2年A組
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#21 [我輩は匿名である]
「おはよー」
次の日の朝。いつものように、座席が近い凛が、鞄を机に置いて彩の元にやってきた。
「おはよ」
「聞いてよ!昨日警察の人が来てね、『一昨日の夜10時ごろ何してましたか?』とか聞かれてさぁ!」
凛はかなり腹が立っていたらしく、登校して来て早々不満をぶちまけた。やはり警察もいじめの事を突き止めていたらしい。
「そうなんだ。でも、あの日ピアノ行ってたんでしょ?」
:11/10/23 10:50
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:sgkwcQ9o
#22 [我輩は匿名である]
「行ってたよ!そう言ったらおとなしく帰って行ったけどね。ホント、こっちはもうあんな奴の顔すら見たくないってのに!」
前の席に座って、腕を組んで鼻息を荒くする凛に、彩はどこかほっとした気分になった。
「そう…だよね。…通り魔かなんかかな?やっぱり。そうだと怖いなぁ〜」
「そうだねー。彩ちゃんも、あんまり遅い時間にうろうろしちゃだめだよ?部活の帰りとか気を付けてね」
「うん。ありがと」
彩は笑って頷いた。心のもやもやが、一気に晴れた気がした。
:11/10/23 10:51
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:sgkwcQ9o
#23 [我輩は匿名である]
一方、隣のクラスでは。
「飲酒運転?」
誠と龍也が昨日の話の続きをしていた。昨日はすっかり疲れてそれどころではなくなったらしい。
「あぁ。小山の親父が、飲酒運転で追突事故を起こしたらしい。それで何人か死んでる」
「はーん、それが原因でいじめられたって事か」
事情が大体わかり、龍也は頷く。
「そんなんでいじめられてたらたまんねぇな。悪いの親父だけじゃん」
「小松は何でも槍玉にあげるような奴だったからな。『お前の父ちゃん人殺しー』的なノリだったんだろ」
呆れたように誠は言う。
:11/10/23 10:53
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#24 [我輩は匿名である]
「くっだらね。女って怖ぇよなぁ」
わずらわしそうに、龍也がため息をつく。「確かに」と、誠も頷く。
「この話、1組ではするなよ。空気悪くなるから」
「わかってるよ。いじめられた張本人がいるクラスで、こんな話できるかよ」
「…今回の事件、犯人捕まるかな?」
誠は腕を組んで、まじめに龍也に問いかける。
何だ急に。龍也は少し首を傾ける。
:11/10/23 10:54
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#25 [我輩は匿名である]
「さぁ?捕まるんじゃねぇの?あのおっさん、刑事課行ったみたいだし」
「お前がよく面倒見てもらってる、あの刑事?」
「おう」
なぜか鼻を高くして龍也が答える。
「あのおっさん、何だかんだ言ってベテランだからな。パパッと捕まえるだろ」
龍也の言う“おっさん”刑事とは、刑事課のベテラン、土谷信一警部である。3年前までは少年課にいたのだが、その後刑事課に異動になったのだ。
:11/10/23 10:55
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#26 [我輩は匿名である]
すいません
スレをコピーするの
どうやるんですか?
:11/10/23 11:41
:W61SH
:ogJA0N5o
#27 [我輩は匿名である]
中学時代。龍也は荒れていた。きっかけは何と言う事はない、親との衝突。
勉強が嫌いな龍也は、小学校の頃から続けている野球に打ち込んでばかりだったのだが、親はそれが気に食わなかったらしい。
無理やり塾に行かされ、家でも宿題が終わるまで常に背後で見張られた。終いには「成績を上げるために野球部を辞めろ」とまで言われ、龍也はもう我慢できなかった。
父親と揉み合いになり、殴りあった挙句、家を飛び出した。
アザだらけの顔で線路沿いのフェンス越しにしゃがみ込んでいると、40歳くらいのスーツの中年男性が声をかけてきた。
「おーおー、派手にやったな」
「…なんだよ、おっさん」
まるで挑発するかのような鋭い目つきで睨んだのだが、男性は意外にも笑った。
:11/10/23 11:46
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#28 [我輩は匿名である]
「はっはっは。そうか、おっさんか。まぁ間違ってはねぇな。どれ、このおっさんに、何があったのか話してみろ」
「はぁ?ふざけんなよ。何なんだよお前」
「俺か?俺は、こういうモンだ」
男性がそう言いながら胸ポケットから取り出したのは、警察手帳だった。
まさか、自分が捕まるんじゃないのか。龍也は頭が真っ白になった。
「そんなに驚かなくていい。別にお前を警察に連れて行こうと思ってるんじゃない。
おっさんはな、お前みたいに悩める若者を見つけては、相談相手になる仕事をしてんだ。ほれ、言ってみな」
:11/10/23 11:48
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#29 [我輩は匿名である]
そう言うと、その刑事は1人分ほどのスペースを空けて横に腰を下ろした。
内心、最初は信じられなかった。見ず知らずの人間に、話す事なんかない。そう思った。
しかし、こうも思った。『見ず知らずの人だからこそ、話しやすいかもしれない』。
5分ほど黙り込んだ末、龍也はこれまでのいきさつを全て刑事に話した。刑事は否定も説教も一切せず、「うんうん」と話を聞いてくれた。
:11/10/23 11:49
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#30 [我輩は匿名である]
彼との付き合いはそれからだ。よく警察署に顔を出しては、夕飯をおごってもらったり、愚痴を聞いてもらったりしている。
「さっさと捕まえろよってメールでも送っとこうかな」
「やめとけよ、迷惑でしかないから」
「1市民の声を“迷惑”はねぇだろ!!」
涼しげな顔で吐き捨てる誠に、龍也は悔しそうに言い返した。
:11/10/23 11:49
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