2年A組
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#257 [我輩は匿名である]
次の日から、皐は彩と口をきこうとしなかった。

今まで一緒に食べていた弁当も、この日から別々で食べるようになってしまった。美穂も凛もいないため、彩は仕方なく、同じく弁当を食べる相手を失った誠と一緒に食べた。

龍也が亡くなってから10日。葛城が自殺したこともあってか、事件は身を潜めていた。

凛の退院のめどが立ったという嬉しい知らせ以外は、特に何も変わった事はない。

⏰:11/12/05 11:41 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#258 [我輩は匿名である]
「良かったよね。凛ちゃんが退院できるだけでも、今の私たちには嬉しい事だし」

「そうだな」

相変わらず、彩と誠は一緒に帰っていた。

「もう、電話とかしても大丈夫かなぁ?さすがにまだ学校には来れないと思うし」

「…今度してみたら?」

「うん!」

ずっと暗いニュースしかなかったためか、彩は嬉しそうだ。

⏰:11/12/05 11:42 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#259 [我輩は匿名である]
もちろん、事件前の喜び方と比べると元気がないが、それでもだいぶ表情が明るくなってきている。

「…俺も、久しぶりに司に電話でもしてみようかな…」

誠は小声でもう漏らす。

「そうだね。私も、また美穂ちゃんにも電話してみる」

あれから、美穂は1度も学校に登校していない。彩が電話をかけても、電話にも出ない。

学校が家に電話して母親から聞いた話では、ずっと部屋にこもっているらしい。

「…出てくれればいいけどな」

「うん…」

彩が力なく頷くと同時に、誠が不意に足を止めた。

⏰:11/12/05 11:42 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#260 [我輩は匿名である]
「…どうかした?」

「…静かに」

誠は声を潜める。彩は黙って首をかしげる。

すると、誠が黙ったまままた歩き出した。わけがわからず、彩もそれについて行く。

彩は何気なく下を向いて、何かに違和感を感じた。

彩と誠の歩くタイミングが同じだ。

もちろん、誠は彩より背が高く足も長いため、今までは足を動かすタイミングはばらばらだった。

しかし、違和感はもう1つ。2人で同じ歩幅で、同じタイミングで足を動かして歩いているにもかかわらず、バラバラに足音が聞こえるのだ。

⏰:11/12/05 11:43 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#261 [我輩は匿名である]
「…うっちー」

「…わかったか?」

「……誰か…いるよね…?」

2人は振り返ることなく、誰にも聞こえないように話す。

彩・誠の足音と、離れたところからついてくる、もう1つの足音。

彩の背筋に、一瞬で寒気が走る。

⏰:11/12/05 11:43 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#262 [我輩は匿名である]
「…どうするの…?…家までついて来られたくないよ…」

不安そうな彩に、誠はふと、近くの曲がり角に目を付けた。

「…塩見。…あの右の角曲がるぞ」

「…うん」

「曲がったら一緒に、全速力で走れ」

「…わかった」

緊張と恐怖で体が震えるが、そんな事を気にしている場合じゃない。

⏰:11/12/05 11:44 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#263 [我輩は匿名である]
その曲がり角は、すぐにやってきた。

曲がった瞬間、誠が彩の肘を掴んで走り出す。彩も必死に、誠の足について行く。

さすがにここで足音を合わせていられないので、後ろからまだ誰かがついて来ているのかわからない。

しかし、後ろを振り向く勇気も、そんな余裕もない。

「おい、次、そこ左に行くぞ!」

「うん…!」

早くも息を切らしながら、彩は大きく頷く。

⏰:11/12/05 11:44 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#264 [我輩は匿名である]
言われた曲がり角を曲がると、誠はそこで立ち止まり、電信柱の影に身を潜めた。

彩は小さく息を切らし、静かに呼吸を整える。

「…誰か来てる…?」

「…いや…」

誠は姿が見えないよう、ほんの少しだけ顔を出してあたりの様子を伺う。

しかし、その道には誰も歩いていない。追ってくるような足音も聞こえてこない。

「…多分…大丈夫だと思う…」

⏰:11/12/05 11:45 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#265 [我輩は匿名である]
「…はぁ…」

緊張が一気に切れ、彩はずるずるとその場に座り込む。

「…次は…私達って事…?」

「さぁな…。…防犯ブザーとか…持ってた方がいいんじゃねぇの?」

「そうだね…」

しゃがみこんだまま、彩は不安げに頷く。

今度は自分が殺される。自分か、誠か。…もしくは同時に2人。

「…帰れるか?」

「…うん…」

彩はふらふらと立ち上がり、誠とともに、警戒しながら家へと帰った。

⏰:11/12/05 11:46 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#266 [我輩は匿名である]
家につき、彩はじっと、携帯電話の画面を見つめる。

南里に、帰り道の事を伝えるべきか。しかし、言ったところできっと何もしてもらえない。

パトロールはすでに強化されているだろうし、それ以上は警察も何もできないだろう。それに、もはや警察はあてにはならない。

悩んでいると、不意に携帯電話が鳴り出した。

びっくりしつつも見てみると、凛からの電話だ。

「もしもし!?」

彩はすぐに電話に出る。

⏰:11/12/05 11:46 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


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