2年A組
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#367 [我輩は匿名である]
『たまたま外歩いてたら、さっきの君みたいに襲われかかってる女の人を見つけてね。
それ見た瞬間、何だか父親に殴られてる自分を思い出して、“殺さないと”って思った。気づけば襲ってた奴が血まみれになって倒れてたよ。
…でも、被害に遭ってた女の人が僕に言ったんだ。“ありがとう”って。…人を殺して感謝されたのは初めてだった。
だからたまーに家を出て散歩しては、生きてても害にしかならない奴を殺してまわってるのさ』
『…そうなんですか…』
不思議な、複雑な人間のようだが、凛はなぜか彼に惹かれた。
:12/02/14 23:34
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:Gu5WMMzk
#368 [我輩は匿名である]
『家に居場所がないんなら、たまにはここに来ていいよ。誰にも言わないなら』
葛城は笑って言った。
『…いいんですか…?』
『君がいいんなら、僕は別にかまわないよ。こんな汚い家でよかったらいつでもおいでよ』
その言葉は、凛の心に響いた。
今まで、こんな言葉をかけてくれたのはこの人が初めてだ。
しかし、どうして初対面の相手にここまで優しくしてくれるのか。
:12/02/14 23:35
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:Gu5WMMzk
#369 [我輩は匿名である]
『…あの』
凛は思い切って聞いてみる。
『どうして、そんなに優しくしてくれるんですか?…会ったばっかりなのに』
そう聞かれて、葛城は少し考えるそぶりを見せる。
そして、10秒ほど黙った後、小さく笑って答えた。
『…君は…僕に似てるから』
:12/02/14 23:35
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:Gu5WMMzk
#370 [我輩は匿名である]
「…それから…私は毎日のようにあの人の所に通った。あの人の所にいる時だけ、私が私でいられたから。
だから…あの人が殺人犯だって、もうどうでも良くなって……下手すれば私も逮捕されるんじゃないかとも思ったけど、それでも良かった。
私もあの人も、もうそんな風にしか生きられないのよ」
「そんな事ない!どんな理由があっても、その人を殺せば、それで全部解決するの!?」
凛の話に、黙って聞いていた彩は反論する。
:12/02/15 22:59
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:2Wja4oSk
#371 [我輩は匿名である]
「確かに、“死んでくれればいいのに”とか思う人はいるかもしれない。でもそんな事でいちいち殺してたらキリないじゃん!
たかが腹立つ奴の為に、人生棒に振るなんてもったいないと思わないの!?」
「言ったでしょ?“私たちはそんな風にしか生きられない”って。もったいないと思えるような人生じゃない。
あんた達みたいに、普通に愛されて育った人には、私たちの気持ちなんてわかるはずない!」
「わかりたくねぇな、そんなもん」
誠もまた、彩に加勢し首を振る。
:12/02/15 22:59
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:2Wja4oSk
#372 [我輩は匿名である]
「虐待されても、いじめられても、それを乗り越えて生きてる人はたくさんいる。お前が言ってる事は、自分を正しいと思わせるためのただの言い訳だ」
「じゃあ青山美穂はどうなのよ?あの子、私たちを殺すために包丁持ってたじゃない。あの子だって私たちと同じよ。好きな男が死んだ悲しみを、乗り越えられなかった。違う?」
凛の言う事も、一理ある。
彼女の言葉に、2人とも返す言葉を見つけられず黙り込む。
しかし、彩が再び口を開いた。
:12/02/15 22:59
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:2Wja4oSk
#373 [我輩は匿名である]
「…確かに、美穂ちゃんがやろうとしたことは間違ってたと思う。もっと別の方法があったんじゃないかって、今も悔しくて仕方ないよ。…あんた達だって一緒だよ」
「“別の方法”?そんなのあるわけないじゃん。あの人はあの時父親を殺してなかったら、自分が殺されてたかもしれない。私だって、いじめに耐えられなくて自殺してたかもしれない。
私達には、あいつらを殺す以外に何も道はなかった」
「そうか?3年になってクラスが変われば、いじめはなくなったって聞いたぞ」
「そんなに簡単に人が変われると思ってるの?1年間ずっといじめられて、誰も信じられなくなって、それですぐ『いじめがなくなった、良かったね』って元気になる?ならないでしょ」
「人によるだろ。お前たちが弱かっただけで」
:12/02/15 23:00
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:2Wja4oSk
#374 [我輩は匿名である]
「弱い?私が?バカ言わないで!私がこうなったのは誰のせいだと思ってるのよ!?」
「じゃあ逆に聞くけど、自分は誰のせいだと思ってるの?」
「みんなよ!親も、あいつらも、黙って見てるだけだったあんた達みんな!!」
凛はピストルを握り締めて怒鳴る。
しかし、彼女の話を聞いているうちに、彩は考えていた。
:12/02/15 23:00
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:2Wja4oSk
#375 [我輩は匿名である]
「…かわいそう」
凛とは反対に、彩は落ち着いた声で言う。
「…何?」
「だってそうじゃない。誰かのせいにしなきゃ、自分を守れないなんて」
「…何言ってるの?だってそうでしょ?私は何も」
「“悪くない”?なら何で、直接声に出して『助けて』って言わなかったの?」
「言えば助けてくれたの?…ううん、そんなはずない。あんた達は何を言っても助けてなんてくれない。誰も…」
:12/02/15 23:01
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:2Wja4oSk
#376 [我輩は匿名である]
「そう思ってるのが可哀相だって言ってるの」
彩は強い口調で言い返す。
「勝手に“助けてくれるはずない”とか考えて、自分から心閉ざしちゃってさ。それで『助けてくれなかった』って、都合よすぎじゃん。
じゃあ自分は何かしたの?何もしなかったでしょ?ただ黙っていじめられるだけで、立ち向かう事も、自分の口で助けを求めることもしなかった。
それでこっちが殺されるなんて、本当いい迷惑!」
「うるさい…!」
:12/02/15 23:01
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:2Wja4oSk
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