漆黒の夜に君と。V[BL]
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#255 [ちか]
:11/10/26 01:25
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#256 [ちか]
:11/10/26 01:26
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#257 [ちか]
「"離婚届"ってどういうこと…?」
そう俺に問いかけた瞳の色は、
動揺と怒りを帯びていた。
しまった。
そう悟ったが、時はもう遅い。
あの紙とは毎日のように睨み合いをしていたし、この研究室は俺が居るとき以外誰も立ち入らないことになっていたため、油断してデスクに置きっぱなしになっていた。
こんな時ばかり、
研究に夢中になっているときの身辺のだらしなさに後悔を立てる。
:11/10/26 01:33
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#258 [ちか]
ただ何も言えず、俺は苦々しい顔で優里見つめる。
そんな俺に苛立つように優里は下唇を噛み、俺に歩み寄った。
「ラブラブとか言ったクセに!!離婚届ってもう家庭ハタン(破綻)してんじゃん!!」
そう言って、俺の胸にもう皺だらけになっている紙切れを押し付ける。
睨み付けるその目にはうっすらと涙の膜が張られて見えた。
華奢な手に胸をつかれたところで痛みなど何もないが、怒りが直で伝わってくる。
ムキになることでもないのだが、面倒なことは嫌いだ。
俺は漸く固く閉じていた口を開いた。
「破綻もろくに発音できない子供に夫婦間のことまで口挟まれる義理はないな。」
「話、そらすなっ!!!」
:11/10/26 08:38
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#259 [ちか]
舌打ちでもしたい衝動に駆られる。
「騙してたのかよッ!??」
「人聞きの悪いこと言うな。」
「だってそうだろ?!」
涙の膜は今にも決壊しそうな勢いだ。
揺らぐ水滴を見ていると、言葉に詰まる。
何も言えずにまた見つめていると、優里はか細い声で呟いた。
「………そんなに俺が嫌いかよ…。」
その瞬間、また胸の中で何かが揺らぎ出す。
やがて揺らいだソレが全身を支配していくと、思わぬ言葉が無意識に口をついて出た。
「嫌いじゃない。」
:11/10/26 08:58
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#260 [ちか]
「え……?」
怒りの色をしていた目が驚きに変わる。
そして俺自身も、
自分から出た無意識の言葉に動揺を隠せない。
「や、…あ、いやこれは……」
言葉にならない言葉が頭の中でグルグルと回っているうちに、胸に当て付けられていた手がそのシャツを掴み、震えだした。
「……それって、」
「違う。」
何を言われるかは分かっている。
だからこそ、遮るように否定した。
:11/10/26 10:46
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#261 [ちか]
「違わないだろっ…あんた、俺のこと…!!」
「違う…っ!!」
好きなんかじゃない。
そんなはずない。
再度遮るように口を挟むと、優里はキッと俺を睨み付けた。
しかしそれはすぐにそらされる。
そしてその顔がみるみるうちに赤くなっていった。
「だって、昨日だって…俺に、キ、キス…して…」
:11/10/26 10:50
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#262 [ちか]
俺は頭の中で思い出した昨日を後悔しながら、ため息をつく。
「あれはただの勢いだ。だいたい14も下の、しかも男に本気でそんな感情持つわけ……、」
本気でそんな感情持つわけない。
そう言おうとしたが、噛みつくように優里が俺の話を割いた。
「じゃあ14も下の男に勢いでキス出来んのかよ?!」
「それはっ…」
思わず、また否定の言葉が口をつく。
それは、違う。
そんな言葉を言いかけて飲み込むと、優里は不服そうな顔で俺を見上げた。
「…俺は、あんたのためならなんでも出来る。」
:11/10/26 13:06
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:7b8hSSCs
#263 [ちか]
「あんたが本気になってくれるなら、俺はなんでもする…」
そう言って下唇を噛み締める姿に、胸の奥が揺れた。
その瞬間、
また昔の自分がフラッシュバックする。
今のコイツの言葉、あの日の俺にそっくりだ。
:11/10/26 14:59
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#264 [ちか]
まだ研修医だった頃の俺に。
───────────………
そうあれは、俺があいつと出会って、もうすぐ二度目の春を迎える頃だった。
「な、なに言ってんの先生?病人からかわないでよー!あははは…」
あの日、あいつはそうやって俺の告白を受け流した。
まるで俺が優里にそうしたように。
「からかってない。本当にはあんたが好きなんだ。」
そして俺もまた優里がそうしたようにそれを真剣に繰り返して伝えていた。
:11/10/26 15:18
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