2年A組
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#287 [我輩は匿名である]
「…お前、梶浦が襲われる前に、あいつと電話してたな」
おそらく、彼の携帯電話の通話履歴を見たのだろう。土谷が服装を正しながら続ける。
「何を話してたんだ?」
「まだ俺を疑ってるのか…?」
「そうじゃない。私達だって知りたいのよ。もし事件に関する事なら、どんな情報でも」
そう言った南里の顔は、春香の時に見た弱々しいものとは違った。
彼女の表情を見て、誠はどうにか怒りをおさめ、大きく息をつく。
「…署で、詳しい事を話すわ。彼女にも、聞いてもらいたいものがあるから」
南里は言いながら、彩に視線を送る。
警察署に、一体何が待っているのだろう。彩と誠はともに、暗い表情でパトカーに乗った。
:11/12/14 21:29
:PC/0
:MqhoO8ew
#288 [我輩は匿名である]
署に着くと、2人は応接室のような部屋に通された。
目の前の机には、DVDレコーダーのような機械が置かれている。
室内のソファに2人を座らせ、南里と土谷も向かいのソファに腰を下ろす。
「…まず、昨日起こった事を話すわ」
書類を手に、南里が言う。
「午後20時13分。梶浦司本人から、『男に撃たれた』と119番通報あり。相手は面識がない男だったと、到着した救急隊員に話した後意識がなくなり、そのまま病院に運ばれた。
撃たれたのは右胸部。そして、救急隊員が到着した時、梶浦司のそばにピストルが落ちていて、そこから彼の指紋が確認されてる」
:11/12/14 21:30
:PC/0
:MqhoO8ew
#289 [我輩は匿名である]
「ちょっと待て」
彩が口を開く前に、誠が話を止める。
「何で司の指紋が付いてるんだよ」
誠の疑問に、彩も頷く。
「…先に全部聞いてちょうだい」
その質問が来るのはわかっていたのだろう。南里はそう言って、続きを話す。
:11/12/14 21:30
:PC/0
:MqhoO8ew
#290 [我輩は匿名である]
「午後20時28分。今度は私の携帯に、青山美穂から『犯人らしい人がいる』と通報あり。電話をつなげたまま、自分の携帯電話をポケットに入れて犯人と接触」
「何で美穂ちゃんが…?」
「親に何も言わず、出歩いてたらしい」
彩の問いに、土谷が答える。
南里はためらうように息を吐いた後、こう続けた。
「犯人と接触中、もう1人の射殺され死亡」
彩はハッと息をのみ、南里を見つめる。
:11/12/14 21:31
:PC/0
:MqhoO8ew
#291 [我輩は匿名である]
※すみません、>>290の南里の最後のセリフに脱字がありました。
正しくは↓です。
「犯人と接触中、もう1人の犯人に射殺され死亡」
:11/12/14 21:33
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:MqhoO8ew
#292 [我輩は匿名である]
昨夜。何も用はないが、ただ外をぼーっと歩いていた美穂は、何かから逃げるように目の前を横切って行く黒いパーカーの男性を見つけた。
美穂は生気のない目でそれを見た後、足をそちらに向けて歩き出した。
『もしかしたら、寺田くんを殺した奴の仲間かもしれない。』
その考えが美穂の頭の中をよぎる。
「…許さない…」
美穂はそう呟き、家から持ってきた包丁が入った鞄を大事そうに肩からかけ直す。
男性が走って行った道を、美穂はじっと物陰から様子を伺う。
:11/12/14 21:35
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:MqhoO8ew
#293 [我輩は匿名である]
そこには、どこから逃げてきたらしく、膝に手をついて呼吸を整えている黒いパーカーの男がいた。
しかも、その先はゴミ置き場。行き止まりだ。
美穂はそれを見て、いったん少し離れたところに来て南里に電話を掛けた。
「刑事さん、…犯人っぽい人がいますよ」
相手が電話に出ると同時に、美穂は淡々と言う。
思わぬ通報に、南里は目を丸くする。
「どこ!?」
南里は美穂に聞いた場所を、近くにあった紙にメモする。
:11/12/14 21:36
:PC/0
:MqhoO8ew
#294 [我輩は匿名である]
「…今からその人に聞いてみる。…何でこんなことするのか」
「やめなさい!あなたが危ないだけよ!」
急に声を荒げる南里に、周囲にいた刑事たちが動きを止める。
「…構わないよ。それで、もう他の子が被害に遭わなくて済むんなら」
美穂の言葉に、南里は耳を疑った。前にあった時は、こんな事を言う子ではなかったはずだ。
少し考え、南里は美穂に言った。
「…青山さん、…電話を切らずに、携帯電話をそのままポケットに入れてちょうだい」
:11/12/14 21:36
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:MqhoO8ew
#295 [我輩は匿名である]
「…どうして?」
「何を言っても、あなたは犯人との接触を試みるでしょう。犯人との会話を少しでも聞くことができたら、犯人の特定に役立つわ。逮捕できる可能性も高くなる。
…くれぐれも気を付けて」
本当は、どうしても引き止めなければならない。それは南里もよくわかっていた。しかし今の美穂の様子では、おそらく誰が何を言っても聞く耳を持たない。
南里は受話器を離し、そこにいた全警官に、美穂が言った場所に向かうよう命じる。
そして、近くにいた鑑識課の男性を呼び寄せた。
:11/12/14 21:37
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:MqhoO8ew
#296 [我輩は匿名である]
「今から、私の携帯の通話を全部録音して下さい」
「わ、わかりました」
「この形態の近くで、絶対に物音や声を出さないように。音を拾われたら、きっとその場で電話を切られる」
「はい」
南里に指示を出され、半ばあまり事情が分かっていないながらも、周囲の捜査員は大きく頷いた。
:11/12/14 21:38
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:MqhoO8ew
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