2年A組
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#357 [我輩は匿名である]
『お嬢さん♪』

暗い街を歩いていた凛の肩を、後ろから知らない中年男性がポンとたたいた。

『こんな時間に何してるのかな?』

『…別に』

うっとうしかったので、凛は相手にせずに立ち去ろうとする。

しかし、今度は腕を掴まれた。

『…こんな所うろうろしてると、危ないよ?おじさんの家においで』

その言葉に、凛の背筋に寒気が走る。

⏰:12/02/14 23:27 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#358 [我輩は匿名である]
『い、嫌』

『いいからいいから』

『離してよ!』

『大きな声出すなよ!ほら、さっさと…』

どこかに連れて行かれそうになった時、急に男性の動きが止まった。

凛が戸惑っていると、男性の体は力が抜けたようにその場に倒れた。

⏰:12/02/14 23:28 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#359 [我輩は匿名である]
目の前には、若い、どこかで見た事がある1人の別の男性。

その手には血の付いた1本のナイフが握られている。

『…大丈夫?』

呆然としていると、若い男性が話しかけてきた。

不思議と、その男性に対して警戒心がわいてこない。

凛は黙ってうなずき、その男性をどこで見たのか思い出した。

⏰:12/02/14 23:28 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#360 [我輩は匿名である]
『…テレビで見た事ある…』

『そう?僕ってそんなに有名人なのかな?まぁ、こんだけ人殺してたら、有名人にもなっちゃうよね』

若い男性はくったくのない笑みを浮かべて答える。

そうだ。思い出した。この近辺で起こっている連続殺人事件の容疑者として指名手配されている、葛城歩だ。

しかし、見たところ全くそんな雰囲気は持ち合わせていない。

どこにでもいるような、平凡な男性。

⏰:12/02/14 23:31 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#361 [我輩は匿名である]
『じゃ、さっさと家に帰りなよ。また変な人につかまっちゃうよ』

葛城はそう言って背を向ける。その彼の腕を、凛はとっさに掴んだ。

『…何?』

『…あの…』

『悪いけど、警察呼ぶなら君も殺すよ?』

『違うんです!そうじゃ、なくて…』

凛はそのまま俯く。

⏰:12/02/14 23:31 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#362 [我輩は匿名である]
自分を助けてくれたのは、彼が初めてだ。

『…私…帰る場所がないんです』

凛は声を震わせながら、初対面の連続殺人犯に、自分の境遇を話した。

学校の事、家庭の事…。なぜこんなことを彼に話しているのか自分でもわからなかったが、話すうちに涙がこみ上げてきた。

『…そう。…辛いね』

葛城は、ぽつりとそう呟いた。

⏰:12/02/14 23:32 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#363 [我輩は匿名である]
『…いつまでもここにいたら見つかっちゃうから、とりあえずうちにおいで。このオッサンと違って、何もしないから』

『…いいんですか?』

『だって、泣いてる女の子をこのままほっとけないじゃん』

葛城はそう言って、凛を自分の家に連れ帰った。

家と言っても、ぼろぼろのアパートの狭い一室。

一軒家に住んでいる凛には、少し耐え難い環境であったが、あの家に帰る事を考えれば我慢できた。

⏰:12/02/14 23:33 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#364 [我輩は匿名である]
『僕にはね、親がいないんだ』

家に帰って少しすると、今度は葛城が話し始めた。

『…どうして?』

『僕が殺したんだ。2人とも』

葛城は平気そうに言うが、凛には少し悲しそうに見える。

話しながら、葛城は袖口をまくり、自分の片腕を凛に見せる。

いくつかアザのような、やけどのような跡が残っている。

『それは…?』

⏰:12/02/14 23:33 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#365 [我輩は匿名である]
『煙草の跡。よく押し付けられてね』

少し苦笑して、葛城が答える。

どうしてそれを笑いながら言えるのか、凛は不思議で仕方がない。

『僕、小さい時からよく父親に虐待されてたんだ。母親は怖がって、助けてくれようとしない。

4年前…15歳の時かな。本当に殺されそうになったから、とっさに包丁で父親を刺して殺した。警察に通報した母親も一緒に』

話している葛城の表情が、少し暗い。

⏰:12/02/14 23:33 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


#366 [我輩は匿名である]
『正当防衛だっていう声もあったらしいけど、ちょっと刺しすぎちゃってね。過剰防衛って事になって、少年院に入ってたんだ。

出てきてからは親戚に引き取られて、まぁ適当に育てられてこうなったわけ』

『…でも、なんで殺人犯なんかに…』

話を聞く限り、そんなに悪い人には思えない。凛は真剣に尋ねる。

⏰:12/02/14 23:34 📱:PC/0 🆔:Gu5WMMzk


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