漆黒の夜に君と。V[BL]
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#178 [ちか]
「だって、そんなんで諦めれるならはじめから好きになってなくない?」
顔は笑顔だけど、核心をつくその言葉に、俺はコクコクと頷いた。
まるで、自分の心の中をすっかり見透かされているようで、そうするしか出来なかったのだ。
暫く、これまでの自分の特攻ぶりとそれに対しての反応を話し、出た結論が、
“押してダメなら 引いてみる”
だったのだ。
:11/10/20 14:31
:Android
:Aayw5T/s
#179 [ちか]
それからその“引く”が始まって今日まで2週間と3日。
効果は、
「無い気がするんだけど。」
「え?何が?」
:11/10/20 14:39
:Android
:Aayw5T/s
#180 [ちか]
「何って…」
ここは昼下がりの中庭。
最近はケンとよくここに来てはベンチで話すことが多くなった。
ケン曰く、ここはお気に入りの場所らしい。
ケンは俺が語尾を濁すのを悟って、思い出したように口を開いた。
「あー、あの先生のことな!」
「うん…」
力なく頷き、あからさまに落ち込んだ顔をする俺に
「だーい丈夫だって!」
これでもかと言うほどキラキラした笑顔でケンは笑う。
こいつの自信はどこから来ているんだろうか…
:11/10/20 14:49
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:Aayw5T/s
#181 [ちか]
「まだ2週間じゃん。これからこれから!な?」
そう言って、ケンはぐいっと俺の肩を抱きよせる。
その手が大きくて、俺は改めて自分の華奢さを思い知った気がした。
そんなケンを見ているうちに妬みに近い苛立ちが起こり、強引にその手をはらう。
それでもケンは何か気にする様子もなくニコニコと、あのマンガがどうだ、だの、あの曜日の飯が不味いだの、そんな話をペラペラと話している。
「はぁ…」
そんなケンの話を耳に入れつつ、無意識に思わず溜め息が溢れた。
:11/10/20 14:56
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:Aayw5T/s
#182 [ちか]
その時。
常に笑顔を絶やさないケンの顔が一瞬、鋭い目付きと共に冷淡な顔になった。
その目線は俺の頭上を少し上の方にある。
「ケン?どうかして…」
不思議に思った俺は、その目線を辿ろうと振り返ろうとした。
しかし、
「あ、ちょっと待って、ユーリ。」
それはあっけなく制止される。
:11/10/20 15:07
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:Aayw5T/s
#183 [ちか]
「髪になんかついてるよ」
「え、マジ?」
「とってあげるから、じっとして。」
髪に触れられる感覚に一瞬戸惑い、俺は体を縮めた。
ケンの顔がすぐ近くにある。
その近さに思わず瞬きすら忘れそうだった。
そんな俺を見て、ケンはクスリと笑う。
「はい、取れた。もう力抜いていいよ。」
やっぱり見透かされてる!!
そう思った瞬間、なんだか恥ずかしくなり、急に顔が赤くなった。
:11/10/20 15:16
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:Aayw5T/s
#184 [ちか]
「顔、赤いし。可愛いな、ユーリは♪」
「なっ?!赤ねえし!!!///」
「あははは♪」
「笑うな!!!!////」
おかしそうに腹を抱えるケンを見ていると、さっきの冷淡な顔が嘘のように思えた。
俺は思い出したように、さっき目線のあった場所へ振り返ってみる。
が、何もない。
強いて言うなら、ちょうどそこにあったのは並んでいる部屋達の窓とベランダ。
しかし、誰かがいるわけでもなく、静閑な雰囲気だけがそこにあった。
気のせいか…
そう思ってもう一度、ケンの方へ向き直りその顔をまじまじと見た。
:11/10/20 15:29
:Android
:Aayw5T/s
#185 [ちか]
「ん?俺の顔、なんかついてる?」
目をぱちぱちと瞬かせ、俺に問いかけるその顔はやっぱりいつも通り。
気のせいだよな。
とくにそれ以上気にすることもなく、俺は納得したように顔を横に振った。
「いや、なんでもない。」
「そう?なら良かった。」
そうして俺は、微笑みかけるケンにつられて久しぶりに少し笑った気がした。
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:11/10/20 15:35
:Android
:Aayw5T/s
#186 [ちか]
しかし、それから何日経っても
“引く”は“引く”のままだった。
「もう我慢出来ねえっ〜…」
思わず、心の声が口をついて出る。
それもそうだ。
自らが行かなくなると、もともと自分の病棟と神崎の研究室は違う建物なため、会うことがさっぱり無くなってしまったのだから。
「でも、前なら時々こっちにも来てたのに……。」
あの夜からそれすらも無くなった。
痺れを切らした俺は、女々しいとは思いつつも偶然を装って会うために、ナースステーションに近いこの共同区画スペースに入り浸るようになった。
そんなことを始めて、3日。
ついに、
「「あ。」」
神崎と遭遇。
:11/10/21 13:08
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:jLFXF6R2
#187 [ちか]
「あ………っ、の、…え、えっと…―!!」
(何か言わねえと…っ!!なんか、なんか…っ)
頭ではいつも会ったときのための言葉を考え、イメトレを繰り返していたというのに、そんなのは会ってしまえばたちまち無意味なモノとなってしまい、口は空気中の酸素を吸いこむことしか出来ない。
そんな俺を神崎は酷く冷たい目で見つめた。
“何かが違う”
本能的にそう察すると、頭はさらに空回り余計に言葉を詰まらせる。
「…ぐっ、偶然…だなっ!!」
自分を叱咤しそうになる感情を押さえ漸く出たのはそんな気のきかない台詞だった。
:11/10/21 13:43
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:jLFXF6R2
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