2年A組
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#75 [我輩は匿名である]
その日の放課後。
新たな事件が起きたことを知り、呆然としながら学校を出ようとする彩と凛の前に、スーツを着た男性2人がやってきた。
「君たちは塩見彩さん、小山凛さんかな?」
突然見知らぬ男に名前を呼ばれ、彩はびくっとして顔を上げる。
「…何ですか?」
「警察だ」
2人はそろって胸ポケットから警察手帳を取り出した。よく見ると、傍に1台のパトカーが停まっている。
:11/10/29 22:17
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#76 [我輩は匿名である]
「署で話を聞きたい。一緒に来てもらえるかな?」
彩は頭が真っ白になった。いったいなぜ警察官が自分のもとに来るのか、全く事情が理解できない。
「どうしてですか!?私、前お話しできることはしましたけど!」
苛立ったように、凛が言い返す。
「前の事は関係ない。今回は特定の人間全員に来てもらっている」
「特定の…?」
という事は、おそらく元2年A組全員という事か。彩はすぐに気づいた。となると、美穂や誠も呼び出されているのだろう。
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#77 [我輩は匿名である]
ここで逆らっても仕方がないし、むしろ怪しまれるかもしれない。もしかしたら、逆に何か情報を得られるかも…。
「わかりました」
彩は潔く、首を縦に振る。
「彩ちゃん!?」
「どうせ、ちょっと話聞かれるだけでしょ?それぐらい構わないよ、私は」
強い眼差しで答える彩を、凛が不安そうに見つめる。
しかし、彩が行って自分が行かないのは引っかかると思ったのか、凛もしぶしぶ「…じゃあ、私も行きます」と頷いた。
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#78 [我輩は匿名である]
警察署に着くと、同時にもう1台パトカーが入ってきた。
「さぁ、降りて」
「はい」
ドアを開けられ、彩と凛は車から降りる。
警察官に連れられて、初めて警察署の中に入った。
人が慌ただしく出入りしていて、全然落ち着かない。
何も考えずについていくと、ドラマで見る取調室のようなところに連れて来られた。
しかし、誰かが使っているらしく、「ちょっと待っててもらえるかな」と待たされてしまった。
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#79 [我輩は匿名である]
「(2Aを一斉に連れてきてるのかもしれないし、そりゃ混雑するよね)」
もっと効率的な方法はなかったのかと思いながら、彩はちらっと警察官を見る。
5分ほどすると、目の前のドアが開いた。
「あ」
中から出てきた生徒に、彩は思わず声を上げた。
「うっちー!」
先に連れて来られていたらしい誠は、彩に呼ばれてこちらへ向かってきた。
:11/10/29 22:19
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#80 [我輩は匿名である]
「お前も呼ばれたのか」
「うん。ねぇ、何聞かれるの?」
誠に尋ねると、すぐに横にいた警察官が意味深な咳払いをした。そう言う事は聞くなと言う意味だろう。
「まぁ、すぐ終わるよ」
「そっか」
「次、君。入りなさい」
警察官に言われ、彩は誠に別れを告げて中に入る。
:11/10/29 22:19
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#81 [我輩は匿名である]
中には記録係らしい男性と、話を聞く役目らしい女性警察官が座っていた。
「(やったぁ、女の人だ)」
てっきり男ばかりの部屋だと思っていたため、いくらかほっとする。
「わざわざごめんなさいね。そこに座って」
女性警察官は少し笑い、手を椅子に向けて彩に腰掛けるよう促す。長い髪を1つに束ね、灰色のスーツをきっちりと着た、そこそこ美人な警察官に、彩は少し見とれる。
「私は南里(なんり)由紀。警視庁の警視です」
「警視庁?」
そんなに凄いところから捜査に来ているのか。彩は驚いて聞き返す。そこまでしているという事は、警察も本気なのだろう。
:11/10/29 22:20
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#82 [我輩は匿名である]
「えぇ。捜査にご協力いただき、感謝します」
「あ、いえ…」
それにしても、きれいな人だなぁ。彩は本題そっちのけで南里を見つめる。
「ところであなた、昨日の夜20時ごろ、どこで何してました?」
南里は早速問いかけてきた。
「昨日は…家にいました」
「それを証明できる方は?」
:11/10/29 22:20
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#83 [我輩は匿名である]
「家族しかいません。…あ、でも人じゃなければありますよ」
彩が付け足して言うと、南里は「どういう事ですか?」と首をかしげた。
「うちのマンション、防犯カメラが付いてるんです。絶対にカメラの前を通らないとマンションの外に出られません」
「…ふふっ、なるほどね」
彩が自信満々に言うと、南里は小さく笑った。
「わかりました。では…今まで殺害された生徒をご存知ですね」
「はい。中学の時、同じクラスでした」
彩はそれから、被害者たちとどのような関係だったか、彼らをどう思っていたかを聞かれ、正直に話した。
:11/10/29 22:21
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#84 [我輩は匿名である]
とはいっても、ほとんど関わりがなく、そこそこ仲良くしていただけの関係だが。
「…犯人、まだ捕まらないんですか?」
答え終えてから、彩は素直に尋ねてみる。
「え、えぇ…」
「テレビで、防犯カメラとかにも映ってないし、全然手がかりがないって言ってましたけど…」
「…ごめんなさい、毎日心配でしょう。早く逮捕できるよう、私たちも全力で犯人を捜してるわ。もしこれから何かあったら、ここに連絡をくれれば、いつでも話を聞きますから」
南里はそう言って、小さな紙に自分の携帯電話番号とメールアドレスを書いて彩に手渡した。
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