漆黒の夜に君と。V[BL]
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#101 [ちか]
しかし動こうにも、体がそれを許さない。

足は地面から離れないし、まともに目を開くことも叫ぶことも出来なかった。


死ぬかも知れない。


そう思ったその瞬間。

「危ないっ!!!」

⏰:11/10/14 17:48 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#102 [ちか]
そんな声が聞こえた時にはもう何か分からない浮遊感を感じていた。


その直後に身体中に痛みが走る。

どうやらアスファルトに叩きつけられたようだ。


俺…死んだのか?

しかし確かに痛みはある。
死んでも痛みって感じるのだろうか。

そんなことを意識が途切れそうになりながら思う。

それにしても体が重い…

「って〜…、危ないだろうが!!お前目ついてんのか?!どう見ても赤だろ!!」

え?

⏰:11/10/14 17:54 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#103 [ちか]
よく見ると、俺の上に男が覆い被さっている。
俺助けられたのか。


ていうかこの声、さっきの…


「聞こえてんのか?!おい!!」


あー、ダメだ

「ちょ、お前、顔真っ青だぞ!?おい、しっかりしろよ!!」

もう、

「安心しろ、俺は医者だ…――っ!!」


無理。

⏰:11/10/14 18:26 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#104 [ちか]
そこで意識は途切れた。


ただなぜか頭に鮮明に残っている。





その男の顔と声が。

⏰:11/10/14 19:16 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#105 [ちか]
目が覚めると、見覚えのある天井があった。


隣には…――



「あ、起きた!もう、いい加減にしてください!!」


いつもの外人看護婦。

⏰:11/10/14 19:42 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#106 [ちか]
「そりゃそうか。」


何を考えてたんだ、俺。

思わず乾いた笑いが零れた。

「なんですか?!ちゃんと話聞いて…っ」

「聞いてる、聞いてる。」

適当に相づちを打ったが、看護婦は納得できない様子でまだ怒っている。


それにしても、
隣にそいつが居たからってどうするつもりだったのか。
何に一瞬期待したのか。

その時はさっぱり分からなかった。

⏰:11/10/14 19:49 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#107 [ちか]
だけど、

「そう言えば…」

看護婦の言ったその一言は


「さっき君を運んできてくれた方、」


俺の心臓をドクンと跳ねさせた。


「病院(ウチ)に日本から研究で来たお医者さんみたいで今、隣の病棟に…って、ちょっと!!!!」

そして最後まで聞くまでに走り出していた。

⏰:11/10/14 20:08 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#108 [ちか]
もう看護婦の制止なんて聞こえなかった。


ただ長い廊下を走って、

走って

走って。

息が切れそうになった頃、

「居た…。」

やっと見つけたそいつの姿を見た瞬間、分かったんだ。

これは恋だって。

⏰:11/10/14 20:17 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#109 [ちか]
だから


「だからこれは恋なんだ。」


それから毎日毎日こうやって、
気持ちを伝えに来ている。

なのになんでこの男はそれを、

「安心しろそれは恋じゃない、それは気のせいだ。」

はぐらかすんだ。

⏰:11/10/14 20:38 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#110 [ちか]
― 陽平side. ―

ヒトメボレ…。


まさかこの歳になって、
そんな言葉を聞かされるとは。




「安心しろそれは恋じゃない、気のせいだ。」

はやく正気に戻してやらないと。

⏰:11/10/14 20:49 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#111 [ちか]
しかし俺のそんな努力はむなしく、さらにこいつの神経を逆なでするだけだったようだ。

「だから違うっつってんだろーが!!!何回言ったら分かんだよ、このバカ医者!」

それが好きな相手に言う言葉なのか。
思わず顔がひきつりそうになる。

まったく、この手のタイプは正直かなり苦手だ。

「いいからとっとと帰れ。俺は研究の続きがしたいんだ。」

できれば極力関わりたくない。

⏰:11/10/14 20:55 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#112 [ちか]
「だから返事くれるまで帰らないって…」

押し問答になりかけていたその時、研究室のドアが開いた。

「すいません、うちの患者がまた来てしまって!」


助かった。
ちょうど看護婦のお迎えだ。


溜め息が安堵の息に変わる。

⏰:11/10/14 21:02 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#113 [ちか]
「いやだ、離せよ!!」

「いいから来なさい!!」

そんな会話と共に、嵐のようなソレは去っていった。

再びドアがバタンと閉まる。


「…はぁ。」

あれが理由なら、助けなければ良かった。

そう思うのは医者として最低だろうか。

そんなことを思いながら、
煙草に火をつけた。

⏰:11/10/14 22:25 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#114 [ちか]
肺に煙が入ってくる感覚が、
心地良い。


もう一度吸い、そして吐く。

濁った白煙が浮かんで消えた。

暫くソレを味わったあと、
散らかった机の上からおもむろに一枚の紙を取り出した。

“離婚届”
そう記されたその紙には、すでに片方の枠に名前が記入されている。

「俺はもう誰も好きになれないんだよ。」

その紙を眺めて、独り言のように呟いた。

………――――――
……―――――
…―――

⏰:11/10/14 23:26 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#115 [ちか]
*

一区切りついたので
今日の更新はここまでにします

読んでくださってる方が居るのか不安です、、(;_;)
第十一話はずっと温めてきたお話なので、ぜひ楽しみにしていてください!

よければ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4220/
来てください!!

では、おやすみなさい(*^^*)

*

⏰:11/10/14 23:32 📱:Android 🆔:0c0hhoR2


#116 [ちか]
― 優里side. ―

むかつく。


むかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつく!!!!!


「なんで分かんねえんだよ、あのバカヤロー!!」


「廊下では静かに!!」

「うるせー!!」

黒羽優里(16)、
ただいま病室に強制送還中。

⏰:11/10/15 08:35 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#117 [ちか]
「今日こそ返事聞くつもりだったのに邪魔しに来んなよ。」

ギロリと俺は看護婦を睨んだ。
しかし、さすがは長年俺の担当をしているだけある。そんな睨みに怯む様子は一切ない。

むしろ、

「あなたが先生の研究邪魔してるでしょうが。」

なんて揚げ足を拾ってくるくらい。

⏰:11/10/15 12:54 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#118 [ちか]
「うっせ。」


これ以上揚げ足を拾われるのも気分が悪いから、反抗は控え目にしておく。

そんな調節も、この歳になって多少するようになった。

そんなことより問題は、

あいつが“返事”をくれないこと。

⏰:11/10/15 12:56 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#119 [ちか]
気のせいだの、からかうなだの、そんなことの一点張りで、“コレ”と言える決め手をあいつは一度も言ってきたことがない。


「振るなら振ればいいのに。」

思わず心の中の声が漏れてしまった。

慌てて片手で口を塞いだが、もうすでに遅い。
看護婦の耳にはしっかりと届いていたみたいだ。

「それが先生の優しさなんじゃない。」

看護婦は特に興味もなさそうに呟くが、それは俺にとって受け入れたくない言葉だった。

優しさ。

そんなもの、俺には同情にしか聞こえない。

⏰:11/10/15 13:03 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#120 [ちか]
イライラする。

まさにあの曖昧な返事があいつの優しさだと言うなら、俺はそんなの…―――

ちょうど検査室の前に到着し、
看護婦は去り際に忠告のような雰囲気で口を開いた。



「まぁ、でもあんまり困らせちゃだめよ。あの先生、ご結婚されてるらしいから。」

⏰:11/10/15 13:11 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#121 [ちか]
「え…」

結婚…――

頭の中でグルグルとその単語が回る。

「そういうことだから、面白半分でからかっちゃだめよ。」


捨て台詞のようにそう釘を刺して、看護婦は去っていった。

「結婚…」

口に出してみると、余計に胸が痛んだ。
―――……………
――…………
―………

⏰:11/10/15 13:58 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#122 [ちか]
― 陽平side. ―

「ご結婚されてるのに研究のためにカナダへ、なんて奥様は反対されなかったんですか?」

どこから漏れたのか、
交流がてら一緒に昼食をとっていた医者らにふいにそんなことを聞かれた。


「……ええ、まぁ。」


俺は曖昧な相槌を打つ。

反対どころかむしろ離婚届まで押し付けられた、なんてなかなか言えたもんじゃない。

⏰:11/10/15 14:16 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#123 [ちか]
「いい奥さんですねー!僕もそんな相手と結婚したいなぁ。」

「あは…ははは…」

「やっぱり先生みたいに優秀で外見もカッコいいと、奥さんも素敵なんですね!」

「いや、そんな……、あはは…」

勝手に盛り上がるのは結構だが、
残念ながら俺はそんな円満な結婚生活を送った覚えがない。


まぁ、
すべて俺が悪いんだが。

⏰:11/10/15 14:52 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#124 [ちか]
離婚届を渡されたのは、日本を発つ前日の夜だった。
…………―――――
………――――
……―――

「離婚?」

それはまさに不意討ち、という言葉が丁度合うようなタイミングだった。

「…そう、別れてほしいの。」

荷造りも終えてソファで一息ついていた矢先の申し出に俺は驚いた。

吸いかけの煙草を灰皿に押し付ける。

「向こう(カナダ)に行くのが原因か?」

頭の中は酷く混乱しているはずなのに、そのトーンは至って冷静な自分に少し驚く。

⏰:11/10/15 15:12 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#125 [ちか]
もともと妻は、旦那に頼るようなタイプではなく、自立心の高い性格だったから、

「そんなんじゃないわ。」

この質問が的外れだと言うことは分かっていた。

“なんで”
その言葉が出てこなかった代わりに、そんな質問を投げてしまったのだ。

妻は、呆れたように笑った。
色目無しにそんな妻は美しいと思う。

「…そんなんじゃないのよ。もう、私達潮時だと思ったの。」

潮時…―――

たしかにそうかも知れない
なんて納得してしまったのは、やっぱり俺が妻を愛していなかったからだろうか。

⏰:11/10/15 15:26 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#126 [ちか]
「それにね、私好きな人が出来たの。……あなたと違って、私のことをちゃんと見てくれる人よ。」

そこまで聞いてやっと、妻の言いたいことが分かった。

一瞬目を見開いて驚いたが、徐々にその事実が体に溶け込んでくる。

ああ、そうか。
お前は気づいてたんだな。


もう遅いかも知れないが、俺は、お前のそういうハッキリしたところ、好きだったよ。

内心でそう呟きながら、潰れた吸殻に目を向ける。

⏰:11/10/15 23:01 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#127 [ちか]
「でもね、」

顔は見えないが、その声は涙を堪えているように震えていた。

見上げることが出来ない。
いや、今思えば、どんな顔で妻を見たら良いのか分からなかった、と言った方が正しかったかも知れない。

「あたし、あなたのこと好きだったのよ。父が院長、そしてあなたの上司で、こうやって結婚したけど、そんなことが無くてもあたしは…、」

ごめん。

「本当に愛してた。」

ごめん。

「あなたは、あたしのこと一度でも愛してくれたことあった…?」

そんなことをわざわざお前の口から言わせて、
本当に……ごめん。

⏰:11/10/15 23:12 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#128 [ちか]
結局それ以上俺は何も言えなかった。

すまない、と言えばそれはさらに妻を傷つけると思ったから。
それ以上、何も言えなかったんだ。


自業自得だ。

俺が、

向き合わなかったから、
これはきっと当然の報いだったんだ。

だけど俺は、

⏰:11/10/15 23:24 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#129 [ちか]
カナダ(こっち)に来た今も、
俺は離婚届(コレ)に自分の名前を書けずにいる。

あの約束が

どうしてもひっかかって。


目を閉じれば、
今でも色褪せることなく頭の中で甦る。

『先生はちゃんと素敵な人と幸せになって。』

その言葉と精一杯の笑顔が。

⏰:11/10/15 23:29 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#130 [ちか]
そういう経緯で、
今俺は妻と別居状態にある。

もともと妻の父がうちの病院の院長で、俺はそのお気に入り。

紹介したのが院長本人なだけあって、院長は、形式上男を作って出ていった娘が後ろめたいのか、執拗に俺を優遇してくれた。


おかげさまで、
カナダでの研究費用もタダ。

ありがたいっちゃ、ありがたいが、
それはそれで荷が重い。

⏰:11/10/15 23:37 📱:Android 🆔:GBumr9Qk


#131 [ちか]
そんな矢先、
研究で世話になっている病院の患者にいきなり告白された。



それも、
14歳も年下の。




しかも、
「男」に。

⏰:11/10/15 23:55 📱:PC/0 🆔:O7q2J.UE


#132 [ちか]
好きだと宣言されてから一週間、そいつはうちの研究室に毎日来てはヒトメボレだの恋だのほざきにきやがる。

まったく、うんざりだ。


もちろん、告白が2日3日と続いた頃、上の人間に助けを求めた。

男に告白されて研究が進まない、どうにかしてくれと。

⏰:11/10/16 00:58 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#133 [ちか]
しかし、返ってきた返事は俺の期待をあっさりと裏切った。
―――――…………
―――…………
――……

「いやー、どうにかしてやりたいのは山々なんだが、彼はうちの病院でも大事な患者で…」

「大事な患者?!なんですか、それ!!」

「だから…、その、つまりだな、うちに毎年寄付を…してくださる企業のご子息様なんだよ…。」


俺はその言いにくそうにする外科部長を見ながら悟った。
金貰ってる分、手荒な扱いが出来ないってわけか。

俺は諦めきれない気持ちを溜め息にして吐き出した。

⏰:11/10/16 01:30 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#134 [ちか]
そんな俺を見て、外科部長も苦笑い。

「まぁ、一時の気の迷いというやつだろ。彼はもうすぐ大きな手術があるからな。それが終わるまで、刺激しないように適度に相手してやってくれよ。」

「は、はい……。」
―――――……………
――――…………
――…………

そんな風に頼まれると俺も一室を借りて研究させてもらってる身である以上、さらにまくし立てて苦情を言うことは出来なかった。

「まったく神様っつーのは、意地悪なんだな…。」

心の声もここまで来ると、吐かずにはいられない。

⏰:11/10/16 01:40 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#135 [ちか]
外科部長からも適度に相手してやってくれと言われてるから、それ以来邪険に扱うことも出来ず。

心臓を患ってるみたいだから、万が一ショックで発作…なんてことがないように、遠回しに諭している。

これが一番良い方法だろう。

って…

「これじゃまるで、俺がガキの告白に本気になってるみたいじゃねえか!!!」

⏰:11/10/16 09:30 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#136 [ちか]
「あ…」

イライラしすぎて、怒気の混ざった声が感情に勢いを任せて出てしまった。
思わず、頭を乱雑に掻く。

今は結婚願望の強い同僚達との昼食を終え、俺は中庭の隅で一人、一服中なのだが。

「あれ?」

もうハコが空だ。
中身の無いそれはまるで自分のようで。
力任せにソレを握り潰した。

「医者がヘビーなんて説得力ねえな。」

そう呟いて、最後の一本を大事に味わった。

⏰:11/10/16 09:33 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#137 [ちか]
( げ。)


消灯時間も過ぎた頃、
用事があって隣の病棟に来た。

隣の病棟とは

「『げ、会っちまった』みたいな顔してんじゃねーよ。」


あのガキの城。

⏰:11/10/16 10:08 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#138 [ちか]
ナースステーションに寄る際、必ず前を通るこの共同区画スペース。


消灯時間も過ぎていたので特に警戒もせずに来てしまったが、忘れていた。

「なんでウチに来てんだよ。」

ここはヤツにとって、無法地帯なんだということを。


区画スペースのソファに我が物顔で座り、何やら本読んでいたようだ。
カバーがかけられていて、その中身までは分からないが。

しかし、

⏰:11/10/16 10:16 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#139 [ちか]
相変わらず目付き悪いな。

でもちゃんと見れば、
顔も綺麗で可愛いし、
喋りさえしなけりゃモテるだろうに。
見た目は少し派手だが。


って!!


だから、
なんで俺がコイツをそういう目で見てるんだよ!?!?

その気?!
その気なのか?!俺!!

いや、違う!
俺はゲイじゃない!!
断じてゲイなんなじゃない!!

「なに一人で悶えてんだよ、気持ちわり。」

「え?」

あ、俺心の声になってなかった?

⏰:11/10/16 10:21 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#140 [ちか]
俺は咳払いをして、混乱していた頭を落ち着かせる。

「お前には関係ない。ていうか、消灯時間とっくに過ぎてんぞ。はよ寝れ。」

至って自然に。
且つ、突き放すような口調を心がけて。

「……………り。」

「は?」

「お前じゃねえ、優里だっつってんだよ!!」

こいつはそんな俺の配慮なんて関係ないみたいだ。

⏰:11/10/16 11:52 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#141 [ちか]
「名前くらい知ってる。」

敢えて呼ばなかっただけだ。

「………///」

なのになんでこいつは

「………知ってるなら、最初から名前で呼べ…。//」


それだけでこんな顔するんだ。

⏰:11/10/16 11:55 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#142 [ちか]
こいつと喋ってると調子が狂う。
だからあんまり関わりたくないんだ。


「はいはい、優里くん。」

「くん付けとかキモい。」

イラッ

オジサン、キモいって言われるとけっこう気づつくんだけど。

⏰:11/10/16 11:58 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#143 [ちか]
少し苛立った俺は、
これ以上ここに長居する必要もないと思い、ナースステーションの方へ再び足を向けた。

「……あ、あのっ、」

「なに。」


そんな俺の右手を咄嗟に掴む優里クン。

意味がわからない。

⏰:11/10/16 12:26 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#144 [ちか]
なかなか口を開かないそいつに苛立ちは募るばかり。

そもそも俺はそんな我慢強い人間じゃないんだよ。

離せと口には出さずに、振り払うように手を引いた。
しかしその手は掴まれたまま。

痺れを切らして、口を開く。

「用事無いなら離し…、」

「結婚…!!…してるってホントなんけ…?」

⏰:11/10/16 12:41 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#145 [ちか]
※訂正

>>139
なんなじゃない→×
なんかじゃない→○

>>142
気づつく→×
傷つく →○

>>144
ホントなんけ→×
ホントなわけ→○

すいませんm(__)m

⏰:11/10/16 13:23 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#146 [ちか]
ああ、もうこいつの耳にも入ってたのか。

そんなことをまるで他人事のように思った。

振り向くと頭一個分くらい下に顔がある。
目はやっぱり本気っぽい。

身長差のせいで自然と見下ろす側と見上げる側に役割は分担されるわけだが、このアングルで見ると心なしかガキ臭い顔も一瞬可愛く見えた。

医者にとって子供の患者とはそういうものだ。
そういうものなんだ、きっと。

頭の隅で蠢くモヤモヤした感情を消し去るように、自分へ言い聞かせる。
そして、
突き放す。

⏰:11/10/16 14:06 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#147 [ちか]
「ああ、そうだ。」

いい機会じゃないか。

既婚者の男相手じゃ、さすがに暇潰しにもならないだろう。

さっさとこんなお遊びはやめさせるべきだ。

俺が肯定すると、みるみる優里クンの表情(カオ)は複雑になっていった。
そして不安な目で俺を覗きこむ。

「…う、上手くいってるのか…?」


早く正気戻してやらないと。
たとえ嘘をついてでも。

「そりゃもう、ラブラブ。」

嘘をついてでも。

⏰:11/10/16 14:23 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#148 [ちか]
ピリリリリリ..ピリリリリリ..


ちょうどその時、白衣のポケットの中で電子音が鳴った。
ポケットから携帯を掴み出し、ディスプレイを見る。

「…お、ちょうど嫁からだ。」

「…………。」

通話ボタンを押す際にチラリと見えた表情は俺の目に悲しげに映った。
捕まれていた手はいつの間にか自由になっている。

これでいい。これでいいんだ。

「もしもし、おー、マイハニー。そっちは朝?そうか、そうか。うんうん、俺も会いたいよー」

俺はそのままそいつから離れるようにして足早にそこを出た。
―――――………
―――………

⏰:11/10/16 14:42 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#149 [ちか]
― 優里side. ―

ああ、そうだ。


そりゃもう、ラブラブ。





あいつの言った言葉が何度も何度も頭をループする。

⏰:11/10/16 14:56 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


#150 [ちか]
俺は去っていく後ろ姿を追いかけることすら出来なかった。

「やっぱりしてたんだ…」

結婚。…――



昼より胸の締め付けは一層強くなった。

だって
愛し合っている人が居るってことは、
入り込む隙間がないってことで。

兄貴と冥のように。

⏰:11/10/16 15:32 📱:Android 🆔:5cqVBQH2


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