漆黒の夜に君と。V[BL]
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#357 [ちか]
暫くして寝息が聞こえ、安心する。
長い睫毛には少年のあどけなさが残っていた。
もう外はいよいよ夜が明けはじめていた。
握っている手にそっと目を落とす。
そして力を込めた。
「気持ちに応える前に、俺もそれなりにケジメつけないとな。」
―――――――…………
―――――………
―――………
:11/11/05 09:09
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#358 [ちか]
夜が明けて朝になり、
握っていた手をそっと離した。
こいつは手術頑張るんだから、俺も仕事を疎かにするわけにはいかない。
「よしっ」
気合いを入れるように声を出し、研究室に戻った。
―――――――――――――――
―――――――――――――――
「先生、さっきからずっと時計見てますけど何か用事でも?」
「あ、いや、まぁ…」
敢えて手術の時間は聞かなかった。
聞いてしまうときっとその時間には病院に戻ってしまうから。
「もう少しで終わるので間に合えばいいですね。」
「…はい」
もう少し、か。
カチカチと一定に時を刻む時計に神経が奪われていった。
:11/11/05 09:22
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#359 [ちか]
俺も意志が弱いっつーかなんつーか…
疎かにはしてないが
集中出来てるわけでもない。
もう何度時計と睨み合っただろう。
知らぬ間に一日の3分の2が過ぎていた。
………―――「では、以上を以てちまして、研究経過発表を終わります。」
そんな言葉と共に締め括られた一日に俺は安堵の息を漏らす。
無事発表も済んだし、このまま病院に直帰だ。
そう思い乱雑な音をたてて席を立った瞬間、ポケットの中で鳴る機械音。
:11/11/05 11:37
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#360 [ちか]
発信元が見知らぬ番号なことに怪訝な顔を浮かべながら、通話ボタンを押した。
「もしもし…」
「あ、先生?!わたしです!ナースステーションからかけているんですが、急ですいません!!」
聞き覚えのある声にいつもの看護婦の顔が浮かぶ。
一体、俺の番号を誰から聞いたのだろうか。
……こんなに焦り電話をかけてくるなんて。
嫌な予感がした。
「どうかしたんですか…?」
そしてこんな時の俺の勘は、
「優里がっ…――」
よく当たる。
:11/11/05 11:46
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#361 [ちか]
病院に着くと真っ先に電話をくれた看護婦が俺を出迎えていた。
「優里に…ッ、優里に何かあったんですか?!」
「…………。」
黙り混む看護婦の肩を力任せに揺さぶった。
取り乱して力の加減も満足に出来ない。
看護婦は揺さぶられたことで我に返ったように口を開く。
「…しゅ、手術は上手くいったんですっ…、でも…」
「でも、なに?!」
もう限界だ。
焦らさず一気に言ってくれよ。
頼むからっ…――
「昏睡状態のまま目が覚めないんです…」
しかし
突きつけられた現実は
拒みたくなるほど冷たかった。
:11/11/05 18:51
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:uD4Ooo.M
#362 [ちか]
看護婦に案内を受けて急いで優里の居る集中治療室に入る。
そこにはところ狭しと並ぶ精密機器に囲まれた優里の姿があった。
周りには数人の医者と看護婦。
「優里…―っ!!」
触れることも出来ないその名前を何度も呼ぶ。
届くはずもないのに。
「優里、起きろよ!!約束しただろ!?なぁ…優里…―ッ!!」
「先生、少し落ち着いて…っ」
「落ち着けるわけないだろ?!?!」
怒鳴ってどうにかなるわけでもないのに、それでも何かに当たらずにはいられなかった。
:11/11/06 00:15
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:Onz7Ylgk
#363 [ちか]
「こんなことになるなら…――っ」
こんなことになるならもっと早くに
動けばよかった。
後悔ばかりが押し寄せてくる。
悔しさで唇を噛むと、口内でじんわりと血の味がした。
「…なんで俺は…ッ、俺はッ…!!」
今さらこいつが好きだったなんて気づいてももう遅いのに。
「いつも…―――、」
なぜ俺はいつも、
大事なモノばかり
失くしてから気づくのだろうか。
:11/11/06 00:58
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:Onz7Ylgk
#364 [ちか]
取り乱す俺を見て周りの人間は何を思うのだろう。
いや、今はそんなことどうでもいい。
今はそう、
せめて今だけは、
「…俺も此処、居ていいですか…。」
コイツの傍に居たい。
もう一度、
アイツが目を覚ますことを祈って。
……………────────────
………──────────
……─────
:11/11/06 01:02
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:Onz7Ylgk
#365 [ちか]
― 優里side.―
夢を見た。
暗い暗い、
夜みたいな空間の中で
聞き覚えのある声に
何度も名前を呼ばれた。
そんな夢を。…───
.
:11/11/06 01:05
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:Onz7Ylgk
#366 [ちか]
まるで四次元みたいな其処は
光どころか物体なんて何一つなくて
ただ俺は一人、
必死に声のする方を探している。
でも、
どうしても分からない。
どこから聞こえて、
誰が呼んでいるのか。
:11/11/06 01:07
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:Onz7Ylgk
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