2年A組
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#135 [我輩は匿名である]
「何?これ」
袋の中を覗くと、可愛くラッピングされた何かが入っている。
「何なに?プレゼント!?」
彩は目を輝かせて誠に向き直る。
「そりゃ…プレゼントだろ、どう見ても」
もはや恥ずかしさを通り越して顔をひきつらせながら誠が答える。
「でも、何で?」
「何でって…。今日お前の誕生日だろ」
きょとんとしている彩に、呆れて肩を落としながら誠は言った。
:11/11/05 22:24
:PC/0
:lu/Ru1I.
#136 [我輩は匿名である]
そう言われて初めて、彩は今日の日付を思い出した。
今日5月25日は、彩の17回目の誕生日だ。
「あ〜っ!そうだ!今日私の誕生日じゃん!!」
「忘れてたのか…?」
「うん!!」
大きく頷く彩に、誠はため息をつく。
「やったぁ!ねぇねぇ、開けてもいい?」
「…家帰ってから開けろよ…」
:11/11/05 22:25
:PC/0
:lu/Ru1I.
#137 [我輩は匿名である]
「いいのいいの!」
誠の返事が返ってくるより先に、彩は早速それを取出し、丁寧にラッピングをはがす。
中には、音楽プレイヤーに接続して曲を流すと踊りだす、ぬいぐるみ型スピーカーが入っていた。
「!!!!!」
全く言葉にならない声を上げながら、彩は箱のままそれを抱きしめる。
見るからに幸せそうな彼女の表情に、誠もまた、ほっとしたように笑みをこぼす。
「ありがとー!
こういうの欲しかったんだぁ❤記念すべき1曲目何かけよー?」
「演歌」
「絶対やだ!」
2人はしばらく、そのベンチに仲良く座って楽しそうに話していた。
:11/11/05 22:26
:PC/0
:lu/Ru1I.
#138 [我輩は匿名である]
「盲点でしたね」
一方、南里と土谷は苛立ったような顔でパトカーに乗っていた。
「盲点というより、焦りすぎて全然見えてなかった感じだな」
「…そう…ですね」
「悔しそうだな」
「当たり前です!容疑者かと思ってた人間に、しかも普通の高校生に、あんな風に馬鹿にされるなんて」
こういう所は、やはりキャリアらしい。明らかに土谷よりも悔しがっている。
:11/11/07 21:37
:PC/0
:V2jgNdus
#139 [我輩は匿名である]
「でも、あの2人の言う事はごもっともだったな。確かに、今回だけ防犯カメラに映ってたのは、おかしいと言えばおかしい」
「…また白紙に戻ってしまいましたね」
「初心に戻っていいじゃねぇか」
「…意味違いませんか?」
「似たようなモンだろ」
2人は気持ちを落ち着かせるように話をしながら、警察署に戻って行った。
:11/11/07 21:37
:PC/0
:V2jgNdus
#140 [我輩は匿名である]
月曜日。彩たちが通う高校は、今日から1週間全授業を中止し、凛が事件に巻き込まれたことを受けて、全ての生徒の登校を禁止した。必要時以外の外出も控えるようにと、昨日の連絡網で回ってきた。
ホッとしたような、でも少し残念なような複雑な気持ちで、彩は自室から外の景色を眺める。
凛の様子を見に行きたいが、今はやめておいた方がいいだろう。事件直後という事もあって、面会できないかもしれないし。
そんな事を、ただボーっと考えていた。
「みんな何してるのかなぁ…?」
:11/11/14 21:57
:PC/0
:UZEoRmCY
#141 [我輩は匿名である]
誠は机に向かい、パソコンで調べ物をしていた。
内容は、3年ほど前に騒ぎになっていた、ある事件の容疑者の事。
老若男女構わず何人もの人間を刺殺し、現在も逃亡中の連続殺人鬼。
葛城歩。25歳男性。
わずか半年で被害者は19人。全員死亡している。
彼の潜伏先まで突き止め、接触までできたのに取り逃がしてしまった警察に対し、多くの非難の声が寄せられたことも、よくニュースで取り上げられていた。
その記事1つ1つに目を通していた誠のそばで、携帯電話のバイブが鳴り出した。
:11/11/14 21:57
:PC/0
:UZEoRmCY
#142 [我輩は匿名である]
誠は発信者の名前を確かめ、電話に出る。
「もしもし」
「あー誠ー?元気?」
かけてきたのは司。同様の被害が多く出ているため、彼の高校も休校になっているらしい。
「あぁ、一応な」
「そりゃよかった。この間さぁ、警察に連れてかれちゃって参ったよ」
「2Aは全員連れて行かれて事情聴取されてる」
「らしいね。ったく、もうちょっと他に方法ないのかな?結局その後も小山やられちゃってるし」
:11/11/14 21:58
:PC/0
:UZEoRmCY
#143 [我輩は匿名である]
呆れたように司は言う。
「昨日俺と塩見の所にまた来たんだよ、警察。言い返したら逃げてったけど」
「へ?何で?」
「小山がやられた時に中央公園の近くにいたからな」
「…そりゃ怪しまれるだろ、どう考えても。何してたんだよ」
「…誕生日のプレゼントを買いに」
「あぁ、塩見?お前冷たいフリしてそういう事はちゃんとするよな」
「一応、な」
誠は少し恥ずかしそうにむすっとして答える。
:11/11/14 21:58
:PC/0
:UZEoRmCY
#144 [我輩は匿名である]
「…ところで、進んでる?そっちは」
「今調べてるとこ。お前は?」
「さっぱり。まぁ、俺みたいな一般人がわかるぐらいなら、先に警察が見つけ出してると思うけどな」
「どうだろうなぁ?結構抜けてそうだぞ?防犯カメラもろくに見てねぇ奴らだし」
「…大丈夫なのかな?この国…」
「さぁな」
2人はそろってため息をつく。
:11/11/14 21:59
:PC/0
:UZEoRmCY
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