漆黒の夜に君と。V[BL]
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#151 [ちか]
兄貴は兄貴。
冥は良い奴。
そんなことは分かってはいるものの、やっぱり大好きだった人を奪われるのは少しトラウマだった。
相手がいる人間を素直に好きでいることは、それだけ俺にとって難しいことだった。
:11/10/17 08:14
:Android
:PYlVZMCg
#152 [ちか]
「何してるの?」
呆然と立ち尽くす俺に背後から誰かが声を掛けてきた。
「あ?」
俺に声をかけてくる奴が居るなんて珍しいな。
新人か?
警戒心全開の顔で振り向くと、そこに立っていたのは金髪の男。
「君、ユーリくんだよね。」
俺とは違って天然のブロンドヘアを持ったその男はたしか見覚えがあった。
:11/10/17 08:19
:Android
:PYlVZMCg
#153 [ちか]
ああ、そうだ
コイツたしか‥
「俺の向かいの病室の、」
「ケン。―って言うんだ。」
俺相手ににっこり微笑むなんてますます珍しい。
ケン。
たしかにそんな名前だった。
スラッとした長身で外人特有の髪色と目、どっかのモデルなんじゃないかと思うほどその顔は外人という枠を省いても整っていた。
:11/10/17 08:26
:Android
:PYlVZMCg
#154 [ちか]
「なんか用?」
いつからなのか、患者同士で馴れ合うなんてことはしたくなくて敢えて頑なな態度で接するクセがついてしまった。
大抵の人間はそれ以上俺に関わってこない。
「いや、別に?でも俺、前から君と話してみたかったんだ。」
…はずなんだけど。
:11/10/17 12:41
:Android
:PYlVZMCg
#155 [ちか]
「隣いい?」
ケンと名乗るそいつはそう言って俺の隣にあったソファに腰をおろした。
「良いとか言ってないし。」
そう返しつつ、俺もソファに腰かける。
いつもならそんなことしないのに。
今日は一人になりたくなくて、つい…
「あのさ、」
つい口を開いてしまった。
「好きな人に好きな人が居たら、どうする?」…―――
:11/10/17 12:50
:Android
:PYlVZMCg
#156 [ちか]
― 陽平side. ―
もうここまで来れば俺の声も聞こえないだろう。
足を止めたのはもと居た七階と八階を繋ぐ階段の踊り場。
安堵の息を漏らす暇もなく、受話器から声が聞こえた。
『なにがマイハニーよ、悪いものでも食べたの?』
「相変わらずだな」
電話の主は妻で、ざっくりと切り込んでくるような口調は相変わらずだとふいに笑いが出た。
:11/10/17 16:18
:Android
:PYlVZMCg
#157 [ちか]
そんな俺とは対称に、至って真面目に淡々と話す妻。
『そんなことより離婚届、まだ届かないんだけど。』
やっぱりその電話か。
予想はしていた。
わざわざ浮気までして別れた夫に電話なんて、はじめから目的が限られている。
「ごめん、まだ書けてない。」
俺がそう返すと電話ごしでその口調から、妻は怪訝な顔が思い浮かんだ。
『それは大切な人との約束ってやつが原因?』
「勘が鋭い妻を持つといろいろキツいな。」
いつだったか一度だけした夫婦喧嘩の中で、あの約束の話をしたがさすがに覚えているとは思っていなかったから、痛いところをつかれたと声が弱った。
:11/10/17 16:26
:Android
:PYlVZMCg
#158 [ちか]
「ああ。その通りだ。」
――――………
―――……
喧嘩の原因は1つのアクセサリーだった。
「これなに?」
そう言って妻が突きつけてきたのは引き出しの名かにしまっていたはずの古いデザインをしたネックレス。
「お前、ヒトの引き出しを…」
「掃除のときにたまたまよ。あなたの仕事で使う書類が出しっぱなしになってたからしまおうと思ってあけたの。そしたら、その中にコレがあった。」
突きつけられたネックレスは紛れもなく俺のもので、俺は言い訳する気にもなれず頷いた。
「それは大切な人の形見だ。返せ。」
:11/10/17 16:44
:Android
:PYlVZMCg
#159 [なあ
]
一気によみました
読んでたら濡れちゃいました//
頑張ってください
この小説すごいすきです

:11/10/17 18:26
:P02B
:6UhE0Yw.
#160 [ちか]
>>159 なあさま.
十話のところのことですかね(*^^*)笑
ありがとうございます、頑張ります!
感想板に各キャラクターのプロフィール貼ってあるので、よかったら感想板にも遊びに来てくださいね♪
:11/10/17 21:42
:Android
:PYlVZMCg
#161 [ちか]
>>158続き
しかし、それでは妻は納得いかなかったようでそのネックレスを俺の手元に戻そうとしない。
こういう時、女の勘というやつは厄介だ。
出来るだけ説明は避けたかったのに。
「大切な人って?」
説明するほどに、あの日、あの頃の記憶がフラッシュバックする。
「…………研修医の頃、惚れてた人だよ。」
色褪せることなく、鮮明に。
:11/10/17 21:47
:Android
:PYlVZMCg
#162 [ちか]
「亡くなる直前に渡されたんだ。“これ持ってたらきっと幸せになれるから”って言って。約束したんだよ、きっと幸せになるって。」
『先生はちゃんと素敵な人と幸せになって』
その約束と共に渡されたネックレス。
見るたびに胸が苦しくなって、
何年か前に引き出しにしまったきり見ないようにしていた。
「……誤解は解けたかな?」
まさかこんな形でまた見ることになるとはな。
妻は、俯いたまま握っていたソレを俺の手の中に戻した。
それが俺達が結婚生活のうちでした最初で最後の喧嘩だった。
:11/10/17 21:57
:Android
:PYlVZMCg
#163 [ちか]
『……私、あの頃からその人に嫉妬してたわ。いつでもあなたが見てるのは、私じゃなくてその人だったもの。』
思い出に浸っている途中、妻がそんなことを言った。
きっと同じことを思い出していたのだろう。
俺は何も言えずにただ黙りこんだ。
『私が一番悲しかったのは、あなたの中にいつも私の居場所が無かったことよ。』
決して未練たらしさなんて感じさせない淡々とした口調で言うその言葉は俺の胸を痛めた。
これは罪悪感なんだろうか。
:11/10/17 22:05
:Android
:PYlVZMCg
#164 [ちか]
『でもあなたの約束とあたしの都合は関係ないわ。早く書いてこっちに送ってね。』
「ああ。」
じゃあ、と言う声が聞こえて通話は切れた。
あなたの中にいつも私の居場所が無かったことよ。…――
「それは少し違うんだけどな。」
そう呟いて俺は壁にもたれこんだ。
正確には、
居場所が無かったんじゃない。
作らなかったんだ。
もう自分の中に誰かを留めるのは、あの時からやめた。
:11/10/17 22:10
:Android
:PYlVZMCg
#165 [ちか]
自分の中に誰かの居場所を作れば、
その人が居なくなったとき
それは居場所じゃなく、穴になる。
俺は我慢強い人間じゃない。
その穴を塞ぐ勇気すら無いんだ。
そうやって穴を塞いで彼女を忘れようとすることは彼女との約束、いや彼女自身を、裏切る気がして。
ただ約束を守ることで
それ以外を拒絶することで
自分を保ってきた。
だから、優里(アイツ)みたいに無鉄砲に人の心の中に入ってくる人間は嫌いなんだ。
:11/10/18 00:53
:Android
:QHFRTQno
#166 [ちか]
なのに何故だろう。
はじめて好きだと言われてから
一週間。
毎日毎日言われるごとに
心の中が揺さぶられるような感覚になる。
まさか…
「………そんなワケないよな。」
もたれている壁が冷たくて、暫くそうするうちに苛立っていた感情もいつの間にか落ち着いていた。
:11/10/18 00:57
:Android
:QHFRTQno
#167 [ちか]
―――――……あの夜から2週間と3日。
みなさん、
優里クンは
俺の研究室に来なくなりました。
:11/10/18 02:26
:Android
:QHFRTQno
#168 [ちか]
チラリとドアに目をやる。
ドアは開くどころか外に人が居る気配もない。
あれだけ毎日暇さえあれば時間を問わず押し掛けて来ていたというのに、それがこの2週間と少しの間、パッタリと途絶えた。
今日に至ってはココに出入りする者すら居ない。
そんなドアを見つめているうちに、無意識に溜め息と近い独り言が漏れた。
「…勝手な奴。」
…………え?
あれ、俺、今、なんて?
:11/10/18 02:41
:Android
:QHFRTQno
#169 [ちか]
“勝手な奴”?
「なな、なに言ってんだ、俺!!!」
思わず自分の片頬にビンタを喰らわし、正気を取り戻そうとする。
だって…
勝手だろうがなんだろうが来なくなったならそれでいいじゃねえか。
:11/10/18 08:12
:Android
:QHFRTQno
#170 [ちか]
いちいち「今日から行きません」「はい、分かりました」なんてやり取りでも欲しかったのか?
今どき中学生でもそんなん会話ねえっつーの!!
バカか、俺は!
あれだ、急に惚れただのはれただの言われて焦ってるだけで!!
え、焦ってる…?
だーかーらーぁ、
なんで俺が14も下のガキごときの告白マジにして焦ってんだよおおおぉぉぉおおお!!!!!!
:11/10/18 08:20
:Android
:QHFRTQno
#171 [ちか]
「頭割れそ…。」
痛む頭を片手で抱え、項垂れる。
ああ、頭が重い…
なんでせっかく研究に集中できる環境になったっていうのに、よりよってアイツの顔ばっかり浮かんでくるんだ。
「クソ…ッ」
考えれば考えるほど募る苛立ちに愛想がつきて、俺は心を落ち着かせようとタバコを持ってベランダに出た。
:11/10/18 08:25
:Android
:QHFRTQno
#172 [ちか]
ライターの火がなかなかつかず、さらに苛立ちは上っていく。
「あ〜、もう…ッ!!なんなんだよ、チクショー…」
どいつもこいつも…
これ以上俺を乱さないでくれ。
苛立ちを抑える余裕もないまま何度かカチカチとライターをいじり、漸く火のついたライターにタバコを近づけた時、ベランダの柵の間から2つの人影が見えた。
「あれは、…」
見覚えのあるソレに目を細め焦点を合わせる。
ピントがあった時、それが2週間ぶりの優里の姿だと分かった。
しかしもう一人の外人には見覚えがない。
「誰だあいつ?」
:11/10/18 16:01
:Android
:QHFRTQno
#173 [ちか]
記憶を辿ってみるが、やはり当てはまる記憶はない。
しかしなんだかじゃれあってやたらと楽しそうにしている。
同じ病棟の友達ってとこか?
…いや、それにしては密着しすぎじゃないか?
すぐに目を離せば良いものの、なぜか沸々とした感情が沸き上がって二人の姿から目が離せない。
暫くその姿をただ呆然と見ていたが、ふいに我に戻った俺は捨てるにはまだ少し勿体無い吸殻を足で踏み潰し、室内に戻ろうとした。
その時。
:11/10/18 16:12
:Android
:QHFRTQno
#174 [ちか]
「なっ…」
一瞬二人の影が重なった。
そう、それはまるで、
「キス…」
しているように見えた。
募る感情が頭の中、全身を支配していく。
思わずその姿から目をそらした。
言い表しのできないモヤモヤが体を重くしていく。
そしてふいに何かプツンと切れる音がした。
「男なら誰でもよかったってことか。」
お遊びは終わり。
そういうことだ。
そうして俺は納得したように笑って音と共に消えた何かをベランダに残し、室内に戻った。……――――
:11/10/18 16:31
:Android
:QHFRTQno
#175 [ちか]
― 優里side.―
あの夜から2週間と3日。
俺は神崎の研究室に行くのをやめた。
なんでだって?
だって、こいつが…
「押したら引くは常識だよ?」
なんて言うから。
:11/10/19 13:13
:Android
:QrYx6tI6
#176 [ちか]
あの夜、あの後、
俺は神崎とのことをケンに話した。
なぜあんなにもあっさりと話せてしまったのかは分からない。
だけど、ケンに話しやすいオーラのようなものがあったのは確かだった。
「別に諦めないよ、俺なら」
それが、あの夜聞いた最初の質問の返事だった。
:11/10/19 13:17
:Android
:QrYx6tI6
#177 [ちか]
「だって、そんなんで諦めれるならはじめから好きになってなくない?」
顔は笑顔だけど、核心をつくその言葉に、俺はコクコクと頷いた。
まるで、自分の心の中をすっかり見透かされているようで、そうするしか出来なかったのだ。
暫く、これまでの自分の特攻ぶりとそれに対しての反応を話し、出た結論が、
“押してダメなら 引いてみる”
だったのだ。
:11/10/20 14:28
:Android
:Aayw5T/s
#178 [ちか]
「だって、そんなんで諦めれるならはじめから好きになってなくない?」
顔は笑顔だけど、核心をつくその言葉に、俺はコクコクと頷いた。
まるで、自分の心の中をすっかり見透かされているようで、そうするしか出来なかったのだ。
暫く、これまでの自分の特攻ぶりとそれに対しての反応を話し、出た結論が、
“押してダメなら 引いてみる”
だったのだ。
:11/10/20 14:31
:Android
:Aayw5T/s
#179 [ちか]
それからその“引く”が始まって今日まで2週間と3日。
効果は、
「無い気がするんだけど。」
「え?何が?」
:11/10/20 14:39
:Android
:Aayw5T/s
#180 [ちか]
「何って…」
ここは昼下がりの中庭。
最近はケンとよくここに来てはベンチで話すことが多くなった。
ケン曰く、ここはお気に入りの場所らしい。
ケンは俺が語尾を濁すのを悟って、思い出したように口を開いた。
「あー、あの先生のことな!」
「うん…」
力なく頷き、あからさまに落ち込んだ顔をする俺に
「だーい丈夫だって!」
これでもかと言うほどキラキラした笑顔でケンは笑う。
こいつの自信はどこから来ているんだろうか…
:11/10/20 14:49
:Android
:Aayw5T/s
#181 [ちか]
「まだ2週間じゃん。これからこれから!な?」
そう言って、ケンはぐいっと俺の肩を抱きよせる。
その手が大きくて、俺は改めて自分の華奢さを思い知った気がした。
そんなケンを見ているうちに妬みに近い苛立ちが起こり、強引にその手をはらう。
それでもケンは何か気にする様子もなくニコニコと、あのマンガがどうだ、だの、あの曜日の飯が不味いだの、そんな話をペラペラと話している。
「はぁ…」
そんなケンの話を耳に入れつつ、無意識に思わず溜め息が溢れた。
:11/10/20 14:56
:Android
:Aayw5T/s
#182 [ちか]
その時。
常に笑顔を絶やさないケンの顔が一瞬、鋭い目付きと共に冷淡な顔になった。
その目線は俺の頭上を少し上の方にある。
「ケン?どうかして…」
不思議に思った俺は、その目線を辿ろうと振り返ろうとした。
しかし、
「あ、ちょっと待って、ユーリ。」
それはあっけなく制止される。
:11/10/20 15:07
:Android
:Aayw5T/s
#183 [ちか]
「髪になんかついてるよ」
「え、マジ?」
「とってあげるから、じっとして。」
髪に触れられる感覚に一瞬戸惑い、俺は体を縮めた。
ケンの顔がすぐ近くにある。
その近さに思わず瞬きすら忘れそうだった。
そんな俺を見て、ケンはクスリと笑う。
「はい、取れた。もう力抜いていいよ。」
やっぱり見透かされてる!!
そう思った瞬間、なんだか恥ずかしくなり、急に顔が赤くなった。
:11/10/20 15:16
:Android
:Aayw5T/s
#184 [ちか]
「顔、赤いし。可愛いな、ユーリは♪」
「なっ?!赤ねえし!!!///」
「あははは♪」
「笑うな!!!!////」
おかしそうに腹を抱えるケンを見ていると、さっきの冷淡な顔が嘘のように思えた。
俺は思い出したように、さっき目線のあった場所へ振り返ってみる。
が、何もない。
強いて言うなら、ちょうどそこにあったのは並んでいる部屋達の窓とベランダ。
しかし、誰かがいるわけでもなく、静閑な雰囲気だけがそこにあった。
気のせいか…
そう思ってもう一度、ケンの方へ向き直りその顔をまじまじと見た。
:11/10/20 15:29
:Android
:Aayw5T/s
#185 [ちか]
「ん?俺の顔、なんかついてる?」
目をぱちぱちと瞬かせ、俺に問いかけるその顔はやっぱりいつも通り。
気のせいだよな。
とくにそれ以上気にすることもなく、俺は納得したように顔を横に振った。
「いや、なんでもない。」
「そう?なら良かった。」
そうして俺は、微笑みかけるケンにつられて久しぶりに少し笑った気がした。
──────────‥‥‥‥‥
────────‥‥‥‥
:11/10/20 15:35
:Android
:Aayw5T/s
#186 [ちか]
しかし、それから何日経っても
“引く”は“引く”のままだった。
「もう我慢出来ねえっ〜…」
思わず、心の声が口をついて出る。
それもそうだ。
自らが行かなくなると、もともと自分の病棟と神崎の研究室は違う建物なため、会うことがさっぱり無くなってしまったのだから。
「でも、前なら時々こっちにも来てたのに……。」
あの夜からそれすらも無くなった。
痺れを切らした俺は、女々しいとは思いつつも偶然を装って会うために、ナースステーションに近いこの共同区画スペースに入り浸るようになった。
そんなことを始めて、3日。
ついに、
「「あ。」」
神崎と遭遇。
:11/10/21 13:08
:Android
:jLFXF6R2
#187 [ちか]
「あ………っ、の、…え、えっと…―!!」
(何か言わねえと…っ!!なんか、なんか…っ)
頭ではいつも会ったときのための言葉を考え、イメトレを繰り返していたというのに、そんなのは会ってしまえばたちまち無意味なモノとなってしまい、口は空気中の酸素を吸いこむことしか出来ない。
そんな俺を神崎は酷く冷たい目で見つめた。
“何かが違う”
本能的にそう察すると、頭はさらに空回り余計に言葉を詰まらせる。
「…ぐっ、偶然…だなっ!!」
自分を叱咤しそうになる感情を押さえ漸く出たのはそんな気のきかない台詞だった。
:11/10/21 13:43
:Android
:jLFXF6R2
#188 [ちか]
しかし、やっとの思いで出た言葉も会話にはならず、神崎は俺を初めて見るかのように、ただ冷ややかな目で見つめている。
「え……っと、…な、何しにき…、あ!」
なんとか間を繋げようと口を開いたのも束の間、神崎はおもむろに俺から目線を外し、歩き出した。
「な…っ、ちょっと、神崎!!」
そんな神崎を引き留めようと名前を呼んだが、神崎はこっちに見向きもしない。
:11/10/21 18:13
:Android
:jLFXF6R2
#189 [ちか]
「待てって…ッ!!」
咄嗟に、去ろうとする神崎の腕を掴んだ。
その瞬間、
再び冷淡な瞳と向かい合う。
そして乱暴に掴んだ手を振り払われた。
一瞬のことに戸惑い、
俺は振り払われた痛みで痺れる手を擦って、目を見開いた。
見上げた神崎はもはや俺の知っている神崎ではない。
:11/10/21 19:01
:Android
:jLFXF6R2
#190 [ちか]
一瞬が永遠のように感じる。
張りつめる空気に息が詰まりそうだ。
冷たいその目から目が離せずにいると、神崎は突き刺さるような声で言った。
「触んな。」
それは
この上なく冷酷で、俺の心を抉(エグ)った。
:11/10/21 19:11
:Android
:jLFXF6R2
#191 [ちか]
そしてそのまま神崎は振り向きもせずに俺から遠ざかっていく。
「…………ッ、……――っ。」
呼び止めたいのに、
引き留めたいのに、
声が出ない。
声もかけられずにその姿を見つめているうちに、もうその背中は見えなくなっていた。
頬を一筋の水滴が伝う。
そんなただ立ち竦む俺に残されたのは、
振り払われた手の痛みと胸に突き刺さった言葉だけだった。‥‥‥──────
:11/10/21 19:23
:Android
:jLFXF6R2
#192 [ちか]
*
少し休憩( ´`〃) 。。
読んでくれてる方いるのかな( ´`;)
*
:11/10/21 19:41
:Android
:jLFXF6R2
#193 [☆☆☆]
読んでます

かなり面白いです

:11/10/21 21:26
:F05C
:ngvLqfP2
#194 [ちか]
>>193 ☆☆☆さま.
わー( ´`〃)
ありがとうございます!///
そう言ってもらえるとすっごくやる気が出ます( *´`* )がんばろっと!
:11/10/22 12:11
:Android
:FmyfOmCg
#195 [ちか]
>>191続き
― 陽平side.―
「触んな。」
それは自分でも驚くほど、
冷たくて突き刺さるような声だった。
:11/10/22 12:24
:Android
:FmyfOmCg
#196 [ちか]
衝動的に振り払った自分の腕がジンと痺れる。
どれほど強く握られていたのだろう。
一瞬のことに記憶はついていかず、代わりに痛みばかりが腕に残った。
チラリと横目で見ると、
優里は驚いたように自分の手を擦り俺を見上げている。
その顔は酷く怯えていて、
まるで俺が俺じゃなくなっていくみたいだった。
:11/10/22 12:35
:Android
:FmyfOmCg
#197 [ちか]
そんな優里を見てられずに目線を外した俺はその場を立ち去った。
ある程度離れた場所まで来て、振り返ってみる。
追いかけてくる気配はない。
「〜…っ、なんなんだよ…ッ」
力任せに壁を殴る。
拳に鈍い痛みが走るが、そんなことをしたところで胸の中で蠢く感情は消えない。
:11/10/22 12:43
:Android
:FmyfOmCg
#198 [ちか]
優里があの場所に入り浸っていることは、同僚からの噂で聞いていた。
大きな大学病院内とは言え、噂話なんて広まるのはあっという間。
同僚や仲間内の中で、俺への優里の特攻ぶりはすっかり有名になっていた。
─────────………
─────……
「先生、聞きました?優里くんのこと」
「え?いや…」
ふいに優里、という単語を聞かされてドクンと心臓が跳ねる。
あの日二人のキス現場を見てから苛立ちは募るばかりで、俺はその名前を執拗に避るようになったからだ。
できる限り会うことも避けたくて向こうの病棟も行く回数をめっきりと減らした。
なのに、
:11/10/22 13:04
:Android
:FmyfOmCg
#199 [ちか]
「最近、先生のところに来ないと思ったら、偶然装って会うために共同区画のスペース入り浸ってるみたいですよー」
どうしても、その名前を聞くタイミングは必ずあって、俺の苛立ちと動揺を浚(サラ)う。
同僚は面白半分といった調子でそんな話をしてくるが、俺にとってそれは良い迷惑でしかない。
しかし仕事の関係上、そんな噂に振り回されるわけにもいかず隣の病棟に行くことになったのだ。
:11/10/22 13:10
:Android
:FmyfOmCg
#200 [ちか]
そしたら案の定アイツに会って、
見れば見るほど苛立ちが抑えられなくなって。
結果、あんな態度をとってしまった。
「…気安く触ってきやがって」
壁を背に、俺は握られていた腕を思い出したように擦る。
頭の中では何度もあの日の二人の重なった影が浮かぶ。
散々俺を振り回しておきながら、どこぞの男とキスだのなんだの盛りやがって…
「ちょっとはヒトの気持ちも考えろよ。」
ため息のような台詞が口をついた。
:11/10/22 13:16
:Android
:FmyfOmCg
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