2年A組
最新 最初 🆕
#131 [我輩は匿名である]
今までは防犯カメラにさえ犯人らしき人物は映っておらず、捜査が難航していると、テレビのニュースや新聞で目にした。

彩にはそれが、どうしても引っかかる。

「何をしていたの?あの公園付近で」

「あんた達に話すような事じゃない」

「それは私たちが判断します」

「“黙秘権”って知ってるか?」

「…おい、あんまり大人をなめるんじゃねぇぞ」

彩が考え込む横で、誠と、南里と土谷が静かな言い合いを続けている。

⏰:11/11/05 22:14 📱:PC/0 🆔:lu/Ru1I.


#132 [我輩は匿名である]
「あーもううるさい!!!」

3人を無理やり黙らせるように、彩が大声を上げる。おそらく、2棟のマンションにも響いただろう。

急に声をあげられて、3人とも目を丸くする。

「うっちーをいじめる前に、私の質問に答えてください!何で今回だけ犯人が防犯カメラに映ってたんですか?今まで映ってなかったんですよね!?今度の事件だけカメラに映ってるなんて、おかしいと思わないんですか!?

言っときますけど、うっちーは変なところで馬鹿みたいに頭切れるんだから、今までは防犯カメラに映らなかったけど、今回は映っちゃうなんてヘマするようなマヌケじゃありませんから!!」

彩はものすごい剣幕で土谷に食って掛かる。その迫力に、土谷も思わず後ずさる。

⏰:11/11/05 22:15 📱:PC/0 🆔:lu/Ru1I.


#133 [我輩は匿名である]
その後ろでは、彩の主張を聞いてか、南里が深く考え込む。

「……確かに…そう言われてみればそうね…」

「あんた達、本当に警察かよ?もうちょっとよく考えてから出直して来な」

誠もポケットに手を入れて言い返す。

「俺からも1つ聞くけど、中央公園の防犯カメラ見てるんだったら、その近くのショッピングモールの防犯カメラにも、ちゃんと目ぇ通してるんだろうな?」

まるで相手をあざ笑うかのような笑みを浮かべて、誠も反撃に出る。

「ショッピングモール…?」

南里と土谷が、黙って目を合わせる。

ただの高校生2人に指摘されて何も言い返せないようでは、警察の信用を失いかねない。

南里と土谷は苦虫をつぶしたような顔で、無言のまま、傍に止めていたパトカーに乗ってその場を去っていった。

⏰:11/11/05 22:15 📱:PC/0 🆔:lu/Ru1I.


#134 [我輩は匿名である]
「何なのよ!あの2人、もう1回交番のお巡りさんから出直した方がいいんじゃないの!?」

逃げるように走り去ったパトカーを見て、彩が鼻息を荒くする。

彼女のそんな様子を見て、誠は小さく笑った。

「…で、昨日の話だけど」

「…あぁ、そうそう」

2人は気を取り直して、またベンチに座る。

誠は言いにくそうに頭をかいた後、重い口を開いた。

「…これ、買いに行ってたんだよ」

恥ずかしそうに、置いていた紙袋をぽんと彩の膝の上に置く。

⏰:11/11/05 22:16 📱:PC/0 🆔:lu/Ru1I.


#135 [我輩は匿名である]
「何?これ」

袋の中を覗くと、可愛くラッピングされた何かが入っている。

「何なに?プレゼント!?」

彩は目を輝かせて誠に向き直る。

「そりゃ…プレゼントだろ、どう見ても」

もはや恥ずかしさを通り越して顔をひきつらせながら誠が答える。

「でも、何で?」

「何でって…。今日お前の誕生日だろ」

きょとんとしている彩に、呆れて肩を落としながら誠は言った。

⏰:11/11/05 22:24 📱:PC/0 🆔:lu/Ru1I.


#136 [我輩は匿名である]
そう言われて初めて、彩は今日の日付を思い出した。

今日5月25日は、彩の17回目の誕生日だ。

「あ〜っ!そうだ!今日私の誕生日じゃん!!」

「忘れてたのか…?」

「うん!!」

大きく頷く彩に、誠はため息をつく。

「やったぁ!ねぇねぇ、開けてもいい?」

「…家帰ってから開けろよ…」

⏰:11/11/05 22:25 📱:PC/0 🆔:lu/Ru1I.


#137 [我輩は匿名である]
「いいのいいの!」

誠の返事が返ってくるより先に、彩は早速それを取出し、丁寧にラッピングをはがす。

中には、音楽プレイヤーに接続して曲を流すと踊りだす、ぬいぐるみ型スピーカーが入っていた。

「!!!!!」

全く言葉にならない声を上げながら、彩は箱のままそれを抱きしめる。

見るからに幸せそうな彼女の表情に、誠もまた、ほっとしたように笑みをこぼす。

「ありがとー!
こういうの欲しかったんだぁ❤記念すべき1曲目何かけよー?」

「演歌」

「絶対やだ!」

2人はしばらく、そのベンチに仲良く座って楽しそうに話していた。

⏰:11/11/05 22:26 📱:PC/0 🆔:lu/Ru1I.


#138 [我輩は匿名である]
「盲点でしたね」

一方、南里と土谷は苛立ったような顔でパトカーに乗っていた。

「盲点というより、焦りすぎて全然見えてなかった感じだな」

「…そう…ですね」

「悔しそうだな」

「当たり前です!容疑者かと思ってた人間に、しかも普通の高校生に、あんな風に馬鹿にされるなんて」

こういう所は、やはりキャリアらしい。明らかに土谷よりも悔しがっている。

⏰:11/11/07 21:37 📱:PC/0 🆔:V2jgNdus


#139 [我輩は匿名である]
「でも、あの2人の言う事はごもっともだったな。確かに、今回だけ防犯カメラに映ってたのは、おかしいと言えばおかしい」

「…また白紙に戻ってしまいましたね」

「初心に戻っていいじゃねぇか」

「…意味違いませんか?」

「似たようなモンだろ」

2人は気持ちを落ち着かせるように話をしながら、警察署に戻って行った。

⏰:11/11/07 21:37 📱:PC/0 🆔:V2jgNdus


#140 [我輩は匿名である]
月曜日。彩たちが通う高校は、今日から1週間全授業を中止し、凛が事件に巻き込まれたことを受けて、全ての生徒の登校を禁止した。必要時以外の外出も控えるようにと、昨日の連絡網で回ってきた。

ホッとしたような、でも少し残念なような複雑な気持ちで、彩は自室から外の景色を眺める。

凛の様子を見に行きたいが、今はやめておいた方がいいだろう。事件直後という事もあって、面会できないかもしれないし。

そんな事を、ただボーっと考えていた。

「みんな何してるのかなぁ…?」

⏰:11/11/14 21:57 📱:PC/0 🆔:UZEoRmCY


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194