漆黒の夜に君と。V[BL]
最新 最初 🆕
#361 [ちか]
病院に着くと真っ先に電話をくれた看護婦が俺を出迎えていた。


「優里に…ッ、優里に何かあったんですか?!」

「…………。」

黙り混む看護婦の肩を力任せに揺さぶった。
取り乱して力の加減も満足に出来ない。

看護婦は揺さぶられたことで我に返ったように口を開く。


「…しゅ、手術は上手くいったんですっ…、でも…」

「でも、なに?!」

もう限界だ。
焦らさず一気に言ってくれよ。
頼むからっ…――

「昏睡状態のまま目が覚めないんです…」


しかし
突きつけられた現実は
拒みたくなるほど冷たかった。

⏰:11/11/05 18:51 📱:Android 🆔:uD4Ooo.M


#362 [ちか]
看護婦に案内を受けて急いで優里の居る集中治療室に入る。

そこにはところ狭しと並ぶ精密機器に囲まれた優里の姿があった。

周りには数人の医者と看護婦。


「優里…―っ!!」

触れることも出来ないその名前を何度も呼ぶ。
届くはずもないのに。

「優里、起きろよ!!約束しただろ!?なぁ…優里…―ッ!!」

「先生、少し落ち着いて…っ」

「落ち着けるわけないだろ?!?!」


怒鳴ってどうにかなるわけでもないのに、それでも何かに当たらずにはいられなかった。

⏰:11/11/06 00:15 📱:Android 🆔:Onz7Ylgk


#363 [ちか]
「こんなことになるなら…――っ」


こんなことになるならもっと早くに
動けばよかった。

後悔ばかりが押し寄せてくる。
悔しさで唇を噛むと、口内でじんわりと血の味がした。

「…なんで俺は…ッ、俺はッ…!!」

今さらこいつが好きだったなんて気づいてももう遅いのに。

「いつも…―――、」


なぜ俺はいつも、
大事なモノばかり
失くしてから気づくのだろうか。

⏰:11/11/06 00:58 📱:Android 🆔:Onz7Ylgk


#364 [ちか]
取り乱す俺を見て周りの人間は何を思うのだろう。

いや、今はそんなことどうでもいい。

今はそう、
せめて今だけは、

「…俺も此処、居ていいですか…。」


コイツの傍に居たい。

もう一度、
アイツが目を覚ますことを祈って。

……………────────────
………──────────
……─────

⏰:11/11/06 01:02 📱:Android 🆔:Onz7Ylgk


#365 [ちか]
― 優里side.―


夢を見た。



暗い暗い、

夜みたいな空間の中で


聞き覚えのある声に


何度も名前を呼ばれた。



そんな夢を。…───

.

⏰:11/11/06 01:05 📱:Android 🆔:Onz7Ylgk


#366 [ちか]
まるで四次元みたいな其処は

光どころか物体なんて何一つなくて


ただ俺は一人、

必死に声のする方を探している。



でも、
どうしても分からない。

どこから聞こえて、


誰が呼んでいるのか。

⏰:11/11/06 01:07 📱:Android 🆔:Onz7Ylgk


#367 [ちか]
座り込み目を閉じると、

もうそこが暗いのかどうかも分からなくなった。


ああ、
俺もう死ぬんだ。


直感的にそう感じ取って
諦めるような乾いた笑いさえ零れる。

約束、守れなかったなぁ

なんて思いながら。


────……あれ、
約束なんて、誰としたっけ…?

⏰:11/11/06 01:11 📱:Android 🆔:Onz7Ylgk


#368 [ちか]
その瞬間、

また声が聞こえた。



─────……約束しただろ?!

どこから聞こえてくるのか全く分からないのに、耳はその声をしっかり捉える。


約束…───。


─────……優里っ…!!

この声…───。


そうだ、


俺、神崎と約束したんだ。

生きるって……───ッ

⏰:11/11/06 01:15 📱:Android 🆔:Onz7Ylgk


#369 [ちか]
思い出した瞬間、
目の前に一筋、光が見えた。

自然と足がその方向に進んでいく。

どこまで続くのか分からないが、その光は暗い足元をしっかりと照らしてくれた。


…──まるで俺を導くように。


俺は走った。
ただひたすら、その先の何かを信じて走り続けた。

途中何度も諦めそうになったけど
その度にあの声が聞こえて。


そう、あれはきっと、
神崎の声。……──────


そしてその光の果てに着いた時、
光が俺を包み込んだんだ。

⏰:11/11/06 01:21 📱:Android 🆔:Onz7Ylgk


#370 [ちか]
「ん…───、」


はじめに目に入ったのは
大きくて筋張った手だった。


意識が朦朧とする中、
それを辿るとその先には

クマだらけの目を見開く、
俺の大好きな人。


「か………ん…ざ…き………?」



気づけば名前を呼んでいた。

⏰:11/11/06 01:27 📱:Android 🆔:Onz7Ylgk


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194