2年A組
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#97 [我輩は匿名である]
「最初の容疑者は、手慣れていると?」
「ま、そういうことになるわな。その内村ってガキがどんな奴なのかは知らんが」
「ごく普通の男の子でしたよ。ちょっと無愛想な真面目男子って感じの。まぁ…まだ外部の人間の可能性もありますし、先入観を持ちすぎるにはまだ早すぎますね」
「へっ、確かにな」
おどけたように笑う土谷を、南里は真剣な目で見つめる。
「…土谷警部。あなたにお願いがあります」
「あん?エリート警視がこんなしょぼいおっさんに何のお願いが?」
:11/10/29 22:29
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:IXofk9bg
#98 [我輩は匿名である]
「私と手を組んでいただきたいんです」
南里の思いもよらない申し出に、土谷は思わずきょとんとする。
「…何でまた?」
「私たちはこの近辺の事に詳しくありません。所轄と警視庁で手を組んだ方が、より動きやすく、容疑者に近づけると思うんです」
「…あんた、変わってるな。警視庁のお偉いさんは皆、所轄を馬鹿にしてる頑固おやじばっかだと思ってたのによ」
:11/10/29 22:30
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:IXofk9bg
#99 [我輩は匿名である]
「…まぁ、そういう人間が多いのは事実ですが」
南里は残念そうに苦笑する。
「いいぜ!その話、乗ってやろう。どこまでもあんたの足になりますよ、お嬢さん」
「ふふっ、足だなんてやめてください。…では、改めてよろしくお願いします」
「こちらこそ」
2人は笑いあい、固く握手した。
:11/10/29 22:30
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:IXofk9bg
#100 [我輩は匿名である]
土曜日。彩はしとしとと雨が降る窓の外を見ながら、携帯電話を片手に話し込んでいた。
「私の所にも来たよ!」
電話からは、春香の元気な声が聞こえてくる。
「『あの日は何していましたか?』とか、そんなのしか聞かれなかったけど」
「やっぱり元2Aはみんな警察に呼ばれたんだね。…あの中に犯人がいるなんて思いたくないけど」
「っていうか、人殺せるような子いなかったよね」
「うーん…」
彩は頷きながら、窓の外の風景に目を止めた。
:11/11/04 16:21
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#101 [我輩は匿名である]
雨の中、傘をさして向かいのマンションから出てきた男性。
「うっちー…?」
ジャケットのポケットに手を入れ、どこかに出かけていく誠の姿を、彩はじっと目で追う。
「彩?内村君がどうかしたの?」
「え、ううん。どっか行くみたいだったからさ。…大丈夫かな」
周りでこのような事件が起きている中、1人で出かけるには危険すぎる。彩は不安そうに、離れていく誠の背中を見つめる。
「彩って、本当内村君好きだよね」
春香のその言葉に、彩は思わずきょとんとする。
:11/11/04 16:22
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:EdsrP/zo
#102 [我輩は匿名である]
「はぁ!?」
「だってそうじゃん。今もじーっと見てるんでしょ?内村君の事」
「みっ、見てないよ!」
「嘘。絶対見てたね、その慌てっぷり」
春香がからかうように笑う。
「内村君のどこがいいの?ほとんど笑わないし、『話しかけるな』ってオーラ出しまくりじゃない?」
「そうでもないよ?そんなオーラ出てるかなぁ」
彩は「うーん」と首をかしげる。
:11/11/04 16:22
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#103 [我輩は匿名である]
「女子はみんな怖いって言ってたよ?たまに『かっこいい』って言ってた子もいたけど」
春香の心の底からの疑問を聞きながら、彩は幼いころの事を思い出した。
:11/11/04 16:22
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#104 [我輩は匿名である]
「うっちー?」
まだ小学校低学年だった頃。あの日も今日のような雨だった。
学校の帰り道、一緒に帰っていた誠が、ふと足を止める。
その視線の先には、道路の端にぽつんとある黒い影。
誠は何も言わず、それに近づいていく。彩もまた、興味津々でついていく。
しかし、それが何なのかわかった時、彩はついてきたことを後悔した。
それは、車に轢かれたらしい子猫の死体だった。
「…かわいそう」
動かない子猫を見て、誠はぽつりとつぶやく。
:11/11/04 16:23
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#105 [我輩は匿名である]
「…そうだね」
悲しそうな誠を見て、彩も目を伏せる。
「…俺、お墓作ってあげる」
少しして誠が言った。彩は驚いた。しかし、すぐに彩も「うん。私も手伝う!」と大きく頷いた。
そんな彩を見て、誠はちょっと嬉しそうに笑った。
今と比べて、幼いころの誠はよく笑っていたと、彩は思う。
彩が誠の傘も手に持ち、誠が濡れないように頑張って2本の傘を支える。誠は小さな体で、重たい子猫の体を抱える。
家の近くの公園の隅に埋めてあげよう。そういう話に決まった。
何歩か進んだとき、背後から声がした。
:11/11/04 16:23
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#106 [我輩は匿名である]
「うわ!きったな〜い!!」
2人はびっくりして振り向く。そこには、他の女子とは違うピンクのランドセルを背負った小松千佳と、彼女に従う女子たちが意地の悪そうな笑みを浮かべて立っていた。
「何あれ?」
「げぇっ!ネコだよ!ネコの死体!内村君と塩見さん、気持ち悪〜」
「ネコが死んでるのの何が気持ち悪いんだよ!」
カッとなったらしく、誠が声を荒げた。同感だった彩も、腹を立てて彼女たちをにらみつける。
「こわっ。行こ行こ!」
「明日みんなに言わなくちゃ!」
そう言って、その女子たちは笑って走り去っていった。
:11/11/04 16:24
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