2年A組
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#297 [我輩は匿名である]
美穂は言われたとおり、携帯電話を通話状態のまま上着のポケットに入れ、男のもとへと向かう。

男はまだそこにいて、誰かに電話しているようだった。

「ねぇ」

美穂が背後から話しかけると、男はびくっと肩を上げ、急いで電話を切った。

「…あんた、犯人でしょ?」

男は何も言わない。その態度が、“自分が犯人だ”という事を物語っているのに、彼は気づいていないのだろう。

何も答えず固まっている男に、美穂は追い打ちをかける。

⏰:11/12/14 21:38 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#298 [我輩は匿名である]
「そうなんでしょ?2年1組の…岡本君」

美穂が名前を呼ぶと、男は…岡本忍は、ゆっくりと振り向いた。

以前教室でぶつかった事を、美穂は覚えていた。

岡本は動揺したような表情で美穂を見ている。

“こんな奴らに、寺田くんは…”

美穂は腹の底から湧いてくる怒りを抑え、岡本に尋ねる。

「どうして…こんな事してるの?」

岡本は、さらに困ったような顔で黙っている。

⏰:11/12/14 21:38 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#299 [我輩は匿名である]
「同じ中学じゃなかったよね?なのに何で私たちを狙うの?誰に命令されてるの?」

「…それは…」

岡本は口ごもる。弱そうな割に、口だけは堅いらしい。

美穂はもう少し岡本に近寄り、鋭い目で彼をにらみつける。

「頭おかしいんじゃないの…?命令されて、自分の人生棒に振ってまでこんな事件起こして…バカみたい。あんたも、そのボスも」

「…バカなんて言うな…」

“バカ”という言葉に反応したらしく、岡本が小声で言った。

⏰:11/12/14 21:39 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#300 [我輩は匿名である]
言い返されて、美穂は眉間にしわを寄せる。

「僕は、何て言われてもいいよ…。でも、あの子は…あの子を侮辱する事だけは、…許さないよ」

「あんたなんかに許してもらおうなんて思ってない」

“あの子”。岡本はそう言った。おそらく、首謀者の歳は、自分たちとそう離れてはいなさそうだ。

そして、もう1つ。

「…その“あの子”が、よっぽど大事なんだね」

美穂は小さく笑って言う。

⏰:11/12/14 21:39 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#301 [我輩は匿名である]
まるで心の内側を見透かされたような感じがして、岡本は言い返せず、また黙る。

「でも、その“あの子”は…あんたの事何とも思ってないと思うよ?」

美穂はまるで挑発するような笑みを浮かべて続ける。

「何…!?」

「だって本当にあんたの事を大事に思ってるなら、こんな事させないでしょ?普通の人なら逆に止めるはず。でもあんた達は違う。

その人にとってのあんたは……ただの“捨て駒”だよ」

「黙れ!!」

岡本はキレたように叫び、自分の腰に手を当てる。

⏰:11/12/14 21:40 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#302 [我輩は匿名である]
しかし、そこには持ってきていたはずのピストルはない。

「どうしたの?大事な“道具”、忘れてきちゃった?」

頭が真っ白になっている彼をあざ笑うかのように、近くの通りを救急車が大きなサイレンを鳴らして通り過ぎて行った。

「あいつ…俺のピストル持ったまま…!」

岡本が苛立ったように言った。

この様子だと、今通った救急車で運ばれている人物が、彼のピストルを持っているように思える。

しかし、一体誰がどんな事を…?

⏰:11/12/14 21:41 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#303 [我輩は匿名である]
「本当に大事だと思うんなら、その子止めなよ。じゃないと、その子が可哀相なだけだよ?」

「“可哀相”…?ははっ、何が!?僕がお前たちを殺せば、あの子は喜んでくれる!それを見て僕はまた他の奴を殺す…最高じゃないか!!」

「“喜ぶ”…」

美穂は彼が発したその言葉に、首をかしげる。

その直後。

美穂の背後から乾いた銃声が聞こえたと同時に、岡本が仰向けに倒れた。

⏰:11/12/14 21:43 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#304 [我輩は匿名である]
何が起こったのかわからずに岡本を見てみると、額に穴が開き、どくどくと脈打ちながら出血している。

ちょっと間呆然としていたが、美穂は音を立てずに鞄のチャックを開け、中に入れている包丁の柄を握る。

もし撃ったのが警察なら、何か言うはず。しかし、警察官がこんな中途半端なタイミングで発砲するはずがない。

会話の途中で発砲したのは、岡本がこれ以上余計な事を口走らないため…そう考えるのが、1番つじつまが合う。

そうなれば、背後にいる人物は…。

「(終わらせてやる…。これ以上…誰も殺させない…!)」

美穂は恐れることなく、素早く包丁を取り出し、振り返る。

⏰:11/12/14 21:44 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#305 [我輩は匿名である]
それを振り上げた瞬間。

そこにいた人物を見て、美穂は思わず動きを止めた。

「…何で…?」

美穂が「何かの間違いだ」と自分の目を疑っていると、その胸に銃口があてられた。

目の前の人物が笑う。

そして…。

⏰:11/12/14 21:44 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


#306 [我輩は匿名である]
銃声とともに、美穂の体は、撃たれた反動でその場に倒れ込んだ。

握っていたはずの包丁も、その衝撃でどこかに落としてしまった。

もう1発、美穂の服のポケットに向かって銃弾が飛んできた。

「(…私は…ここまで、だね…)」

自分を撃った犯人が立ち去って行く足音が聞こえる。

美穂は静かに目を閉じる。

死ぬのは怖くない。向こうで彼

⏰:11/12/14 21:45 📱:PC/0 🆔:MqhoO8ew


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