漆黒の夜に君と。V[BL]
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#417 [ちか]
昨日まで手繋いでた幼馴染みも色恋に目覚め、急に意識しはじめて手が繋げなくなる、そんなお年頃。
中学に上がれば頭の中はすっかり浮かれ調子で、それは学年があがるごとに増していく。
そんな中学生達を俗にマセガキとか中二病とか言うらしい。
もっとも、
「とおる〜!」
「んー?どしたー?」
俺たちには特に関係もない話。
:11/11/12 11:38
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#418 [ちか]
「D組のかおりちゃん、透のこと好きなんだって!どうする?」
「どうするって…。なんで冥がそんなこと知ってんの?」
なぜなら、
「え?なんか伝言頼まれたからさー、かおりちゃんとその友達に!で、返事は?」
「…ふーん、部活以外興味無いからごめんって言っといて。」
「透変わんないよな〜、昔っからそうやって断ってばっかじゃん。」
「お前も、万年俺の伝言役だよな。」
お互い色恋にも先輩風吹かすことにも興味がないからだ。
:11/11/12 11:46
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#419 [ちか]
休み時間でガヤガヤとうるさい教室内に、鈍い音と短い悲鳴が鳴る。
「い゛っ…、殴んなくてもいいだろ?!」
「透が一言多いからじゃん。」
俺より頭1つ分くらいは裕に低い身長のくせに、殴る力は一人前な俺の幼馴染み、冥。
そんな冥が痛がる俺をよそに、不服そうな目で俺を覗き込んだ。
「でも、なんでみんな断ってんの?この前のミキちゃんなんか、超可愛くて有名じゃん。後輩も先輩もお前のこと羨ましがってたよ?」
悪気もなくそう問いかけてくる冥に、思わずため息をこぼしそうになったのをぐっと飲み込んで、俺は毎度の理由を語ろうとする。
が、
「だから、部活しか興味な…」
「俺にウソは通用しませーん。」
じゃあ、
どうしろって言うんだ。
:11/11/12 11:57
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#420 [ちか]
ひとの気も知らないで。
「女の子達は騙せても俺は騙せないよ?だって透、断るときいっつも嘘ついてますーって顔に書いてるもん!ま、俺にしか分かんないだろーけど?」
「あー、そうですか。さすが幼馴染みですね、なんでも分かっちゃうとか冥くんすごーい。」
えっへん、という効果音がぴったり合うような態度の冥を、心の中の動揺を隠しながら軽くあしらい、窓の外に目を向ける。
その隣ではそんな俺の態度に不満なのか膨れ上がる冥が何やらブツブツ呟いていたが、知らないフリ。
だってコイツが悪いんだ。
俺が告白を断り続けている本当の理由なんて聞いてくるから。
:11/11/12 17:57
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#421 [ちか]
膨れ上がる冥を窓越しに見つめながら思う。
本当の理由(コト)を言えればどんなに楽だろうって。
本当の理由(コト)を言えば、
コイツはどんな顔をするんだろう、
って。
:11/11/12 18:26
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#422 [ちか]
俺は
この幼馴染み、日下冥が好きだ。
いつからかなんてもう分からない。
気がつけばもう遅かった。
男同士なのにそれでもコイツが
好きで、好きで、好きで、
他のヤツなんて目に入んなくて。
苦しい。
:11/11/12 18:35
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#423 [ちか]
胸が苦しい。
だって、俺が好きになったのは
紛れもない男で。
華奢で
女みたいな顔で
声もまだ少し高くて
そこらへんの女子より可愛くても
冥はレッキとした男で。
恋心を抱いたところで
どうしようもない。
叶うことはもちろん、
告げることさえもきっと出来ない。
この先も、ずっと。……──────
:11/11/12 19:28
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#424 [ちか]
中学に入った途端にモテだした俺は、もうどれくらい断ったか分からない。
俺が冥に向けるような、小さくて淡くて熱い感情を。
この感情を忘れるために
適当に彼女を作ろうとしたこともあった。
取っ替え引っ替えに彼女でも作って、
適当に愛だの恋だのぬかして、
この感情を消して、
グチャグチャに塗り潰してしまえば
きっと楽なんだろう、
って、何度も何度も思った。
でも、俺には出来なかった。
冥に幻滅されたくない。
冥の傍に居たい。
冥に、友達としてで良いから好かれていたい。
そして何より、
冥に誤解されたくない。
俺の一番が冥以外の誰かなんてそんな誤解をされたくなかった。
そう思うとどうしても、
彼女なんて作る気は到底起こらなかった。
:11/11/12 19:42
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#425 [ちか]
それと反比例するように
断れば断るほど、とにかくモテた。
それはもう、俺のモテ期はここで終わるんじゃないかってほどに。
まぁ、実際は高校になってもさほど変わり無い調子でモテているが。
なんでも、女子達はこう俺を噂する。
「クールなとこがいい」
そんな意識、した覚えがない。
「みんなの蓮見くんって感じでいい」
俺は物じゃない。
「あの爽やかな笑顔で断られると、もっと好きになっちゃう。」
作り笑顔って怖いな。
冷たくあしらってるつもりなのに、どうしても告白されると傷つけないように優しく接してしまうんだ。
きっと、自分に透過してしまっているのが原因だろう。
俺に叶わない恋をしている相手に、
冥に叶わない恋をしている自分を重ねて。
:11/11/12 21:55
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#426 [ちか]
そんな俺の葛藤を知らずに、
俺の伝言役なんか務めちゃう冥が
愛しさ故に、憎たらしい。
「あ゛ぁあ゛〜〜!!!!!もうっ〜!!!!」
「な?!透、なに急に?!そんなに頭(殴ったとこ)痛かった?!」
憎たらしいけど
それでも
大好きで。
「ちげーよ、バカ!!」
「バカ?!バカって言った方がバカだし!!」
そして
何も出来ない今に至る。
そんな頃だ。
瀬野が現れたのは。
:11/11/12 21:57
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