2年A組
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#267 [我輩は匿名である]
「あっ、彩ちゃん?久しぶり」
そう言った凛の声は、少し元気がない。
「凛ちゃん…。大丈夫?もうすぐ退院できるって聞いたよ」
「うん。抵抗したおかげで、あんまり大したところには刺さらなかったみたいで…。でも、まだ学校は行かない方がいいみたい」
「…正直、学校どころじゃないもんね」
彩もため息をついて答える。
「…見張りの刑事さんから聞いたよ。私を刺した犯人、死んだんだよね」
:11/12/05 11:47
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:o7G4yXkA
#268 [我輩は匿名である]
「…そうみたいだね」
「ほっとしたのに、『まだ他にも容疑者がいる可能性があるから』って言われて…。…何でこんな事になっちゃったんだろ…」
凛は、今にも泣きそうな声でつぶやく。
凛の言う通りだ。みんな、考えることは同じだ。
「…私、やっとわかったよ。自分の身は、自分で守らないといけないって」
彩は決心したように言う。
「今日もね、後ろから誰かにつけられてる気がして…。走って逃げたらいなくなったみたいだけど。防犯グッズ買い揃えようかな」
:11/12/05 11:47
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#269 [我輩は匿名である]
「…そっか…。その方がいいよ、きっと。私も退院したらそうする」
「うん。凛ちゃん、…あんまり無理しちゃだめだよ。気を付けてね」
「ありがとう。彩ちゃんもね。…じゃあ、また」
「うん。お大事に」
2人はそう言い、電話を切った。
こんな状況でも、凛だけは生きていてくれた。彩は安心して、大きく息を吐いた。
その後、彩はネット通販で防犯ブザーを買い、休日には絶対に外出しないように決めた。
:11/12/05 11:48
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#270 [我輩は匿名である]
彩は「うーん」と、紺色のシーツがかかったベッドの上で腕を組む。
傍には机の椅子に座って足を組む誠の姿。
週が明けた月曜日。先週何者かに尾行された事を受けて、念のため仮病を使って学校を休んでいる。
犯人についてはもはや見当はつかないが、自分たちで考えられることは考え、備えられることは備えておきたい。
2人はそれぞれ、最大限の知恵を振り絞って考える。
「…なんか…」
誠がぼそっと呟く。
:11/12/08 16:11
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#271 [我輩は匿名である]
「この事件…何かがおかしい気がする…」
それを聞いて、彩が顔を上げる。
「…“何か”って?」
「わからない。でも…どこか変な感じがするんだよ」
「そうかなぁ…?」
彩は首をかしげる。誠の言う“おかしい気がする”という感覚は、彩には感じられない。
「…1番おかしいのは、私たちが狙われてることだよ」
:11/12/08 16:11
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#272 [我輩は匿名である]
「…まぁ、それはそうだけど」
「…犯人は、2A全員を殺してどうしたいんだろう?やっぱり何か恨みでもあるのかな?」
「…小松とその仲間はともかく、お前や青山は特に恨まれるようなことはしてないだろ」
「うっちーだってしてないよ」
「わからないぞ?俺の事嫌いな奴は多くいるだろうし」
「だったらうっちーだけを殺すと思う。そうじゃなくても、1番に狙われるのはうっちーになるよね」
「そう…。だから余計わからないんだよ。全員が殺されなければならない理由が何なのか…」
:11/12/08 16:11
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#273 [我輩は匿名である]
「…先生は?」
彩は自分で言いながら顔を上げる。
「去年県外に転勤したって聞いたぞ。教師続けてるらしいし、平日に事件起こすのはどうやっても無理だろ」
「そうなんだ…」
彩はため息をついて肩を落とす。
「…梶浦君は?あの子も一緒に調べてたんじゃないの?」
:11/12/08 16:12
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#274 [我輩は匿名である]
「あいつも葛城が死んでからはサッパリらしい」
「…完全に行き詰っちゃったね」
「ま、ただの一般人の推理なんか、こんなもんだろ」
誠は早くも諦めたように言った。
葛城が言い残した通り、その後9日間、何の事件も起こらなかった。彼が“ヘタレ”と言っていた犯人はともかく、“首謀者”と思われる方の犯人は自分の手で罪を起こす事はしないらしい。
:11/12/08 16:12
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:obBo.T/Y
#275 [我輩は匿名である]
しかし、とうとうその犯人たちが動き出した。
彩達が尾行されてからちょうど10日後。他の高校に通う元2年A組の男子生徒2人の遺体が、大通りから一本路地に入ったところで発見された。
南里と土谷は険しい顔でその2人の遺体を見つめる。
2人の遺体には、数か所の銃痕。
「…動き出しましたね」
:11/12/08 16:13
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#276 [我輩は匿名である]
南里が土谷に言う。
「…一体何人殺せば気が済むんだ?」
「この調子なら、おそらく全員でしょう。もしかしたら、この間退院した小山凛もまた狙われる可能性がありますね」
「彼女はまだ自宅療養の指示が出てる。しばらく家から出ないだろう。…本人も、まだ怯えた感じだったしな」
2人は小声で話し合った後、男子生徒の遺体に手を合わせた。
:11/12/08 16:13
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