2年A組
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#87 [我輩は匿名である]
「…さっき内村誠と話してたわね、あの子」

「そうですね。幼馴染のようです」

「…ふうん…」

南里はじっと、帰っていく彩の背中を見つめていた。

⏰:11/10/29 22:22 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#88 [我輩は匿名である]
「はぁ…疲れたなぁ…」

同じような部屋はもう1つあり、凛はそっちで話を聞かれているようだ。

とりあえずここを出ようと、彩は足早に警察署を出る。

建物を出てすぐの所に、誠が壁にもたれて立っているのが見えた。

「うっちー?」

「あぁ、終わったか」

「もしかして、待っててくれたの?」

「…まぁ…一応…。今1人で帰るのは危ねぇし…」

恥ずかしいのか、誠はそっぽを向きながら答える。

⏰:11/10/29 22:23 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#89 [我輩は匿名である]
ぶっきらぼうだがたまに優しい誠に、思わず彩の顔がほころぶ。

「ありがと。さすがうっちー」

「うるさいな」

2人は並んで歩き出す。幼稚園から一緒の2人は、向かいのマンションに住んでいる。

いつも彩が近所のやんちゃな男の子に泣かされては、誠が追い払っていた。

誠は小学校の時期からあまり笑う子ではなかったため、周り(特に女子)からは“怖い子”と思われがちな誠だが、彩だけはいつも誠と一緒にいた。

⏰:11/10/29 22:24 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#90 [我輩は匿名である]
幼い時の事を思い出して自然と笑顔になっている彩を、誠はボーっと見下ろす。

「…気持ち悪い」

「なっ、何が!?」

「何ニヤニヤしてんだよ。寒気がする」

「ニヤニヤしてないもん!」

「してた」

真顔で押し通され、彩は言い返せず黙る。

⏰:11/10/29 22:24 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#91 [我輩は匿名である]
「ちょっと、小っちゃい時の事とか思い出して」

「どんな事?」

「普通にしてるだけなのに女子から怖がられる誠の事とか」

「…余計なこと思い出すなよ」

「バレンタインデーで、一応顔はまぁまぁだからチョコもらいかけたけど、超怖い誠の顔を見て、渡した子がすぐにチョコ取り返して走って行った事とか」

⏰:11/10/29 22:25 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#92 [我輩は匿名である]
「あ、あれは、全然知らない奴からもらったから『誰?この子』と思ってたら、勝手に『やっぱりいいです!』って、もらったチョコ持って行かれて…。っていうか、何で知ってんだよ」

「だって見てたもん。『うっちー、よかったねぇ』と思いながら」

「母親かお前は」

「へへへ」

「笑うな」

思えば、こうして2人だけで帰るのは久しぶりだ。何だか嬉しくなって、彩は帰るまでずっと笑顔でいた。

⏰:11/10/29 22:25 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#93 [我輩は匿名である]
「よう、そこのエリートお姉さん」

土谷に呼び止められて、南里は足を止める。

「何か?土谷警部」

「容疑者は絞り込めたのかい?今日の“元2年A組”生徒全員の事情聴取」

土谷は腕を組み、南里に問いかける。

南里は振り返り、一息ついてから口を開く。

「まだ何も。とりあえず、事件の日のアリバイと利き腕くらいは」

「利き腕…あ〜あ」

土谷は頭をかきながら南里に近づく。

⏰:11/10/29 22:26 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#94 [我輩は匿名である]
「そういえば最初に殺された事件の容疑者、鑑識から『左利きの可能性が高い』って言われてたな。それも、身長は170〜175cm前後」

「えぇ。元2年A組の女子生徒の身長は、最高でも…167cm。学校から収集した4月の健康診断のデータなので、今も大差ないでしょう。

よって、最初の殺人はこの中の女子生徒によるものではないでしょうね。そして、男子生徒の中で左利きの生徒は」

南里は言いながら、手に持っていた捜査資料の1枚を土谷に見せる。

「内村誠、ただ1人」

そこには、誠の顔写真と彼の詳細な情報が記載されていた。

どこかで聞いた名前だ。土谷は思いながらそれを手に取る。

⏰:11/10/29 22:27 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#95 [我輩は匿名である]
誠の身長は173,2cm。利き腕も左。そこまでは鑑識によって提示された犯人の条件と合致している。

「…こいつのアリバイは?」

「『自宅で寝ていた』との事です」

「22時に就寝か。今のガキにしてはえらく健康的じゃねぇか」

土谷は鼻で笑う。

「次の事件の時も、『自宅にいた』そうです」

「へぇ。それほどあてにならないアリバイはねぇな?南里警視」

「そうですね」

⏰:11/10/29 22:27 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


#96 [我輩は匿名である]
南里は少し笑う。

「それと…3つ目の事件。どう思われます?」

「あ?あぁ、ピストルでやられてたやつか?あれは右利きらしいな。さっき鑑識の奴から聞いた」

「えぇ」

「複数犯…だろうな。今回は今までみたいにナイフ使ってないところ見ると、気が小さい奴がやったんじゃねぇの」

「なぜそう思われます?」

「ナイフじゃ相手の死ぬ感触が手に残る。それに、何発も撃っといて大した場所に当たってなかった。ありゃ殺しに慣れた奴の手口じゃない」

⏰:11/10/29 22:29 📱:PC/0 🆔:IXofk9bg


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