漆黒の夜に君と。V[BL]
最新 最初 全 
#367 [ちか]
座り込み目を閉じると、
もうそこが暗いのかどうかも分からなくなった。
ああ、
俺もう死ぬんだ。
直感的にそう感じ取って
諦めるような乾いた笑いさえ零れる。
約束、守れなかったなぁ
なんて思いながら。
────……あれ、
約束なんて、誰としたっけ…?
:11/11/06 01:11
:Android
:Onz7Ylgk
#368 [ちか]
その瞬間、
また声が聞こえた。
─────……約束しただろ?!
どこから聞こえてくるのか全く分からないのに、耳はその声をしっかり捉える。
約束…───。
─────……優里っ…!!
この声…───。
そうだ、
俺、神崎と約束したんだ。
生きるって……───ッ
:11/11/06 01:15
:Android
:Onz7Ylgk
#369 [ちか]
思い出した瞬間、
目の前に一筋、光が見えた。
自然と足がその方向に進んでいく。
どこまで続くのか分からないが、その光は暗い足元をしっかりと照らしてくれた。
…──まるで俺を導くように。
俺は走った。
ただひたすら、その先の何かを信じて走り続けた。
途中何度も諦めそうになったけど
その度にあの声が聞こえて。
そう、あれはきっと、
神崎の声。……──────
そしてその光の果てに着いた時、
光が俺を包み込んだんだ。
:11/11/06 01:21
:Android
:Onz7Ylgk
#370 [ちか]
「ん…───、」
はじめに目に入ったのは
大きくて筋張った手だった。
意識が朦朧とする中、
それを辿るとその先には
クマだらけの目を見開く、
俺の大好きな人。
「か………ん…ざ…き………?」
気づけば名前を呼んでいた。
:11/11/06 01:27
:Android
:Onz7Ylgk
#371 [ちか]
「ゆ……う、り……、」
ああ、そうだ。
この声だ。
神崎の取り乱したような声。
聞くのは初めて会ったあの時と、
夢の中でたしか二回目。
クマ、あの日より濃くなってんじゃん。
そう思うと、自然に笑いが零れた。
何故だか涙みたいな滴も一粒零れながら。
:11/11/06 18:51
:Android
:Onz7Ylgk
#372 [ちか]
装着された酸素マスクが邪魔で声が籠り、話しにくい。
意識もしっかりとするまでもう暫くかかりそうだ。
少ししてたくさんの医者や看護婦が入ってきた。
医者達は驚いた顔で俺を見る。
俺の心拍数や容態を色々調べた後、
漸く酸素マスクが外され口が聞けるようになった。
:11/11/06 21:11
:Android
:Onz7Ylgk
#373 [ちか]
その間もただ神崎は俺を見つめていた。
まるで俺が起きたのが夢を見てるんじゃないか、なんて疑っているような顔で。
とりあえず、今はもう落ち着いているから安静にと一声かけてまた医者達は部屋を出ていった。
再び、部屋の中は俺と神崎の二人。
「神…崎、俺、約束守ったよ。」
そう言って笑って見せると、
その顔はますます複雑になった。
そして、
「ふ……っざけんな!!!!!」
いきなり怒鳴られた。
:11/11/06 21:17
:Android
:Onz7Ylgk
#374 [ちか]
なんで怒鳴られてるのか。
そんなにも泣きそうな顔で。
言葉の意図がさっぱり分からず、目を白黒させていると、神崎は吐き出すように言った。
「四日間…っ、四日間だ、お前が昏睡状態から目が覚めるまで……ッ」
.
:11/11/06 21:25
:Android
:Onz7Ylgk
#375 [ちか]
「え…」
気づかないうちに俺はそんなに眠っていたのか。
信じられずにまだ何も言えない俺はただ神崎を見た。
神崎の表情が切なくなっていく。
この人はそういう人なんだ。
照れる時、悲しい時、すぐ怒って誤魔化す。
表情と裏腹な態度で。
神崎は力が抜けたようにベッドの脇にしゃがみこんだ。
「心配させやがって…。」
「…ごめん。」
なんだかその顔を見ていると、俺まで胸がぎゅっと苦しくなった。
:11/11/06 21:31
:Android
:Onz7Ylgk
#376 [ちか]
口調からは考えられないほど優しく、神崎は俺の髪を撫でる。
そんな神崎を見上げる俺。
無意識に言葉が零れる。
「もしかしてずっと傍に居てくれてた…?だからそんなクマだらけで…」
そう言って神崎の顔にそっと触れると、すぐに顔が赤らんだ。
「うるせ…。」
照れる神崎が珍しくて、無償に愛しく思えた。
:11/11/06 21:40
:Android
:Onz7Ylgk
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194