんざりしたように皐が吐き捨てる。あまりに嫌そうだったので、彩と美穂が一斉に笑い出す。

「それにほら、あいつにはもっとお似合いの奴がいるし!!」

皐が思い出したように言う。

「え、誰?」

美穂がきょとんとした表情で尋ねる。

⏰:11/10/28 21:24 📱:PC/0 🆔:KIsItnv6


#70 [我輩は匿名である]
「(美穂しかいないでしょ…)」

かわいい顔して鈍感で天然な美穂に、彩も皐もため息をつく。

「美穂、菊池君に好きな人いるの、知らないの?」

「知らない」

「あ、そう…」

きっぱりと否定する美穂を見て、彩は龍也が気の毒に思えてきた。

その横では、美穂が腕を組んで真剣に考えている。

⏰:11/10/28 21:24 📱:PC/0 🆔:KIsItnv6


#71 [我輩は匿名である]
「でも、彩にもいるよね。お似合いの人」

「えっ誰?」

「(お前もかよ…)」

美穂とまったく同じ反応を示した彩に、皐はさらに疲れたように肩を落とした。

⏰:11/10/28 21:25 📱:PC/0 🆔:KIsItnv6


#72 [我輩は匿名である]
そんな平和な日は長くは続かない。

2日後の夜、今度は司が通う高校の女子生徒2人の遺体が見つかった。

しかし、今回は今までの事件とは違った。

事件現場で、土谷はしゃがみこんでため息をつく。

2人の女子高生の胸元には、刺し傷ではなく銃痕が残っていた。それも、何発も。

「(何で急に凶器を変えたんだ…?いや、それともやっぱり複数犯か…)」

いずれにせよ、これではわからない事が増えただけだ。

⏰:11/10/28 21:26 📱:PC/0 🆔:KIsItnv6


#73 [我輩は匿名である]
たった数日間で死者6人。犯人の糸口もいまだ掴めない。被害者の共通点は“ある中学校の元2年A組”という事だけ…。

「土谷警部」

背後でしゃがれた男の声がした。

聞こえないように小さく舌打ちをしながら立ち上がり、土谷はその人物の方を向いて敬礼する。

「まだ捕まえられんのか」

「申し訳ありません」

「これだから所轄に任してはおけんのだよ」

警視庁から来た、白髪で背の高い刑事が、いつものように嫌味を吐く。

⏰:11/10/28 21:26 📱:PC/0 🆔:KIsItnv6


#74 [我輩は匿名である]
「(だったらてめぇは解決できんのかよ…)」

土谷は小さくため息をつく。

「どうする?これでは埒が明かんぞ。マスコミもうっとうしくて仕方がない。さっさと終わらせろ」

「とりあえず、今までの被害者が中学2年の時に同じクラスだった生徒全員を聴取し、さらなるパトロールの強化を」

「聴取は警視庁の捜査員が行う」

「はい?」

「貴様らの生ぬるい捜査では信用できん」

「…ご自由にどうぞ」

土谷は一礼し、いったんその場を立ち去った。

お前みたいに現場を1度しか見ていない者に、事件を解決させられるわけがない。そう思いながら。

⏰:11/10/28 21:27 📱:PC/0 🆔:KIsItnv6


#75 [我輩は匿名である]
その日の放課後。

新たな事件が起きたことを知り、呆然としながら学校を出ようとする彩と凛の前に、スーツを着た男性2人がやってきた。

「君たちは塩見彩さん、小山凛さんかな?」

突然見知らぬ男に名前を呼ばれ、彩はびくっとして顔を上げる。

「…何ですか?」

「警察だ」

2人はそろって胸ポケットから警察手帳を取り出した。よく見ると、傍に1台のパトカーが停まっている。

⏰:11/10/29 22:17 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#76 [我輩は匿名である]
「署で話を聞きたい。一緒に来てもらえるかな?」

彩は頭が真っ白になった。いったいなぜ警察官が自分のもとに来るのか、全く事情が理解できない。

「どうしてですか!?私、前お話しできることはしましたけど!」

苛立ったように、凛が言い返す。

「前の事は関係ない。今回は特定の人間全員に来てもらっている」

「特定の…?」

という事は、おそらく元2年A組全員という事か。彩はすぐに気づいた。となると、美穂や誠も呼び出されているのだろう。

⏰:11/10/29 22:18 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#77 [我輩は匿名である]
ここで逆らっても仕方がないし、むしろ怪しまれるかもしれない。もしかしたら、逆に何か情報を得られるかも…。

「わかりました」

彩は潔く、首を縦に振る。

「彩ちゃん!?」

「どうせ、ちょっと話聞かれるだけでしょ?それぐらい構わないよ、私は」

強い眼差しで答える彩を、凛が不安そうに見つめる。

しかし、彩が行って自分が行かないのは引っかかると思ったのか、凛もしぶしぶ「…じゃあ、私も行きます」と頷いた。

⏰:11/10/29 22:18 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#78 [我輩は匿名である]
警察署に着くと、同時にもう1台パトカーが入ってきた。

「さぁ、降りて」

「はい」

ドアを開けられ、彩と凛は車から降りる。

警察官に連れられて、初めて警察署の中に入った。

人が慌ただしく出入りしていて、全然落ち着かない。

何も考えずについていくと、ドラマで見る取調室のようなところに連れて来られた。

しかし、誰かが使っているらしく、「ちょっと待っててもらえるかな」と待たされてしまった。

⏰:11/10/29 22:18 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#79 [我輩は匿名である]
「(2Aを一斉に連れてきてるのかもしれないし、そりゃ混雑するよね)」

もっと効率的な方法はなかったのかと思いながら、彩はちらっと警察官を見る。

5分ほどすると、目の前のドアが開いた。

「あ」

中から出てきた生徒に、彩は思わず声を上げた。

「うっちー!」

先に連れて来られていたらしい誠は、彩に呼ばれてこちらへ向かってきた。

⏰:11/10/29 22:19 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#80 [我輩は匿名である]
「お前も呼ばれたのか」

「うん。ねぇ、何聞かれるの?」

誠に尋ねると、すぐに横にいた警察官が意味深な咳払いをした。そう言う事は聞くなと言う意味だろう。

「まぁ、すぐ終わるよ」

「そっか」

「次、君。入りなさい」

警察官に言われ、彩は誠に別れを告げて中に入る。

⏰:11/10/29 22:19 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#81 [我輩は匿名である]
中には記録係らしい男性と、話を聞く役目らしい女性警察官が座っていた。

「(やったぁ、女の人だ)」

てっきり男ばかりの部屋だと思っていたため、いくらかほっとする。

「わざわざごめんなさいね。そこに座って」

女性警察官は少し笑い、手を椅子に向けて彩に腰掛けるよう促す。長い髪を1つに束ね、灰色のスーツをきっちりと着た、そこそこ美人な警察官に、彩は少し見とれる。

「私は南里(なんり)由紀。警視庁の警視です」

「警視庁?」

そんなに凄いところから捜査に来ているのか。彩は驚いて聞き返す。そこまでしているという事は、警察も本気なのだろう。

⏰:11/10/29 22:20 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#82 [我輩は匿名である]
「えぇ。捜査にご協力いただき、感謝します」

「あ、いえ…」

それにしても、きれいな人だなぁ。彩は本題そっちのけで南里を見つめる。

「ところであなた、昨日の夜20時ごろ、どこで何してました?」

南里は早速問いかけてきた。

「昨日は…家にいました」

「それを証明できる方は?」

⏰:11/10/29 22:20 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#83 [我輩は匿名である]
「家族しかいません。…あ、でも人じゃなければありますよ」

彩が付け足して言うと、南里は「どういう事ですか?」と首をかしげた。

「うちのマンション、防犯カメラが付いてるんです。絶対にカメラの前を通らないとマンションの外に出られません」

「…ふふっ、なるほどね」

彩が自信満々に言うと、南里は小さく笑った。

「わかりました。では…今まで殺害された生徒をご存知ですね」

「はい。中学の時、同じクラスでした」

彩はそれから、被害者たちとどのような関係だったか、彼らをどう思っていたかを聞かれ、正直に話した。

⏰:11/10/29 22:21 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#84 [我輩は匿名である]
とはいっても、ほとんど関わりがなく、そこそこ仲良くしていただけの関係だが。

「…犯人、まだ捕まらないんですか?」

答え終えてから、彩は素直に尋ねてみる。

「え、えぇ…」

「テレビで、防犯カメラとかにも映ってないし、全然手がかりがないって言ってましたけど…」

「…ごめんなさい、毎日心配でしょう。早く逮捕できるよう、私たちも全力で犯人を捜してるわ。もしこれから何かあったら、ここに連絡をくれれば、いつでも話を聞きますから」

南里はそう言って、小さな紙に自分の携帯電話番号とメールアドレスを書いて彩に手渡した。

⏰:11/10/29 22:21 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#85 [我輩は匿名である]
「はい。わかりました」

彩はそれを受け取り、大事に財布に入れた。

「では最後に、話を聞かせてもらった証明という事で、ここに署名していただけますか?」

南里は1枚の紙を机に置く。見ると、今まで聴取を受けた同級生たちの名前が書いてある。

「はい」

彩はボールペンを借り、誠の下に自分の名前を書いた。

⏰:11/10/29 22:22 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#86 [我輩は匿名である]
「ありがとう。では、くれぐれも気を付けて。パトカーで送りましょうか」

「え!?結構です!まだ明るいし、歩いて帰れます」

パトカーで家まで送られるのは、さすがに恥ずかしい。彩は両手をひらひらさせて断る。

「そう?わかりました。それじゃあ、気を付けて帰ってくださいね」

「はい」

すると、記録係の男性がドアを開けてくれた。

彩はぺこっと頭を下げて、その部屋を後にした。

⏰:11/10/29 22:22 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#87 [我輩は匿名である]
「…さっき内村誠と話してたわね、あの子」

「そうですね。幼馴染のようです」

「…ふうん…」

南里はじっと、帰っていく彩の背中を見つめていた。

⏰:11/10/29 22:22 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#88 [我輩は匿名である]
「はぁ…疲れたなぁ…」

同じような部屋はもう1つあり、凛はそっちで話を聞かれているようだ。

とりあえずここを出ようと、彩は足早に警察署を出る。

建物を出てすぐの所に、誠が壁にもたれて立っているのが見えた。

「うっちー?」

「あぁ、終わったか」

「もしかして、待っててくれたの?」

「…まぁ…一応…。今1人で帰るのは危ねぇし…」

恥ずかしいのか、誠はそっぽを向きながら答える。

⏰:11/10/29 22:23 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#89 [我輩は匿名である]
ぶっきらぼうだがたまに優しい誠に、思わず彩の顔がほころぶ。

「ありがと。さすがうっちー」

「うるさいな」

2人は並んで歩き出す。幼稚園から一緒の2人は、向かいのマンションに住んでいる。

いつも彩が近所のやんちゃな男の子に泣かされては、誠が追い払っていた。

誠は小学校の時期からあまり笑う子ではなかったため、周り(特に女子)からは“怖い子”と思われがちな誠だが、彩だけはいつも誠と一緒にいた。

⏰:11/10/29 22:24 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#90 [我輩は匿名である]
幼い時の事を思い出して自然と笑顔になっている彩を、誠はボーっと見下ろす。

「…気持ち悪い」

「なっ、何が!?」

「何ニヤニヤしてんだよ。寒気がする」

「ニヤニヤしてないもん!」

「してた」

真顔で押し通され、彩は言い返せず黙る。

⏰:11/10/29 22:24 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#91 [我輩は匿名である]
「ちょっと、小っちゃい時の事とか思い出して」

「どんな事?」

「普通にしてるだけなのに女子から怖がられる誠の事とか」

「…余計なこと思い出すなよ」

「バレンタインデーで、一応顔はまぁまぁだからチョコもらいかけたけど、超怖い誠の顔を見て、渡した子がすぐにチョコ取り返して走って行った事とか」

⏰:11/10/29 22:25 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#92 [我輩は匿名である]
「あ、あれは、全然知らない奴からもらったから『誰?この子』と思ってたら、勝手に『やっぱりいいです!』って、もらったチョコ持って行かれて…。っていうか、何で知ってんだよ」

「だって見てたもん。『うっちー、よかったねぇ』と思いながら」

「母親かお前は」

「へへへ」

「笑うな」

思えば、こうして2人だけで帰るのは久しぶりだ。何だか嬉しくなって、彩は帰るまでずっと笑顔でいた。

⏰:11/10/29 22:25 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#93 [我輩は匿名である]
「よう、そこのエリートお姉さん」

土谷に呼び止められて、南里は足を止める。

「何か?土谷警部」

「容疑者は絞り込めたのかい?今日の“元2年A組”生徒全員の事情聴取」

土谷は腕を組み、南里に問いかける。

南里は振り返り、一息ついてから口を開く。

「まだ何も。とりあえず、事件の日のアリバイと利き腕くらいは」

「利き腕…あ〜あ」

土谷は頭をかきながら南里に近づく。

⏰:11/10/29 22:26 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#94 [我輩は匿名である]
「そういえば最初に殺された事件の容疑者、鑑識から『左利きの可能性が高い』って言われてたな。それも、身長は170〜175cm前後」

「えぇ。元2年A組の女子生徒の身長は、最高でも…167cm。学校から収集した4月の健康診断のデータなので、今も大差ないでしょう。

よって、最初の殺人はこの中の女子生徒によるものではないでしょうね。そして、男子生徒の中で左利きの生徒は」

南里は言いながら、手に持っていた捜査資料の1枚を土谷に見せる。

「内村誠、ただ1人」

そこには、誠の顔写真と彼の詳細な情報が記載されていた。

どこかで聞いた名前だ。土谷は思いながらそれを手に取る。

⏰:11/10/29 22:27 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#95 [我輩は匿名である]
誠の身長は173,2cm。利き腕も左。そこまでは鑑識によって提示された犯人の条件と合致している。

「…こいつのアリバイは?」

「『自宅で寝ていた』との事です」

「22時に就寝か。今のガキにしてはえらく健康的じゃねぇか」

土谷は鼻で笑う。

「次の事件の時も、『自宅にいた』そうです」

「へぇ。それほどあてにならないアリバイはねぇな?南里警視」

「そうですね」

⏰:11/10/29 22:27 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#96 [我輩は匿名である]
南里は少し笑う。

「それと…3つ目の事件。どう思われます?」

「あ?あぁ、ピストルでやられてたやつか?あれは右利きらしいな。さっき鑑識の奴から聞いた」

「えぇ」

「複数犯…だろうな。今回は今までみたいにナイフ使ってないところ見ると、気が小さい奴がやったんじゃねぇの」

「なぜそう思われます?」

「ナイフじゃ相手の死ぬ感触が手に残る。それに、何発も撃っといて大した場所に当たってなかった。ありゃ殺しに慣れた奴の手口じゃない」

⏰:11/10/29 22:29 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#97 [我輩は匿名である]
「最初の容疑者は、手慣れていると?」

「ま、そういうことになるわな。その内村ってガキがどんな奴なのかは知らんが」

「ごく普通の男の子でしたよ。ちょっと無愛想な真面目男子って感じの。まぁ…まだ外部の人間の可能性もありますし、先入観を持ちすぎるにはまだ早すぎますね」

「へっ、確かにな」

おどけたように笑う土谷を、南里は真剣な目で見つめる。

「…土谷警部。あなたにお願いがあります」

「あん?エリート警視がこんなしょぼいおっさんに何のお願いが?」

⏰:11/10/29 22:29 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#98 [我輩は匿名である]
「私と手を組んでいただきたいんです」

南里の思いもよらない申し出に、土谷は思わずきょとんとする。

「…何でまた?」

「私たちはこの近辺の事に詳しくありません。所轄と警視庁で手を組んだ方が、より動きやすく、容疑者に近づけると思うんです」

「…あんた、変わってるな。警視庁のお偉いさんは皆、所轄を馬鹿にしてる頑固おやじばっかだと思ってたのによ」

⏰:11/10/29 22:30 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#99 [我輩は匿名である]
「…まぁ、そういう人間が多いのは事実ですが」

南里は残念そうに苦笑する。

「いいぜ!その話、乗ってやろう。どこまでもあんたの足になりますよ、お嬢さん」

「ふふっ、足だなんてやめてください。…では、改めてよろしくお願いします」

「こちらこそ」

2人は笑いあい、固く握手した。

⏰:11/10/29 22:30 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#100 [我輩は匿名である]
土曜日。彩はしとしとと雨が降る窓の外を見ながら、携帯電話を片手に話し込んでいた。

「私の所にも来たよ!」

電話からは、春香の元気な声が聞こえてくる。

「『あの日は何していましたか?』とか、そんなのしか聞かれなかったけど」

「やっぱり元2Aはみんな警察に呼ばれたんだね。…あの中に犯人がいるなんて思いたくないけど」

「っていうか、人殺せるような子いなかったよね」

「うーん…」

彩は頷きながら、窓の外の風景に目を止めた。

⏰:11/11/04 16:21 📱:PC/0 🆔:EdsrP/zo


#101 [我輩は匿名である]
雨の中、傘をさして向かいのマンションから出てきた男性。

「うっちー…?」

ジャケットのポケットに手を入れ、どこかに出かけていく誠の姿を、彩はじっと目で追う。

「彩?内村君がどうかしたの?」

「え、ううん。どっか行くみたいだったからさ。…大丈夫かな」

周りでこのような事件が起きている中、1人で出かけるには危険すぎる。彩は不安そうに、離れていく誠の背中を見つめる。

「彩って、本当内村君好きだよね」

春香のその言葉に、彩は思わずきょとんとする。

⏰:11/11/04 16:22 📱:PC/0 🆔:EdsrP/zo


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