消えないレムリア
最新 最初 全 
#41 [ぎぶそん]
「妹さんですか?」
無意識のまま突っ立っていると、店員さんが私に笑顔で声を掛けてきた。
大人びた彼と一緒にいると、当然のように私が年下に見えるらしい。
「あ、はい」
関係をわざわざ説明するのも面倒なので、私は話を合わせた。
「これください」
彼の一声で、店員さんが慌てて駆けつける。
彼は青いギンガムチェックの柄の布団セットを選んでいた。
2人がレジに向かうと、そこから2人は時間が止まったようになかなか動かなかった。
待つことに退屈さを感じながら、私はその場で立っていた。
15分ほどして、ようやく会計を済ませた彼がやって来た。
「布団届くの3日後だって。それまでまたかなめの布団で寝させて」
彼の言葉に、私は青ざめた。
:12/06/04 23:52
:Android
:FfDMhJ8o
#42 [ぎぶそん]
せっかく来たので、私たちは少し店内を回ってみることにした。
寝具コーナーから時計回りに半周すると、女性用下着コーナーに差し掛かった。
「かなめもさあ、もっとこういうの選んだら?」
彼が立ち止まり、派手な柄のブラジャーを手にした。
その発言は近くを歩いていた二人組の女性にも聞こえていたようで、通りすがりにくすくすと
笑われた。
4階に下り、下りて目の前にある調理器具コーナーを見てみた。
色とりどりの鍋やフライパンを見て、こんなお洒落な調理器具だと毎日楽しく料理が出来るだろうなあと、普段料理をしないながらに思った。
しかし何も買うことなく、他のコーナーを回ることにした。
:12/06/05 22:21
:Android
:m1Xw0dwc
#43 [ぎぶそん]
彼が煙草を吸いたいと言い出したので、他の階を見ることなくデパートを出た。
駅前の喫煙スペースに行き、スーツを着た中年男性の隣で彼が一緒に煙草を吸う。
「あっちにゲーセンあるじゃん。行ってみようぜ」
煙草を吸い終えると、彼が手前の方向を指差した。
そこには中央にUFOの絵が描かれた、大きな看板がある建物があった。
彼は私の手をむりやり取り、その建物がある方向へと進んだ。
ゲームセンターの中に入ると、店内は機械や人の声でがやがやと賑わっていた。
UFOキャッチャーのコーナーには、アニメキャラクターの人形やキーホルダーがたくさん陳列してあった。
:12/06/05 22:36
:Android
:m1Xw0dwc
#44 [ぎぶそん]
その中に、昨日彼がテレビで観ていた「音速戦士ステレオマン」のフィギュアもあった。
そのフィギュアは箱に入っていて、ステレオマンが武器であるバイオリンを弾く形でポーズを取っていた。
「これ、あんたが好きなやつじゃないの?」
私は彼の手を叩き、その景品を指差した。
「いや、俺、ステレオマンには興味ない。怪獣の方が好きだから。でも見た感じ簡単そうだし、試しにやってみようかな」
その景品は、どうやら手前の空間に落とせば手に入る仕組みになっている。
彼は財布から500円玉を取り出し、機械の投入口に入れた。
:12/06/05 22:45
:Android
:m1Xw0dwc
#45 [ぎぶそん]
にぎやかな音楽が鳴り、彼が専用のボタンでクレーンの操作をはじめた。
1回目。クレーンが箱を持ち上げわずかに箱が浮いたが、箱はまた元の位置に戻った。
2回目。アームが箱をかすり抜けた。
3回目。箱が浮き上がり、少し手前に移動した。
「うわ、結構難しい」
遊ぶ回数がなくなり、彼がまた財布を取り出す。
小銭がなかったようで、両替をしに行った。
彼がいない間、私は試しにやってみようと200円を投入した。
慎重に操作をしてみたが、アームは箱をかすり抜けただけだった。
難しい。自分の力量では一向に取れる気がしなかった。
:12/06/05 22:54
:Android
:m1Xw0dwc
#46 [ぎぶそん]
彼が戻り、100円玉を5枚入れた。
何度も試すが、なかなか景品が落ちる気配はない。
「惜しい!後もうちょっと」
「あー!後もう少しだったのになあ」
別に景品が欲しいわけではないが、私は無我夢中で彼を応援していた。
途中、親子連れが不思議そうに私たちの様子を眺めていたが、気にも止めずに私は彼のプレイにのめり込んだ。
彼が2度目の両替をした後、遂に景品が手前の空間に落ちた。
「やったー!」
私はその場で両手を上げて喜んだ。
「はい。あげる」
彼が私に景品を差し出してきた。
「いいよ。取ったのはあんたなんだから、それはあんたのもの」
私は貰うのを拒もうとしたが、ふとある考えが浮かんだ。
:12/06/05 23:05
:Android
:m1Xw0dwc
#47 [ぎぶそん]
もしかしたらこういう非売品は10年・20年したらプレミアがついて、高く売れるんじゃないだろうか。
「あ、やっぱ貰うわ」
私は彼の手から景品を奪い取り、有り難く頂戴することにした。
将来、お金に困った時に売ろうっと。
そんな浅ましい考えとはつゆ知らず、彼は店にあった袋を持ってきて景品を中に入れてくれた。
ゲームセンターを出て、私たちは駅の中にあるうどん屋で少し早いお昼を取ることにした。
店内に入ると、サラリーマン風の男性や作業着を着た男性がプロ野球のテレビ中継を観ながらうどんを食べていた。
2人でテーブル席に座り、彼は天ぷらうどんを、私は釜玉うどんをそれぞれ注文した。
:12/06/05 23:20
:Android
:m1Xw0dwc
#48 [ぎぶそん]
「なんでステレオマンには興味がないの?」
注文を待っている間、私は気になっていたことを彼に尋ねた。
「俺はストーリー自体はどうでもいいんだよ。怪獣がのしのし歩く姿や、街を壊す姿が見たくて観てるだけ」
「そうなんだ……」
一応相槌を入れてみたが、理解不能だった。
言われてみれば、部屋にある彼の人形はどれも怪獣ばかりである。
怪獣の何がそんなにいいんだろうか?
私にとっては恐くて、不細工で、不気味な存在でしかない。
その後2人で野球の試合を観ていると、先に彼の注文した天ぷらうどんが運ばれてきた。
彼が豪快に麺を啜る。
「天ぷら一口ちょうだい」
彼は私の言葉に返事をせず、無言で天ぷらを食べた。意地悪。ケチ。
:12/06/05 23:36
:Android
:m1Xw0dwc
#49 [我輩は匿名である]
面白い
:12/06/06 15:14
:SH02A
:exhypHqY
#50 [ぎぶそん]
野球の試合が8回のウラに突入したところで、私が頼んだ釜玉うどんが来た。
割り箸を取り、急いであつあつの麺と玉子を絡ませる。
よく混ぜたところで麺を一気に啜った。味が染みてて美味い。
既に食べ終わった彼が、私の食べる様子をまじまじと見ていた。
「うまそうだな。一口くれよ」
「やだ」
私は丼を持って壁の方を向いた。
そっちだってくれなかったのに、誰があげるかよ。
私はそのままの体勢で食べ続けた。
私が食べ終えると、一息落ち着ける様子もなく彼がすぐに立ち上がった。
昨日弁当を買ってもらったからお返しに今日この場では奢るといったが、彼に頑なに拒まれた。
結局お互い自分の食べた分だけの値段を払い、うどん屋を後にした。
:12/06/06 21:52
:Android
:pGqVXPe6
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194