2年A組
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#262 [我輩は匿名である]
「…どうするの…?…家までついて来られたくないよ…」

不安そうな彩に、誠はふと、近くの曲がり角に目を付けた。

「…塩見。…あの右の角曲がるぞ」

「…うん」

「曲がったら一緒に、全速力で走れ」

「…わかった」

緊張と恐怖で体が震えるが、そんな事を気にしている場合じゃない。

⏰:11/12/05 11:44 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#263 [我輩は匿名である]
その曲がり角は、すぐにやってきた。

曲がった瞬間、誠が彩の肘を掴んで走り出す。彩も必死に、誠の足について行く。

さすがにここで足音を合わせていられないので、後ろからまだ誰かがついて来ているのかわからない。

しかし、後ろを振り向く勇気も、そんな余裕もない。

「おい、次、そこ左に行くぞ!」

「うん…!」

早くも息を切らしながら、彩は大きく頷く。

⏰:11/12/05 11:44 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#264 [我輩は匿名である]
言われた曲がり角を曲がると、誠はそこで立ち止まり、電信柱の影に身を潜めた。

彩は小さく息を切らし、静かに呼吸を整える。

「…誰か来てる…?」

「…いや…」

誠は姿が見えないよう、ほんの少しだけ顔を出してあたりの様子を伺う。

しかし、その道には誰も歩いていない。追ってくるような足音も聞こえてこない。

「…多分…大丈夫だと思う…」

⏰:11/12/05 11:45 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#265 [我輩は匿名である]
「…はぁ…」

緊張が一気に切れ、彩はずるずるとその場に座り込む。

「…次は…私達って事…?」

「さぁな…。…防犯ブザーとか…持ってた方がいいんじゃねぇの?」

「そうだね…」

しゃがみこんだまま、彩は不安げに頷く。

今度は自分が殺される。自分か、誠か。…もしくは同時に2人。

「…帰れるか?」

「…うん…」

彩はふらふらと立ち上がり、誠とともに、警戒しながら家へと帰った。

⏰:11/12/05 11:46 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#266 [我輩は匿名である]
家につき、彩はじっと、携帯電話の画面を見つめる。

南里に、帰り道の事を伝えるべきか。しかし、言ったところできっと何もしてもらえない。

パトロールはすでに強化されているだろうし、それ以上は警察も何もできないだろう。それに、もはや警察はあてにはならない。

悩んでいると、不意に携帯電話が鳴り出した。

びっくりしつつも見てみると、凛からの電話だ。

「もしもし!?」

彩はすぐに電話に出る。

⏰:11/12/05 11:46 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#267 [我輩は匿名である]
「あっ、彩ちゃん?久しぶり」

そう言った凛の声は、少し元気がない。

「凛ちゃん…。大丈夫?もうすぐ退院できるって聞いたよ」

「うん。抵抗したおかげで、あんまり大したところには刺さらなかったみたいで…。でも、まだ学校は行かない方がいいみたい」

「…正直、学校どころじゃないもんね」

彩もため息をついて答える。

「…見張りの刑事さんから聞いたよ。私を刺した犯人、死んだんだよね」

⏰:11/12/05 11:47 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#268 [我輩は匿名である]
「…そうみたいだね」

「ほっとしたのに、『まだ他にも容疑者がいる可能性があるから』って言われて…。…何でこんな事になっちゃったんだろ…」

凛は、今にも泣きそうな声でつぶやく。

凛の言う通りだ。みんな、考えることは同じだ。

「…私、やっとわかったよ。自分の身は、自分で守らないといけないって」

彩は決心したように言う。


「今日もね、後ろから誰かにつけられてる気がして…。走って逃げたらいなくなったみたいだけど。防犯グッズ買い揃えようかな」

⏰:11/12/05 11:47 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#269 [我輩は匿名である]
「…そっか…。その方がいいよ、きっと。私も退院したらそうする」

「うん。凛ちゃん、…あんまり無理しちゃだめだよ。気を付けてね」

「ありがとう。彩ちゃんもね。…じゃあ、また」

「うん。お大事に」

2人はそう言い、電話を切った。

こんな状況でも、凛だけは生きていてくれた。彩は安心して、大きく息を吐いた。

その後、彩はネット通販で防犯ブザーを買い、休日には絶対に外出しないように決めた。

⏰:11/12/05 11:48 📱:PC/0 🆔:o7G4yXkA


#270 [我輩は匿名である]
彩は「うーん」と、紺色のシーツがかかったベッドの上で腕を組む。

傍には机の椅子に座って足を組む誠の姿。

週が明けた月曜日。先週何者かに尾行された事を受けて、念のため仮病を使って学校を休んでいる。

犯人についてはもはや見当はつかないが、自分たちで考えられることは考え、備えられることは備えておきたい。

2人はそれぞれ、最大限の知恵を振り絞って考える。

「…なんか…」

誠がぼそっと呟く。

⏰:11/12/08 16:11 📱:PC/0 🆔:obBo.T/Y


#271 [我輩は匿名である]
「この事件…何かがおかしい気がする…」

それを聞いて、彩が顔を上げる。

「…“何か”って?」

「わからない。でも…どこか変な感じがするんだよ」

「そうかなぁ…?」

彩は首をかしげる。誠の言う“おかしい気がする”という感覚は、彩には感じられない。

「…1番おかしいのは、私たちが狙われてることだよ」

⏰:11/12/08 16:11 📱:PC/0 🆔:obBo.T/Y


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