2年A組
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#27 [我輩は匿名である]
中学時代。龍也は荒れていた。きっかけは何と言う事はない、親との衝突。
勉強が嫌いな龍也は、小学校の頃から続けている野球に打ち込んでばかりだったのだが、親はそれが気に食わなかったらしい。
無理やり塾に行かされ、家でも宿題が終わるまで常に背後で見張られた。終いには「成績を上げるために野球部を辞めろ」とまで言われ、龍也はもう我慢できなかった。
父親と揉み合いになり、殴りあった挙句、家を飛び出した。
アザだらけの顔で線路沿いのフェンス越しにしゃがみ込んでいると、40歳くらいのスーツの中年男性が声をかけてきた。
「おーおー、派手にやったな」
「…なんだよ、おっさん」
まるで挑発するかのような鋭い目つきで睨んだのだが、男性は意外にも笑った。
:11/10/23 11:46
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#28 [我輩は匿名である]
「はっはっは。そうか、おっさんか。まぁ間違ってはねぇな。どれ、このおっさんに、何があったのか話してみろ」
「はぁ?ふざけんなよ。何なんだよお前」
「俺か?俺は、こういうモンだ」
男性がそう言いながら胸ポケットから取り出したのは、警察手帳だった。
まさか、自分が捕まるんじゃないのか。龍也は頭が真っ白になった。
「そんなに驚かなくていい。別にお前を警察に連れて行こうと思ってるんじゃない。
おっさんはな、お前みたいに悩める若者を見つけては、相談相手になる仕事をしてんだ。ほれ、言ってみな」
:11/10/23 11:48
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#29 [我輩は匿名である]
そう言うと、その刑事は1人分ほどのスペースを空けて横に腰を下ろした。
内心、最初は信じられなかった。見ず知らずの人間に、話す事なんかない。そう思った。
しかし、こうも思った。『見ず知らずの人だからこそ、話しやすいかもしれない』。
5分ほど黙り込んだ末、龍也はこれまでのいきさつを全て刑事に話した。刑事は否定も説教も一切せず、「うんうん」と話を聞いてくれた。
:11/10/23 11:49
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#30 [我輩は匿名である]
彼との付き合いはそれからだ。よく警察署に顔を出しては、夕飯をおごってもらったり、愚痴を聞いてもらったりしている。
「さっさと捕まえろよってメールでも送っとこうかな」
「やめとけよ、迷惑でしかないから」
「1市民の声を“迷惑”はねぇだろ!!」
涼しげな顔で吐き捨てる誠に、龍也は悔しそうに言い返した。
:11/10/23 11:49
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#31 [我輩は匿名である]
「どこの防犯カメラにも映ってない?」
刑事課所属の刑事が、怪訝そうな顔で聞き返す。土谷信一。45歳。今回の女子高生殺人事件の捜査員の1人である。
「はい…。近くのコンビニ、ガソリンスタンド、マンションなどの全ての防犯カメラを確認しましたが、犯人らしき人物は…。すみません」
部下の若手刑事が、なぜか申し訳なさそうに報告する。彼が悪いわけではないのだが。
「う〜ん…」とうなり声をあげながら、土谷は考え込む。犯人のような格好をしていなかったためわからないのか、防犯カメラに映らないルートを通ったのか。
後者なら土地勘がかなりある者の犯行という事になる。
:11/10/23 11:50
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#32 [我輩は匿名である]
凶器になった刃物も何も残っていない。場所が場所だけに、目撃者もいない。完全にどん詰まり状態だ。
彼女の周囲の人間からの情報で、どうやらかなりのいじめっ子だった事は突き止めた。いじめられた生徒からの仕返し、という見方も早くに浮上した。
しかし、それも昨日の聞き込みから全て白紙に戻された。
中学1年の時のいじめの標的・佐竹結衣、2年の時の標的・小山凛、3年の時の標的・藤井洋子、高校1年の時の標的・川井愛華、そして2年になってからいじめられていた寺田紗英。この全員にアリバイがあった。
佐竹は吹奏楽部で、部活後友人と帰宅中。小山はピアノのレッスンに、藤井は友人とカラオケ行ってた。川井と寺田は仲がいいらしく、一緒にご飯を食べに行っていた。
これは難儀な事件に当たったものだ。土谷は大きくため息をつき、早くも疲れた顔で捜査資料を手に取った。
:11/10/23 11:51
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#33 [我輩は匿名である]
>>26さん
申し訳ありませんが、私にはその方法はわかりません。
こちらは小説板ですし、使い方板の方で聞かれた方が良い答えが返ってくるのではないでしょうか?
:11/10/23 11:54
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#34 [我輩は匿名である]
「ねぇねぇ、キャッチボールしよ!」
部員が休憩している間、彩は美穂と皐に声をかける。
「やるー!」
「あたし汗かきたくないからパスー」
ベンチに座ったままの皐とは正反対に、美穂が嬉しそうに立ち上がる。
「うっちー!グローブ貸して」
「えー?お前の手にはぶかぶかだと思うけど」
「いいの!」
:11/10/23 14:00
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#35 [我輩は匿名である]
「じゃあ私は…」
「あっ、俺の使う?」
誰のグローブを借りようか悩んでいた美穂に、龍也が真っ先に名乗りを上げた。
「いいの?」
「いいよ。はい」
龍也は笑顔で、美穂に自分の青いグローブを手渡した。
「ありがとう!」
「うっちーとは違って、菊池君は爽やかだねぇ」
「ほっとけ」
彩にからかわれて、誠はフンとそっぽを向く。
:11/10/23 14:00
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#36 [我輩は匿名である]
「彩ちゃん、行こ♪」
「うん!」
2人はそれぞれ、それほど大きくない手に大きなグローブをはめて走りだす。
休憩中はよく、こうやってマネージャー同士でキャッチボールをする。部員たちが野球をしているのを見ると、やはり自分たちもやりたくなってしまう。
キャーキャー言いながら下手なキャッチボールを始める2人を、部員たちが笑って見るのもいつもの事だ。
「ほぼ毎日やってるのに、ホント下手だな。あいつら」
「そりゃ女子だもん」
「女子でもプロ野球リーグとかあるじゃん」
:11/10/23 14:01
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